ぎたすけ
たけしゃん
弾き語りすとLABO ボイトレ講座。今回はミックスボイスです。
高音発声に欠かせないテクニックであり、ボイトレでも男性を中心にミックスボイスの習得が目標となるケースが多いです。
本記事ではミックスボイスの仕組みから、練習方法まで参考音源や練習用伴奏付きで解説をしていきます。
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ミックスボイスとは
ミックスボイス(A4)
ミックスボイスとは、主に中高音域を担当する声区です。
地声と裏声の中間的な声なので、ミックスボイスと呼ばれています。
ミックスボイスは音域が高いので、声帯は細く薄く伸びた状態になっています。
この状態から裏声だと声帯の粘膜部分だけ振動しますが、ミックスボイスの場合は声帯もしっかり振動します。
よく、「ミックスボイスを習得するには裏声の練習をやろう」と言いますが、それは声帯を細く伸ばすという行為が一緒だからです。
しかし、声帯を伸ばしつつ、閉鎖した状態をキープするのは慣れるまで大変なんですよね。
声帯閉鎖が弱いうちは声が裏返ったり、カスカスな音しか出せなかったりします。
なので、まずは負担の少ない裏声で声帯を伸ばして閉鎖するという行為に慣れ、徐々に地声側に音を寄せていくのが効果的なわけです。
といっても、実際に声帯が閉鎖しているかどうかはわからないですよね。
そこは音で判断できるようになりましょう。カスカスな声だと声帯閉鎖が弱い状態です。
声帯閉鎖が弱い裏声
対して、声帯閉鎖がしっかりできていると密度の高い音になります。
声帯閉鎖ができている声
そして、密度の高い裏声が安定したら、地声と裏声の音色を近づけていきます。
この音色を近づける練習をひたすらやっていくとミックスボイスができるようになっていきます。
次章では具体的に練習用の伴奏音源を用意したので、ミックスボイスの練習してみましょう。
ミックスボイスを練習しよう
ミックスボイスの練習は下記の3ステップを繰り返しやるのが有効です。
- 裏声の密度をあげる
- 地声と裏声を往復して切替をスムーズにする
- 地声と裏声の音色を近づけていく
ミックスボイスは本当に色んな情報が出てます。
僕自身も色んなやり方や練習方法を長年試してきました。
そうやって色々勉強して、試してきた僕の結論は「上記の3点をひたすら練習する」なんですよね。
たけしゃん
裏声の発声練習
まずは裏声の発声練習です。
練習時はカスれないように密度のある声を意識しましょう。
オペラのように太く響きのある声をイメージすると安定しやすいです。
練習音源に合わせて「Fu」と発声していきましょう。
男性用 練習音源
女性用 練習音源
なお、さらに詳しい裏声の発声、練習メニューは下記の記事を参照ください。
地声と裏声の往復
続いては地声と裏声の切替を練習していきます。
音域は上図の通りになっています。無理をせずに早めに裏声に切り替えましょう。
重要なことは地声を引っ張り上げないことです。
ミックスボイスは裏声から地声に寄せるアプローチのほうが絶対に上手くいきます。
なので、早めに裏声に切り替えて、徐々に裏声の音色を地声に近づけていくように心がけてください。
今度は「Mah(マー)」という発音で音源に合わせて練習していきましょう。
男性用 練習音源
女性用 練習音源
まずは地声と裏声をスムーズに切り替えられることを意識しましょう。
「Mah(マー)」の次は「Non(ノン)」でも同じように発声練習しましょう。
男性用 練習音源
女性用 練習音源
言葉が違うだけで、大分変わります。
「Mah」「Non」以外にも「Men(メン)」とかで練習するのも良いですね。
地声と裏声の変わるポイントに意識を集中して練習するようにしましょう!
