男性の音域を平均・低め・高めの3種類で解説。音域チェックできる音源付き

男性の音域早見表

ぎたすけ

年々、男の曲ってキー高くなるよな。歌えない曲ばっかりで困るぞ

たけしゃん

ほんとだよね。今回は男性曲を歌うのにどれくらいの音域が必要なのかを色々調べたから解説していくよ

弾き語りすとLABO ボイトレ講座。今回は男性の平均的な音域についてです。

歌の練習をするにも、ある程度目標はあったほうが良いので必要な音域を理解することは実は結構重要です。

本記事では主に下記の5点を解説していきます。

なお、本記事ではボイストレーニングで一般的な国際表記の「C1~C6」という単位で音階を記載していきます。

音階のアルファベットと数字の意味を図解で説明した画像

ちなみに「mid1」「mid2」「hi」というネット特有の表記と国際表記を併記すると下図のようになります。

音域の表記。C1~C5とLow、mid1の読み替え表
ネット特有の表記はA(ラ)がスタートで単位が変わる

音楽教育の現場だと全部国際表記なので、C1~C6に慣れることをおすすめします。

女性版の音域記事はこちら

女性の音域早見表女性の音域を平均・低め・高めの3種類で解説。参考アーティストも合わせて紹介

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この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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男性の音域早見表

男性の音域早見表
音域
(男性)
最低音地声
最高音
裏声
最高音
低めC3F#4B4
平均的D3A4D5
高めF3D♭5F5

男性曲を分析すると、使う音域は上記の3種類に大別されます。

最近では、Official髭男dismなどを筆頭にキーの高い男性アーティストがヒットチャートを席巻しており、大分音域が広がったなぁ…と感じてます。

とはいえ、大半の男性曲はD3~D5の範囲で収まるので男性は2オクターブ出せれば大半の曲は歌えます。

男性は2オクターブ出せると色んな楽曲が歌える

D3の音

A4の音

D5の音(裏声のキー)

ただ、この2オクターブについても歌で使いこなすのは容易ではありません。

おそらくD3は大抵の方が余裕で出せると思います。

補足

低音は日常会話でも使うため、大抵の人はG2くらいまでは出せる

一方で地声のA4、裏声のD5はトレーニングせずにキレイに発声できる人はほとんどいません。

ボイストレーニングや歌いこみで、音域を拡張・安定させていく必要があります。

また、音域の広さにばかり着目しがちですが、実際の歌唱力においてはこの2オクターブの音をどれだけ完成度高く出せるかが重要です。

ヒットチャートで人気のアーティストは必ずしも3オクターブなど出せるわけではないですが、大半の方が2オクターブは魅力的で完成度の高い音で発声できています。

この先の目次

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自分の音域をチェックしてみよう

ピアノの鍵盤

男性ボーカルさんがブラウザ上で自分の音域を調べられるよう、3オクターブ分のサンプル音を用意しました。

男性用の音域チェックの範囲 3オクターブ

1音ずつ鳴らして、どこからどこまで出せるか試してみましょう。

たけしゃん

G2とG5に僕の声の音源も用意したので、ピアノ音だけだとオクターブがわからない人は確認で使ってください
G2の音の位置と男性の平均的なキー

キー確認用のボイス音源(G2)

