ボーカルレコーディングのコツ。歌の録音時に気を付ける点を徹底解説

AT2040と別売りのショックマウントを組み合わせた画像2

ぎたすけ

ボーカルレコーディングって高いスタジオとかでやるイメージだけど家でやんの?

たけしゃん

今は自宅でやるのが普通だよ。歌上手くなるには日ごろから録音して聴き直す癖をつけたほうがいいよ

弾き語りすとLABO ボイトレ講座。

今回はボーカルレコーディングのコツについてです。

レコーディングブースで歌を録音している女性

昨今はボーカルが自宅レコーディングする機会が飛躍的に増えています。

そして、自宅での歌録音は押さえておくべきコツがあります。

ポイントを押さえておくだけで、クオリティが大分違うのでしっかりと確認しておきましょう。

なお、自宅レコーディングでの機材については下記の記事でまとめているので、合わせて参考にしてください。

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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ボーカルレコーディングのコツ

AT8700JでAT4040を取り付けした様子

まずはボーカルレコーディングする際のコツからです。

気を付けるべきポイントは主に6つです。

マイクはこぶし1つ分くらい離す

マイク距離はこぶし一つ分程度空けましょう。

近づきすぎると、低音が膨らんでしまいますし、遠いと音にリアリティがなくなります。

こぶし一つ分を基本位置として、調整するとよいでしょう。

また、ポップガードを設置して、息の音の混入を防ぐようにします。

ポップガードpro-screen101を取付した画像

ポップガードを設置した状態でも、マイク距離はこぶし1つ分で大丈夫です。

入力音量を調整する

Universal Audio Volt 2の全てのボタンをONにした

マイク位置を適正な距離にしたら、次は音量調整です。

マイクの入力音量はオーディオインターフェイスのGAINというツマミを使って調整します。

補足

機種によってはINPUTと書かれている

大きすぎると音が割れてしまい、小さすぎると伴奏に負けてしまいます。

キレイに録るには適切な音量にするのが重要です。

女性が歌のレコーディングをしているところ

ボーカルの場合は音量のダイナミクスが非常に大きいので、盛り上がるサビを歌って波形を確認するようにしましょう。

Cubase AI プロジェクトカーソル位置を設定2

最も声量が大きくなるパートで波形の大きさが枠内の80%くらいになる程度が好ましいです。

波形サイズは後から編集できるので、ギリギリの音量は狙わずに少し余裕を持たせましょう。

補足

ギリギリの音量だと、録音確認時は大丈夫でもmixで音圧を上げると音が割れていたりします

ただ、小さすぎる波形を後から大きくするとノイズの比率が高くなります。

そのため、適切なサイズ感になるように録音開始前にGAINの調整をちゃんとやりましょう。

極力は数テイクで済ます

男性ボーカリスト

ボーカルは生身なので、疲れます。

そのため、事前の練習はちゃんと行って、少ないテイクで録り終わるように意識しましょう。

なお、極力は当日中に全部録り終わったほうが良いですが、宅録なら日を跨いでも大丈夫です。

自宅レコーディングするPCデスク

何テイクもチャレンジし続けてしまった場合は、翌日録り直したほうが良いケースも多いです。

たけしゃん

何度も録り直すと高音の伸びとかアタック感が悪くなってくるので、諦めも肝心です

日を跨ぐ際はマイク位置や音量設定など、セッティングが変わらないように把握しておきましょう。

ただし、レコーディングスタジオだと翌日持ち越しというわけにはいきません。

そのため、日ごろから短時間でビシっと決められるように事前練習する癖はつけましょう。

歌いながらマイク距離を変える

AKG C414 XLSと付属のポップガードを横から撮った画像

マイク位置はこぶし1つ分離すのが基本ですが、歌の展開に合わせて自身で調整するのが重要です。

サビで声を張るときは少し離れて、静かな場面では少し近づく。

補足

近づくと低音が強くなるので、静かな場面でもあえて近づかないことも多い

こうすることで、1曲を通した時の音量差を減らすことができます。

ボーカルはミックス時にコンプレッサーで音量を均しますが、録音時点である程度ならしておくと仕上がりがよくなります。

YAMAHA AG Controller コンプレッサー
YAMAHAのコンプレッサー
コンプレッサー

大きい音を圧縮して、小さい音を大きくするエフェクト

ただ、大きくマイク距離を変えると音質も変わるので、微妙に近づいたり、離れたりする程度で大丈夫です。

このマイク距離の調整技術はかなり重要ですね。

歌いだしの音はこだわる

SHURE SM7B 斜め下から撮った

ボーカルレコーディングでかなり重要なのが、歌いだしの音です。

Aメロの歌いだし、Bメロの歌いだし、サビの歌いだしなど、各所の歌いだし全て重要です。

歌いだしの音はその一連のフレーズに大きく影響します。

ボーカルレコーディング時の波形

例えば、歌いだしの音が小さいと、そのフレーズ全体の音量が大分小さく聴こえます。

そのため、mixでは歌いだしの音量だけ持ち上げたりします。

ただ、mixでアタック感とか歌いだしのニュアンスまで変えるのは難しいため、やや不自然になりがちです。

そのため、録音時にボーカルが意識して歌うのがベストです。

弾き語りのレコーディングをしているところ