地声と裏声の音色を近づける
地声、裏声の往復が安定してきたら、次は裏声の音質を徐々に地声側に寄せていきます。
この時に地味に重要なのが地声→裏声という寄せ方ではなく、裏声→地声に寄せる意識を持つことです。
たけしゃん
先ほどの音源を使って、練習をしていきましょう。
発声する音は「Mah(マー)」と「Non(ノン)」の両方でやりましょう。
男性用 練習音源
女性用 練習音源
特に意識するべきところは地声と裏声を切り替える喚声点と言われる部分です。
男性は「E4~G4」くらいの方が多く、女性だと「A4~C5」のあたりが多いです。
この喚声点をスムーズに切り替えられると、高音が一気に楽になります。
音質の変化を少なく切替できるように繰り返し練習しましょう。
次からは基礎が上手くできてきた人向けの練習を少し解説していきます。
喚声点を意識しよう
喚声点とは声区を切り替えるポイントを指します。
つまり、地声とミックスボイスを切り替えるポイントとなる音です。
この喚声点をスムーズに対応できるようになるのが、高音曲を楽に歌うために何より重要です。
喚声点が重要な理由は主に下記の3点です。
- ミックスボイスに切り替われば高音はそんなに疲れない
- 喚声点で切替が甘いと地声で引っ張って喉が辛くなる
- サビは喚声点の音域がよく出てくる
ミックスボイスにスムーズに切替できれば、音が高くてもそんなに疲れないんですよね。
疲れる場合は大抵が喚声点でつまづいて、地声のまま張り上げるポイントができてます。
たけしゃん
しかも、喚声点の音域って登場頻度がとにかく多いんですよね。
なので、比較的低めの音からスムーズにミックスボイスに切替できると疲れなくなって歌が格段に安定します。
そして、色んな言葉や色んな音程で切替を安定させられることも大事ですね。
ミックスボイスができるようになった…!と言っても、言葉・音程・音の作り方などで精度が大きく変わるものです。
高音が出ない場合も単音なら難なく出せたりするので、切替が上手くいってないだけのケースが多いです。
単音の最高音にこだわるより、喚声点での切替に着目して練習したほうが効果的です!
遅いテンポで練習しよう
喚声点の切替で有効な練習方法は遅いテンポで練習することです。
遅いテンポでゆっくり声区を切り替えると、切替が上手くいっていないポイントがより明確になります。
普通のテンポで切替ができるようになってきたら、次のステップで遅いテンポで練習してみましょう。
こちらも、テンポを落とした練習音源を用意しました。
発音は「Mah(マー)」や「Non(ノン)」を使って練習しましょう。
男性用 伴奏音源
女性用 伴奏音源
地声、裏声を切り替える部分を丁寧に意識しましょう。
できるだけ、音質を寄せて音の段差ができないように切替を行います。
ミックスボイス習得にかかる期間
ミックスボイスができるようになるまでの期間は1~2年くらいが多い印象です。
ただ、個人差が本当に激しいです。
普段の喋り声が既にミックスボイスっぽい人がいて、そういった人はすんなりできるんですよね。
男性は日常会話だと低音しか使わないのもあって、時間がかかるケースが多いです。
それでも、ちゃんと日々練習していれば、1~2年くらいでミックスボイスを出せるようになりますね。
たけしゃん
ミックスボイスの平均音域
性別 | ミックスボイスの音域 |
男性 | F4~B♭4 |
女性 | B4~D5 |
主に楽曲内で使われるミックスボイスの音域は男性が「F4~B♭4」。女性が「B4~D5」です。
ただ、最高音についてはそこまで気にする必要はないかなと思います。
上に伸ばす分には練習すれば伸ばせます。
たけしゃん
とはいえ、自身の声質が魅力的に聴こえる音域を見極めることも大事です。
僕もD5くらい高いとキンキンしちゃうので、ミックスボイスはC5くらいまでにしてます。
ミックスボイスもある程度はできるようになって、最高音を伸ばしていきたい人は下の伴奏音源で練習しましょう。
発音は「Mah(マー)」で大丈夫です。
男性用 伴奏音源
女性用 伴奏音源
そして、最高音よりも重要なのは喚声点です。
