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サブドミナントマイナー
サブドミナントマイナーとは名前の通りでサブドミナントをマイナーにしたコードのことです。
サブドミナントとはダイアトニックコードにおけるⅣのコードを指します。
つまりはサブドミナントマイナー=Ⅳm(Ⅳm7)となるわけですね。
キー別のダイアトニックコード一覧がこちら。
ⅣM7のところに書いてある〇M7コードをmもしくはm7に変えれば、サブドミナントマイナーになります。
アコギ弾き語りでよくCメジャーキーであればFm(Fm7)。GメジャーキーであればCm(Cm7)がサブドミナントマイナーになるわけですね。
やや不安定な響きのサブドミナントがマイナーになることで、メロウな響きを醸し出します。
リスナーがエモいメロディー!と感じるのがサブドミナントマイナー絡みのメロディーだったりします。
まずは普通のサブドミナントのコード進行とサブドミナントマイナーが入ったコード進行を聴き比べてみましょう。
サブドミナントのコード進行はいたって普通の流れですよね。
対して、サブドミナントマイナーは一瞬違和感があり、何ともエモい感じのコード進行になっています。
サブドミナントマイナーはポップスで本当に良く使われています。
最近のヒット曲では優里さんのドライフラワーで使われていますね。
サビの最後「きっときっときっと 色褪せる」の3回目の「きっと」部分がサブドミナントマイナーです。
本記事では、あなたが演奏や作曲などでサブドミナントマイナーを使いこなせるように使い方から活用事例を具体的に解説していきます!
サブドミナントマイナーの仕組み 目次
サブドミナントマイナーの使い方
サブドミナントマイナーは主にⅣm(Ⅳm7)を指しますが、コード進行への組み込み方は割と多彩です。
とはいえ、その中でも使用パターンはおおよそ決まっていて下記のパターンが用いられます。
- Ⅳ→Ⅳm(F→Fm)
- Ⅱm7→Ⅳm7(Dm7→Fm7)
- Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳm7(Dm7→Em7→Fm7)
ちなみにサブドミナントマイナーは歌詞の世界観と連動させて使うことが多いです。
サブドミナントマイナーには一気に雰囲気を変える力があるので、曲の展開や歌詞のストーリー性と紐付けた使い方を意識しましょう。
Ⅳ→Ⅳm
サブドミナントマイナーを使ったコード進行でも、最もよく登場するのが「Ⅳ→Ⅳm」です。
このパターンはBメロの最後、サビの頭、サビの最後など色んな所で活用されます。
Ⅳ→Ⅳmを使ったコード進行を1つみてみましょう。
この「Ⅳ→Ⅳm→Ⅴ」は色んなところで使われますが、特にBメロの最後やサビの最後で使われます。
メロウな雰囲気で一度終止して、次の展開に入っていくのでミドルバラードの曲などに適していますね。
使用している楽曲例としてはback numberのHAPPY BIRTHDAYが挙げられます。
HAPPY BIRTHDAY/back number(YouTube)
Bメロ最後の「どうも君のいない場所は空気が薄くてさ」が「Ⅳ→Ⅳm→Ⅴ」になっています。
一度、アンニュイな雰囲気で落としてサビで盛り上げる使い方ですね。バンドで多いパターンです。
歌詞も物憂げな表現なので、歌詞とコード進行を調和させていて上手いですよね。
ちなみに途中で登場するD7(Ⅱ7)はダブルドミナントと呼ばれる手法です。別記事で解説しているので、合わせて参照ください。
Ⅱm7→Ⅳm7
続いて②の「Ⅱm7→Ⅳm7」です。こちらもコード進行例を1つ出してみましょう。
このパターンもAメロ、Bメロ、サビなど至るところで登場しますね。
定番のパターンはサビの最後に使って、盛り上げからのサブドミナントで落とすパターンですね。
まさにその使用パターンで使われているのが優里さんのドライフラワーです。
サビの最後「きっときっときっと 色褪せる」が「Ⅱm7→Ⅳm7」です。
「きっときっときっと」で徐々にテンションを上げといて、サブドミナントマイナーで一気に落としてからの沁みる言い方の「色褪せる」。
サブドミナントマイナーを見事に活かした展開作りをされていますね。
Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳm7
最後の「Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳm7」はAメロやBメロあたりで使われることが多いです。
使われ方も前の2つとは違って、どちらかというとそれまでのコード進行に溶け込むような自然な形で使われますね。
実際にコード進行例を見てみましょう。
ルート音がⅡ→Ⅲ→Ⅳと上がっていくので、自然な流れが作られていますよね。
前の2つは大きな展開を作るタイプなのに対して、こちらは自然な流れで曲を進めるタイプのコード進行です。
最近の楽曲では藤井風さんが好んで使っており、旅路のAメロで使用されています。
Aメロの「恥ずかしくて消えたいけど、もう大丈夫」の部分が「Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳm7」になっています。
また、最後のG(♭Ⅶ)については後半で解説しますが、サブドミナントマイナー(Ⅳm)の代理コードです。
1小節丸ごとDm7でも問題ないところですが、代理コードを入れて浮遊感を作ってます。
ギター弾き語りでよく使うサブドミナントマイナー
ギター弾き語りの場合はカポタストを用いて、弾きやすい演奏キーに調整することが多いです。
そのため、よく弾く演奏キーはある程度決まっていて、サブドミナントマイナーで使われるコードも決まっています。