A♭2の位置と平均的な男性の音域
A2の位置と平均的な男性の音域
B♭2の位置と平均的な男性の音域
B2の位置と平均的な男性の音域
C3の位置と平均的な男性の音域
D♭3の位置と平均的な男性の音域
D3の位置と平均的な男性の音域
E♭3の位置と平均的な男性の音域
E3の位置と平均的な男性の音域
F3の位置と平均的な男性の音域
F#3の位置と平均的な男性の音域
G3の位置と平均的な男性の音域
A♭3の位置と平均的な男性の音域
A3の位置と平均的な男性の音域
B♭3の位置と平均的な男性の音域
B3の位置と平均的な男性の音域
C4の位置と平均的な男性の音域
D♭4の位置と平均的な男性の音域
D4の位置と平均的な男性の音域
E♭4の位置と平均的な男性の音域
E4の位置と平均的な男性の音域
F4の位置と平均的な男性の音域
F#4の位置と平均的な男性の音域
G4の位置と平均的な男性の音域
A♭4の位置と平均的な男性の音域
A4の位置と平均的な男性の音域
B♭4の位置と平均的な男性の音域
B4の位置と平均的な男性の音域
C5の位置と平均的な男性の音域
D♭5の位置と平均的な男性の音域
D5の位置と平均的な男性の音域
E♭5の位置と平均的な男性の音域
E5の位置と平均的な男性の音域
F5の位置と平均的な男性の音域
F#5の位置と平均的な男性の音域
G5の位置と平均的な男性の音域

キー確認用のボイス音源(G5)

音域チェックにおいて大事なのは「歌で使える音域をちゃんと確認することです。

よく、ボイトレでも「声楽的音域」「生理的音域」といった言い方でわけますが、ひねり出せば3オクターブ近く出せる人は結構いると思います。

一方で歌唱で使える音域となると、トレーニングしていない人だと平均で1.5オクターブくらいが多いです。

しかも、その出せる1.5オクターブもG2~E4などの低めの音域なはずです。

男性曲の平均的な音域と普通の男性の平均的な音域の違い

まず、目標とすべきはD3~D5の2オクターブをキレイかつ自在にコントロールできるようになることです。

次章からは具体的にアーティストを例に出して、よくある男性の音域を解説していきます。

この後の目次

低めの男性の音域

低めの男性の音域表
音域
(男性)
最低音地声
最高音
裏声
最高音
低めC3F#4B4

低めの男性アーティストでよくある音域は「C3~B4」です。

まずは実際の音の高さを聴いてみましょう。

最低音 C3

地声最高音 F#4

裏声最高音 B4

該当するアーティストはあまり多くはなく、ジャニーズの方や俳優さんなどが多いですね。

あとは歌謡曲やフォークなど昔の楽曲は低めの音域で歌える曲が多いです。

一方で福山雅治さんなどの楽曲では、E2など非常に低い音も出てきます。

高音はトレーニング次第で伸ばせますが、低音は練習しても広がらないことが多いので割り切ることも大事ですね。

音域低めの男性アーティスト

星野源の不思議
アーティスト最低音地声
最高音
裏声
最高音
星野源D3F#4A4
福山雅治C3E4A♭4
BUMP OF CHICKEND3A♭4D♭5
補足

上記表は対象アーティストの楽曲で頻度が高い、最低音と最高音を記載しています

音域が低い男性アーティストの代表例は星野源さんですね。

地声の最高音がF#4あたりで収まっている曲が多いので、男性でも歌いやすい楽曲が多いです。

不思議/星野源(YouTube)

また、昔から音域が低いアーティストの代表例である福山雅治さんの楽曲も裏声含めて低いので歌いやすいですね。

家族になろうよ/福山雅治(YouTube)

一方で福山雅治さんの楽曲は曲によってE2などの大分低めの音があるので、低音が辛い人も多そうです。

あとはBUMP OF CHICKENも地声の最高音がA♭4くらいで収まるので、比較的歌いやすいです。

Small world/BUMP OF CHICKEN

ただ、BUMP OF CHICKENの場合は裏声が割と上まで行くので、曲によって2.5オクターブ近く使う曲もあり、歌うのが辛い曲もあるので注意ですね。

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平均的な男性の音域

平均的な男性の音域表
音域
(男性)
最低音地声
最高音
裏声
最高音
平均的D3A4D5

続いては平均的な男性曲の音域です。8割ぐらいの楽曲は上記範囲で収まります。

まずはそれぞれの音程を聞いてみましょう。

最低音 D3

地声最高音 A4

裏声最高音 D5

なお、上記の音域はメジャーでリリースされている楽曲を調査して出した平均音域です。

なので、平均と言いつつトレーニングをしていない男性だと大半の方が高音は出ません。

男性曲の平均的な音域と普通の男性の平均的な音域の違い

一方で地声のA4や裏声のD5くらいであれば、トレーニング次第で大半の人が出せるようになる音です。

後述の<音域の広げ方>を参考にトレーニングしてみましょう。

平均音域の男性アーティスト

ドライフラワー/優里(YouTube)