喚声点を上手く対応できれば、最高音は比較的簡単に伸ばせるので喚声点をとにかく意識したほうが良いです。
例えば、Official髭男dismは全体が高いので、AメロやBメロでも喚声点付近の音域が良く出てきます。
切替が甘いと、サビ前につかれてしまうので最高音がキレイに出せないです。
サビだけ歌えば、歌えるのにフル尺だと高音が出ない人は特に喚声点を練習したほうが良いです。
ミックスボイスを活用しているアーティスト
最後は参考例として、ミックスボイスを活用しているアーティストを男女2組ずつ紹介していきます。
基本的にはみなさん使っているので、自分の好きなアーティストを参考にしましょう。
一方でミックスボイスの音色は人によって、大分違います。
本章でも地声寄りのミックスボイス、裏声寄りのミックスボイスの双方のアーティストを例に出して紹介していきます。
Official髭男dism
Cry Baby/Official髭男dism(YouTube)
ハイトーンボイスが特徴的なOfficial髭男dismです。
ボーカルの藤原さんは高音でも地声寄りの力強いミックスボイスを多用しています。
高音の力強さに目が行きますが、喚声点の切替がものすごく上手いです。
F~F#あたりでミックスボイスに変わってる印象を受けますが、わからないレベルで音色が揃ってますね。
ヒゲダンの曲はAメロやBメロから、喚声点の音域にかかることが多く、喚声点の処理が重要になります。
また、サビの最後が高音のロングトーンが多いので、かなりミックスボイスの練度を高めないと歌えないですね。
SPITZ
ハイトーンボイスの代名詞ともいえる、SPITZ。
同じ高音でも、SPITZの草野マサムネさんとヒゲダンの藤原さんだと、大分印象が違いますよね。
SPITZの場合は裏声にかなり近いミックスボイスになっています。
柔らかくて、滑らかな高音が特徴的ですね。
草野マサムネさんはどの言葉でも、音程でも発声が安定してすごいです。
普通は高音が出しづらい言葉などもガンガン入っているので、歌ってみると音の高さ以上に高く感じます。
LiSA
力強い高音が非常に気持ちいいボーカリスト LiSAさんです。
曲中でもミックスボイスを活用して、力強い魅力的な高音を多用しています。
音を聞く感じでは声帯閉鎖が非常に安定しており、力強さはありつつも声自体は軽いです。
こういった音だと、歌っていても喉が疲れにくいんですよね。
ミックスボイスの参考曲として、非常に勉強になることが多いアーティストですね。
YOASOBI
最後は2020年に大ブレイクしたYOASOBIです。
YOASOBIはLiSAさんとは異なり、裏声寄りのミックスボイスを活用されています。
高音に入っても、大きくはテンションが変わらず、滑らかで聴きやすい音です。
女性アーティストはミックスボイスの音質が人によって、大分違います。
大きく分けると、「LiSAさん」や「Adoさん」といった力強いタイプ。
そして、「YOASOBI」や「ずっと真夜中でいいのに。」など裏声寄りの滑らかなタイプですね。
ミックスボイスの練習では、最初の段階でどういった音質にしたいのかイメージは固めたほうが楽ですね。
自身の好きなアーティストを中心に色んな楽曲を聞いて、高音のイメージを作っておくと良いでしょう。
ミックスボイス まとめ
- ミックスボイスは裏声と地声の中間的な声区
- 力強く心地よい高音を出すには必須のスキル
- 地声と裏声を往復する練習をひたすらやるのが効果的
ぎたすけ
たけしゃん
ミックスボイスの解説でした!
ボイストレーニングでも、ミックスボイスが主な課題になることが本当に多いです。
その分、ミックスボイスが安定すると色んなことが解決します。
なぜなら、声帯を自由に調整できないとミックスボイスはできないからです。
苦労は多いですが、地道に練習を積み重ねていきましょう。
声について詳しく学ぼう
歌の要素を理解しよう
ボイストレーニングをやってみよう
ボーカルの知っておくべき知識
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