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AUDIENT iD4mkII
入力端子 | コンボジャック×1 1/4 “ライン入力×1 |
出力端子 | 1/4 “ライン出力×2 ヘッドホン端子 ×2 |
サンプルレート | 96kHz / 24bit |
接続端子 | USB-C |
対応OS | Windows 10 Windows 11 macOS 10.13.6 (Hgh Sierra) macOS 10.14.X(Mojave) macOS 10.15.X(Catalina) macOS 11.1.X(Big Sur) macOS 12.X(Monterey) macOS 13.X(Ventura) |
音質に定評がある1997年設立のイングランドのオーディオメーカーAUDIENT。
そのAUDIENTの低価格帯のオーディオインターフェイス iD4mkIIです。
先代のiD4の時代から、制作側で使っている人が割と多い印象の製品です。
コンパクトで音質が良く、本体の操作性も優れています。
音楽制作用途では、かなり優秀な製品になっています。
まずはiD4mkIIの製品仕様から解説していきます。
仕様を飛ばして、レビューを見たい方は<iD4mkIIをレビュー>を参照ください。
2IN 2OUT
iD4mkIIは2IN 2OUTのオーディオインターフェイスです。
2万円後半では珍しく、コンボジャック1基なのでマイクは基本的に1本しか使えません。
マイクプリアンプはプロスタジオ向けコンソールASP8024 Heritage Editionと同じディスクリートClass-A回路を採用しています。
続いて、1/4″ライン入力は前面左についています。
JFETインストルメント入力という名称で、クラシックな真空管アンプの入力部分をベースにデザインされたD.I入力になっています。
出力は背面の1/4″ライン端子です。
また、前面右には3.5mmと6.3mmのヘッドホン端子が用意されています。
音量の調整は上面の大きいノブで行います。
1/4″ライン出力とヘッドホンで共有のボリュームノブになっています。
ちなみに押すとDim機能が動作し、信号レベルが15dB下がります。
また、上面にはミュートスイッチとMONITOR MIXノブがついています。
MONITOR MIXノブはダイレクトモニターとPCの再生音のバランスを調整するノブです。
INPUT側に全振りするとPCの再生音がゼロとなり、DAW側に全振りするとダイレクトモニターの音量がゼロになります。
更には本体だけでCh1とCh2のモニターパンを調整できるようになっています。
ミュートボタン、iDボタンを同時に長押しながら、大きいノブを回すことでパン振りできます。
なかなか多機能ですね。
配信でもOBSと絡めて使えば、かなり便利そうです。
ループバック機能
iD4mkIIは配信で便利なループバック機能にも対応しています。
専用ソフトでループバックさせるソースも選べるため、非常に便利です。
ただし、MOTU M2と一緒でループバック専用チャンネルを使う、やや特殊な仕様になっています。
この仕様は便利ですが、機材に詳しくないと理解するのが少し大変です。
ここでもザックリと仕組みを解説するので、配信で使う予定の方はある程度理解した上で購入検討してください。
まず、iD4mkIIでPCの再生音を流すには配信ソフトなどの入力チャンネルに「Loop-back 1/2」を指定します。
配信ソフト側の設定はこれだけでOKです。
ちなみにループバックを使わない場合は「Analogue 1/2」を選択すればOKです。
なお、MacではOSの仕様で「Audient iD4」しか選択肢がありませんが、このAudient iD4がループバックONになっています。
あとは後述の「iD Loop-back Mixer」で入力する音の選択を行いましょう。
また、iOSの配信アプリでは「Analogue 1/2」が固定で選択されるため、ループバックを使えませんでした。
続いて、ループバックさせるソース(音)を専用ソフトの「iD Loop-back Mixer」で設定します。
ドライバをインストールするとデスクトップ右下のタスクトレイに「iD」というアプリが入っているので起動しましょう。
なぜか起動時は画面が閉じた状態で立ち上がります。
横端をドラッグして横に展開しましょう。
このミキサーでフェーダーを上げたチャンネルだけが「Loop-back 1/2」に音が入力される仕様になっています。
例えば、PCの再生音だけをLoop-back 1/2に入力したい場合は「MAIN OUTPUT 1/2」のフェーダーだけ上げます。
この設定ではマイクの音はループバック対象外となるため、配信にはPCの再生音だけが流れます。