具体的には下記の4パターンですね。
- Cメジャーキー…Fm
- Dメジャーキー…Gm
- Gメジャーキー…Cm
- Aメジャーキー…Dm
Dmは色んなキーのダイアトニックコードとして出てくるため、サブドミナントマイナーかどうか判定するには曲のキーを特定するしかありません。
一方で他の3パターンはアコギ弾き語りだとダイアトニックコードとしてはあまり登場しないため、曲中に出てくる場合はサブドミナントマイナーである可能性が高いです。
自身でアーティストの曲をカバーしている時に上記のコードが出てきたら、サブドミナントマイナーかも…と思って確認してみましょう。
そうやって、確認していく作業を続けているといつの間にかコード進行の中での響きだけで「サブドミナントマイナーだ!」と分かるようになります。
コード進行の中の響きだけでサブドミナントマイナーを判別できると耳コピが非常に楽になりますね。
サブドミナントマイナーの発展系
サブドミナントマイナーはⅣm(Ⅳm7)とここまでお伝えしてきましたが、関連コード・代理コードなるものが存在します。
Ⅳmを使うところで代わりに関連コード・代理コードに置き換えることでコード進行の幅ができるわけですね。
本章ではサブドミナントマイナーの関連コード、代理コードをご紹介していきます。
ただし…まずはⅣm(Ⅳm7)の活用だけで十分です。
色々詰め込むと、逆効果なのでⅣmをしっかり使いこなせるようになったら関連コード・代理コードにも手を出していきましょう。
たけしゃん
この後の目次
サブドミナントマイナーの関連コード
- Ⅳm6(Fm6)
- ⅣmM7(FmM7)
サブドミナントマイナーの関連コードとして用いられるのはⅣm6とⅣmM7の2種類です。
どちらも登場頻度は多くないものの、たまに使いますね。
それぞれ、具体的なコード進行例を見てみましょう。
Ⅳmaj7→Ⅳm6→Ⅲm7
Ⅳm6はサブドミナントマイナー定番のⅣ→Ⅳmと同じ使用パターンです。
ⅣをⅣmaj7、ⅣmをⅣm6とすることでコードが複雑になり、よりアンニュイな雰囲気が強まります。
Ⅳ→Ⅳm→Ⅲm
Ⅳmaj7→Ⅳm6→Ⅲm7
後者のパターンはグッと大人っぽくなりますよね。
使われている楽曲も、大抵は大人の恋愛を題材にしたようなものが多い印象です。
G→Gm→F#mだと、この雰囲気は出せないですね。
Ⅱm7→Ⅲm7→ⅣmM7
ⅣmM7はサブドミナントマイナーでよくある「Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳm7」でⅣm7の代わりに使われます。
ⅣmM7はⅣm7に比べると、複雑で不気味な響きがします。
Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳm7
Ⅱm7→Ⅲm7→ⅣmM7
ⅣmM7にすると、エグみ的な要素が増しますね。
インパクトはありますが、使いどころが難しい感じはします。
秦基博さんは割と、この「Ⅱm7→Ⅲm7→ⅣmM7」を色んな楽曲で使ってますね。
代表的な楽曲は「スミレ」です。
スミレのBメロ最後の「胸を貫いた懐かしい痛み 君のせいだよ」が「Ⅱm7→Ⅲm7→ⅣmM7」です。
ちなみに秦基博さんが他にⅣmM7を使ってる楽曲はどれもアンニュイな雰囲気の楽曲ですが、スミレは珍しくアップテンポ曲ですね。
サブドミナントマイナーの代理コード
- Ⅱm7-5(Dm7-5)
- ♭Ⅱmaj7(D♭maj7)
- ♭Ⅵ7(A♭7)
- ♭Ⅵ6(A♭6)
- ♭Ⅶ7(B♭7)
サブドミナントマイナーであるⅣm(Ⅳm7)の代理コードとして使えるコードは上記の5種類です。
ただ、ポップスではあんまり出てこないですね。
その中でも、出てくるケースがあるのは主に「Ⅱm7-5」と「♭Ⅱmaj7」の2つです。
「Ⅱm7-5」と「♭Ⅱ maj7」通常のサブドミナントマイナーでサンプル音源を用意したので比較してみましょう。
サブドミナントマイナー
Ⅳm7をⅡm7-5に入れ替え
Ⅳm7を♭Ⅱmaj7に置き換え
結構、雰囲気変わりますよね。
Ⅱm7-5への置き換えは多くはないですが、要所要所使われていますね。
秦基博さんも「風景」など一部の楽曲で使っています。
また、♭Ⅱmaj7への置き換えはおしゃれ曲では割と良く使われます。
僕も好きで割と良く使ってます。
椿屋四重奏の中田裕二さんも良く使ってるコード進行でアダルトな雰囲気の楽曲で使いやすいです。
サブドミナントマイナー まとめ
- サブドミナントマイナーはサブドミナントをマイナーにしたコード
- ポップスでは色んな場面で活躍する重要コード
- サブドミナントマイナーには関連コードや代理コードがあるが、大半で普通のサブドミナントマイナーを使う
ぎたすけ
たけしゃん
サブドミナントマイナーの解説でした!
僕も自身の楽曲では非常によく使ってます…(笑)。
それだけ、便利でドラマチックな展開を作ってくれるコードなんですよね。
色んな楽曲をカバーしている人は絶対使ったことがあるコードだと思いますが、作曲やアレンジで活用するならサブドミナントマイナーとしてきちんと認識することが大事です。
特に使用するパターンをある程度押さえておくと、自分の引き出しになるので押さえておきましょう。
良く使うパターンはおおよそ決まっているので、まずは基本パターンを弾いて流れを確認してみましょう。
第1章 音や楽譜の読み方を覚えよう
第2章 キーやスケールを理解しよう
第3章 コード進行のバリエーション
第4章 ノンダイアトニックコードの導入
第5章 応用的な音楽理論の活用
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