曲の疾走感なども、歌いだしの音が超重要です。

曲全体のクオリティにも大きく影響するので、ちゃんと意識して歌いましょう。

パンチインは少し前から歌う

UNIVERSAL AUDIO SD-1 斜め前

パンチインは音声再生しながら、特定位置に入ると自動で録音開始する機能です。

ワンフレーズだけ録り直しする際など、良く使います。

パンチインを使う際に気を付けるのは、下記の点です。

  1. ブツっという音が入っていないか
  2. ブレスの音があるか
  3. 前後の歌声とテンションが違わないか

①はパンチインの開始位置を変えることで解決します。

②と③ついては録音開始前から歌い始めることで、解決します。

ブレスの音はアコースティック編成などでは、違和感があるとわかりやすいです。

音数少ない伴奏で歌う場合は自然に繋げられるように工夫しましょう。

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その他 ボーカルレコーディングの注意点

スピーカーとPCデスク

続いては、ボーカルレコーディングの注意点についてです。

主にはエンジニア、mix師の方にファイルを渡す際の注意が多いですね。

後からやり直すのはかなり面倒なので、把握した上でレコーディングをはじめましょう。

サンプリングレートを合わせる

サンプリングレートとビットレートの説明

サンプリングレートは音の解像度のようなものです。

伴奏とボーカルトラックでレートが違うと、何かと不便なので合わせましょう。

伴奏音源は48kHz/24bitで制作されるケースが多いです。

そのため、ボーカル録音も48kHz/24bitで録るケースが多いですね。

Cubaseのビットレート設定
Cubase AI

Cubaseの場合は画面左上の「スタジオ」→「プロジェクト設定」から設定を変えられます。

Cubaseのプロジェクト設定画面

レコーディングを開始してから変更すると、音がおかしくなったりします。

必ず、レコーディング開始前に設定を終わらせましょう。

また、レコーディングが終わって音源として書き出す際にもサンプリングレートの設定欄があります。

Cubaseのファイル書き出し画面

特に意図がなければ、同じレートを選択しましょう。

ボーカルトラックは複数録っておこう

audio technica AT4050 横から撮った

ボーカルトラックはmix時に複数使用することが多いです。

録音状態が悪い部分を差し替えたり、ダブリングで使ったりするためですね。

ダブリング

ボーカルを重ねて厚みを出す手法。ダブルと呼ぶことが多い

一聴して問題なくともコンプレッサーなどで音圧を上げると、音割れや変なノイズが出現することは割とあるんですよね。

そのため、エンジニアさんからも3トラック分くらいは提出を求められることが多いです。

なので、はじめから3トラック程度は用意する想定でボーカルレコーディングを開始しましょう。

たけしゃん

だからこそ、少ないテイクで終われるように事前練習はちゃんとやったほうがいいわけです

ボーカルの書き出しは無音部分も含める

Cubaseで伴奏音源をインポート

エンジニアさんに提出するためにボーカルトラックのみ書き出すことはよくあります。

その際は必ず、無音部分まで含めて頭から書き出すようにしましょう。

ボーカルが歌っている部分だけ書き出すと、受け手側は伴奏とボーカルトラックの位置を合わせる作業が発生します。

無音部分から書き出すことで、そういった手間がなくなります。

Cubaseの画面
Vocalがない部分も書き出し範囲に含める

DAWで書き出し範囲を指定する際はかならず、プロジェクトの頭から書き出しましょう。

レコーディングの練習はnanaがおすすめ

nanaの録音画面

nanaは無料で使えるスマホアプリです。

色んな人がコラボすることで、1つの楽曲を作り上げていく仕組みになっています。

色んな楽曲の伴奏がアップされているので、ボーカルレコーディングの練習には最適なアプリです。

仕組みもよくできていて、使い方を勉強せずとも感覚的に使えます。

nanaの録音編集画面

手軽に自分の歌を録音して、聴き直すにはちょうどいいです。

記事前半で紹介したマイクやオーディオインターフェイスが使えるので、高音質な録音も可能です。

まずはnanaでレコーディングの練習をしてみましょう。

レコーディングに慣れて来たら、DAWを使って「歌ってみた」をやってみるのがおすすめです。

Cubaseのミキサー画面
Cubase AI

「歌ってみた」のやり方は講座形式でまとめているので、参考にしてください。

歌ってみた講座をみる

ボーカル 録音 まとめ

ノートとペン
  • マイク距離はこぶし1つ分が基本
  • 録音の波形は最大で枠内の80%くらいで収まる音量にする
  • ボーカルトラックは3トラック分くらい録っておく

ぎたすけ

ライブのときと同じように歌えばいいのかと思ったら、意外と難しいんだな

たけしゃん

そうだね。ライブとは少し違うから、ポイントを押さえておいたほうが良いね

ボーカルレコーディング(録音)についての解説でした。

歌が上手くなるには、自分の歌を聞いて考えてをとにかく繰り返すのが一番です。

マイク距離や歌いだしの音などは色々試して、試行錯誤すると良いですね。

マイクに対しての声の載り方を意識して、色々とやってみると成長します。

声について詳しく学ぼう

歌の要素を理解しよう

ボイストレーニングをやってみよう

ボーカルの知っておくべき知識