マイクの音もLoop-back 1/2に出す場合は「MIC 1」のフェーダーも上げましょう。
基本的には配信ではマイクとPCの再生音を流すと思うので、上図の設定が良いでしょう。
マイクとPCの再生音の音量バランスは各フェーダーで調整できます。
なお、iD Loop-back Mixerは名前の通りでループバックチャンネルにのみ作用するものです。
フェーダーを上げ下げしても、ヘッドホンの音量などは変わりませんので注意しましょう。
Scroll Controlモード
iD4mkIIのiDボタンにはScroll Controlモードが搭載されています。
エンコーダー(大きいノブ)にスクロール・ホイール機能をアサインすることで、DAWのオートメーションなど様々な機能にアクセスできます。
オートメーション書く時はノブのほうがやりやすい人が多いと思うので、地味に良い機能ですね。
付属品
iD4mkIIの付属品はUSB-Cケーブルです。
その他、ダウンロード形式で下表のソフトウェアがついてきます。
ソフト | 概要 |
Cubase LE | 総合音楽ソフト(DAW) CubaseのLite版 |
Cubasis LE | iOS、Androidで動く 総合音楽ソフト(DAW) |
M-Tron Pro LE | Melltronのエミュレーション ソフトウェア |
Torpedo Wall of Sound | スピーカーとマイキングの シミュレーションソフト |
Subito Piano | ピアノ音源 |
Waldorf Edition 2 LE | シンセ系プラグイン |
Loopcloud | サンプリング集 |
音楽制作に使えるソフトウェアが豊富に付属しています。
音楽制作用途ではかなり使いやすい製品になっています。
また、iD4mkIIはiOSでも駆動します。
iOSで使用するためには、「AppleカメラアダプターキットとアクティブUSBハブが必要」と公式に記載されています。
アクティブUSBハブはおそらくセルフパワータイプのUSBハブを指すのかと思います。
筆者のiPhone 13 ProではUSB 3カメラアダプタとセルフパワータイプのUSBハブで正常動作しました。
USB 3カメラアダプタに電源供給しても動作しないので注意してください。
AUDIENT iD4mkIIをレビュー
それでは、iD4mkIIを細かくレビューしていきます。
はじめにメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。
音質から機能面まで隙のない、非常によくできた製品です。
一方で使い方がやや難しく、一部機能は日本語の取扱説明書に記載がないので初心者向けとは言い難いです。
機械の扱いに自信がない方はSteinbergやYAMAHAなどの製品を買ったほうが安全です。
音質は3万円前後でトップレベル
音質の良さには定評のあるAUDIENTですが、iD4mkIIも3万円程度とは思えない素晴らしい音質です。
GAINをかなり上げてもクリーンに上がりますし、音に雑味を感じません。
3万円程度でこれだけの音質は脱帽です。
また、再生音の質も素晴らしいですね。
1万円台の製品と聴き比べると明らかに差を感じます。
透き通った解像度の高い音が返ってくるので、歌録りしていてもモニターが聴き取りやすくて快適です。
僕が普段使っているBabyface Pro FSと比べても、そこまで大きな差は感じません。
3万円前半でこのクオリティは本当に凄いですね。
配信用途はPCは良好。iOSは厳しい
iD4mkIIはループバック機能も搭載しているため、ライブ配信でも使いやすいです。
専用ソフトでループバックさせるソースの選択や音量調整もできるのが良いですね。
DSPエフェクトは使えないものの、ループバックの使い勝手は低価格帯の製品では一番良いと思いました。
一方でループバックは専用チャンネルを使う仕様なので、iOSで使用するのは厳しいです。
ステレオミックスも同様にiOSの配信アプリだと使えないため、iOSでの配信にはあまり適していません。
CubasisなどiOS用DAWでレコーディングする分には使えるので、iOSだと用途はそれくらいかなと思います。
品質は素晴らしいが初心者向けとは言い難い
iD4mkIIは音質・機能面はとても素晴らしいですが、使い方はやや難しいです。
ループバックも含めた本体機能を使いこなすには、きちんと製品の仕様を理解する必要があります。
また、一部機能に関しては日本語取扱説明書に説明がなく、公式動画(英語)を見て理解するしかありません。
そのため、機械の取扱が苦手な人にはやや薦めにくい製品ではあります。
一方で価格帯の割には非常に機能豊富で便利な製品です。
なので、使い方さえ覚えてしまえば、間違いなく価格以上に役立つ製品でもありますね。
競合製品との比較