アーティスト最低音地声
最高音
裏声
最高音
優里C3A4B4
VaundyC3B♭4D5
米津玄師D3A4B4
Mr.ChildrenD3A4C5
back numberB2A4C5
補足

上記表は対象アーティストの楽曲で頻度が高い、最低音と最高音を記載しています

平均的な音域の男性アーティストは全体の8割くらいを占めており、非常に幅が広いです。

上記で例に挙げたアーティストを見ても、人によって印象は結構違いそうです。

例えば、米津玄師さんは地声でA4が出てくる楽曲のほうが少ないので、低めに近いアーティストです。

Lemon/米津玄師(YouTube)

歌いまわしは難しいものの、音域的には歌いやすい楽曲が多いですよね。

対して、Vaundyは地声最高音B♭4の曲が多いというだけで、曲によってはもっと上の音域を多用しており、かなり音域高めなアーティストです。

東京フラッシュ/Vaundy(YouTube)

Vaundyやミスチルについては、曲によって低音域もかなり下までいきます。

そのため、全曲歌いこなすには3オクターブちかい音域を使いこなす必要があります…。

また、スピッツのように地声の最高音自体はA4~B4くらいでも、楽曲全体のキーがずっと高いアーティストなどもいます。

このように平均的な音域のアーティストは非常に幅が広いです。

とはいえ、地声最高音でA4まで安定すれば、かなりの楽曲が歌えるようになるのでミックスボイスの習得など高音域の安定を目指しましょう。

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高めの男性の音域

高めの男性の音域表
音域
(男性)
最低音地声
最高音
裏声
最高音
高めF3D♭5F5

最後は高めの男性の音域です。

最近は音域が高い男性アーティストがヒットチャートを席巻してるのもあって、以前よりは高音域を求める人が増えましたよね。

まずは最低音と最高音の音を聞いてみましょう。

最低音 F3

地声最高音 D♭5

裏声最高音 F5

この音域だと女性曲と変わらないですね…(苦笑)。

ボイストレーニングすれば出せるようにはなるものの、声的な相性も出てくる音域ですね。

あまり、音の高さにこだわりすぎずに自分の魅力を出せる音域にとどまる決断も必要です。

高音域の男性アーティスト

iPhone付属のイヤホン
アーティスト最低音地声
最高音
裏声
最高音
Official髭男dismE♭3D♭5F5
King GnuC3B4F#5
Mrs.GREEN
APPLE
C3B4G5
UNISON SQUARE
GARDEN
E3B4D5
ONE OK ROCKE3D5D5
補足

上記表は対象アーティストの楽曲で頻度が高い、最低音と最高音を記載しています

高音域のアーティストは2015年くらいから傾向が変わった印象がありますね。

以前はONE OK ROCKなど地声寄りのヘッドボイスで超高音域を出すアーティストが流行っている印象でした。

2018年以降は地声寄りの発声で出す音域はB4くらいまでで抑えて、繊細な裏声でF5とかG5などの超高音域を出すアーティストが多くなりました。

代表的なアーティストはKing Gnuですね。

白日/King Gnu(YouTube)

白日もめちゃくちゃキレイで芯のある裏声が印象的ですよね。

また、ブルーノマーズなどの影響でブラックミュージック寄りの音楽をやっているミュージシャンでも高音域を多用する人が増えました。

こっちのは代表例はOfficial髭男dismですね。

iPhone付属のイヤホン

Cry Baby/Official髭男dism(YouTube)

ポップなようでリズムやメロディラインは、ブラックミュージックのエッセンスが随所に入っていておしゃれです。

高い音域の男性アーティストは音域的な難易度もありますが、音色の作り込みも重要です。

オペラ寄りの太い音にすれば高音域を出すのも比較的容易ですが、今どきの楽曲だと繊細かつ芯のある高音じゃないと雰囲気が出ません。

たけしゃん

次章では僕の経験から音域の広げ方について解説します!