最後は競合製品との比較です。
iD4mkIIと比較されることが多い、MOTU M2、SSL 2と細かく比較していきます。
まず、ザックリ言うと3製品ともコンセプトはほぼ一緒です。
音質重視で制作向け、ライブ配信の機能はやや弱いです。
そのため、歌ってみたやDTMに適しています。あとはオーディオリスニングも適しています。
逆にライブ配信メインの方は1万円台のSteinberg UR22CやYAMAHA AG03mk2のほうが便利ですね。
その上で似ている3製品を比較していきましょう。
MOTU M2との比較
まずはMOTU M2との比較です。
音質面では入力・出力ともにほぼ互角という印象です。
iD4mkIIもM2も3万円近辺とは思えない音質レベルで感心するばかりです。
大きな違いとしては入力端子の構成ですね。
iD4mkIIはコンボジャック1基、1/4ライン端子1基ですが、M2はコンボジャック2基で構成されています。
M2はマイク2本を同時利用できるため、接続楽器の自由度が高くなっています。
また、入力端子が前面についているため、機材を付け替えることが多い人はM2のほうが楽です。
一方でループバックに関してはiD4mkIIのほうが自由度が高いですね。
M2のループバックにはソース選択や音量調整機能はありません。
対して、iD4mkIIは専用ソフトで調整できるようになっています。
なので、まとめると以下の通りです。
- 音質はどちらも素晴らしく甲乙つけがたい
- 接続楽器の自由度はMOTU M2のほうが高い
- ループバックの自由度はiD4mkIIのほうが優れている
- 価格は同等
コンボジャックが2基必要かどうかが焦点ですね。
マイクを1本しか使わないのであれば、ループバックも使いやすいiD4mkIIで良いかと思います。
逆に弾き語りをやる方や生楽器を録音される方はMOTU M2にしておいたほうが良いですね。
SSL 2との比較
続いてはSSLのSSL 2との比較です。
まず、音質面を比較すると入力(録音)はほぼ互角です。
出力(再生)に関してはiD4mkIIのほうがワンランク上に感じました。
SSL 2も十分良いですが、iD4mkIIの音質が良すぎます。
続いて、機能面ですが、SSL 2の入力端子はコンボジャック2基となっています。
そのため、接続楽器の自由度はSSL 2のほうが優れていますね。
ただ、個人的にはPhone端子が背面にあるのは少し不便だなと感じてしまいました。
その他、SSL 2には「LEGACY 4K」という入力音の質感を変えるユニークな機能が備わっています。
4Kボタンを押すと「ANALOGUE ENHANCEMENT EFFECT」というエフェクトがかかります。
このエフェクトは高音部分がブーストされつつ、アナログらしい質感がプラスされるものです。
ボーカルにかけると音の抜けが良くなり、音が前に出ますね。
ループバックに関してもSSL 2は2023年3月のアップデートで使えるようになりました。
ただし、iD4mkIIのようにソフトウェアで細かく調整はできません。
なので、ループバックの使い勝手に関してはiD4mkIIのほうが優れています。
まとめると以下の通りです。
- 音質は録音は互角、再生はiD4mkIIのほうが良い
- 接続楽器の自由度はSSL 2のほうが高い
- ループバックの自由度はiD4mkIIのほうが優れている
- 価格はSSL 2のほうが6,500円程度安い
ポイントは入力端子の自由度と再生音の質ですね。
SSL 2はコンボジャック2基なので、マイクを2本同時に使用できます。
弾き語りなどもやる方はSSL 2のほうが良いです。
逆にマイク1本しか使わないのであれば、iD4mkIIで大丈夫です。
また、再生音の質に関してはそれなりに差があります。
SSL 2がダメなわけではなく、iD4mkIIとMOTU M2がこの価格帯にしては良すぎるという印象です。
SSL 2は2.5万円程度と他2機種より価格帯は少し下がるので、このへんは予算次第ですね。
コスパで考えるとSSL 2もかなり優秀だと思いますが、個人的にはiD4mkIIかMOTU M2をお勧めします。
AUDIENT iD4mk2 まとめ
- 入力・出力ともに音質はお値段以上で素晴らしい
- ループバックは専用ソフトで細かく調整可能
- 付属プラグインも豊富で音楽制作に最適
ぎたすけ
たけしゃん
AUDIENT iD4mkIIのレビューでした。
AUDIENTというとMacというイメージが強く、触ってきませんでしたが、使ってみると非常に良い製品でした。
機能面も優れていますが、やはり音質の良さに感動しましたね。
特に再生音はほんとに素晴らしく、3万円程度とは思えないレベルでした。
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