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音域の広げ方

NEUMANN TLM103をEA4に取付したところ2

さて、男性の音域を理解したところで音域の広げ方も解説していきましょう。

音域は低音を広げるのは難しいですが、高音域はトレーニング次第で大きく広げることが可能です。

実際に僕自身も昔は地声で出せる最高音はG4くらいでしたが、今はミックスボイスを使ってC5やD5といった高音域も普通に歌えます。

僕の歌っている動画

ベテルギウス / 優里 【アコースティックCover】

逆に低音域は昔からほとんど変わってないです。

高音域を広げるためのポイントは下記の2点です。

それぞれを細かく解説していきます。

裏声を鍛える

BETA58A

高音域を広げるためにはミックスボイスを習得するのが一番効果的です。

そのために最初にやるべきことが裏声のトレーニングです。

カスれた裏声ではなく、芯のある裏声を出せるようになると徐々に地声と裏声をキレイに繋げられるようになります。

カスれた裏声

芯のある裏声

練習用にF4~E5までを出す音源を置いておくので、全て裏声で出す練習をしてみましょう。

鍵盤でF4~E5の位置を記載した図

最初は弱々しい裏声になると思いますが、日々練習すると徐々に音の密度を上げていくことができます。

ある程度、密度が出せるようになってきたら次のミックスボイスの練習も始めましょう。

ミックスボイスを身に着けよう

男性のミックスボイスの音域

サンプル音(A4)

続いては高音発声の主力となるミックスボイスについてです。

ミックスボイスは地声の裏声の中間的な声で、力強く伸びやかな高音を出すために必須のスキルです。

ミックスボイスは男性だとF4~B4の範囲を使用することが多いですが、できるようになれば更に上の音域に伸ばすことも可能です。

ミックスボイスを出せるようになるには、段階的に裏声と地声の音色を近づけていく練習が効果的です。

ミックスボイスの練習工程

こちらも練習用の音源を用意したので、やってみましょう。

音源はF#3~B4の音が鳴っています。最初は無理をせずに早い段階で裏声に切り替えましょう。

ミックスボイスの練習音域

徐々に裏声を強くしていって、地声とつなげるようにしていきます。

毎日やっていてもキレイに繋げられるようになるまで、半年~1年くらいはかかる人が多いです。

焦らず地道にやりましょう。

ミックスボイスに関しても、別記事でもっと詳しく解説しているので参考にしてください。

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男性の音域 まとめ

男性の音域早見表
  • 大半の男性曲はD3~D5の範囲で歌える
  • トレーニングしていない男性だと音域は1.5オクターブくらいの人が多い
  • 高音域はトレーニング次第で拡張することができる

ぎたすけ

通りでカラオケ苦手な男が多いわけだ。平均が既に高すぎるぞ

たけしゃん

そうなんだよね。よく出てくる音域が普通の男性には既に厳しいんだよ。だからボイトレの需要も高いんだろうね

男性の音域についての解説でした!

平均的な音域といっても、プロの話なので素人には高いんですよね…(苦笑)。

一方で訓練次第で音域は広げられるので地道なトレーニングが重要ですね!

弾き語りすとLABOのボイトレ講座でも高音域を広げる内容は色々と用意しているので、ぜひ参考にしてください。

声について詳しく学ぼう

歌の要素を理解しよう

ボイストレーニングをやってみよう

ボーカルの知っておくべき知識