評価:4.5
ぎたすけ
たけしゃん
ボーカル(LD-47K)
アコギ(LD-47K ステレオ)
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Universal Audio Sphere DLX
マイクタイプ | XLRコンデンサーマイク ※5ピン XLR |
感度 | -33 dB (22 mV) ref 1V @ 1 Pa, 1 kHz |
等価ノイズレベル | 7 dBA |
最大SPL | 140 dB (-20 dB PAD有効時) |
重量 | 770g |
モデリング・マイク・システムで様々な有名マイクのサウンドを使える Sphere DLX。
専用プラグインを介して、38モデルのマイクを自由に組み合わせることができます。
更には専用プラグインを介して、録音後にマイキングを調整することもできます。
生楽器の録音で非常に便利な機能です。
まずはSphere DLXの製品仕様から解説していきます。
仕様を飛ばしてレビューを読みたい方は<Sphere DLXをレビュー>を参照ください。
製品仕様の目次
5ピン XLRのコンデンサーマイク
Sphere DLXは5ピンXLR端子が採用されています。
マイク本体にはフロントとリアで2つのマイクカプセルが入っており、二又の専用ケーブルで音響機器に接続します。
そのため、オーディオインターフェイスのXLR端子を2つ使用します。
専用プラグインはこのフロントとリアで録った音声を使って、指向性などをシミュレートするようですね。
なお、公式マニュアルでは接続した2つのマイクプリアンプのレベルを揃えるように記載があります。
そのため、チャンネルリンクを使って管理することを推奨しています。
アナログの連続ゲイン型プリアンプの場合は目視では調整が難しいため、Sphereのキャリブレーションモードを使って合わせましょう。
マイク背面右のスイッチをCALに切替、専用プラグインでキャリブレーションすることができます。
なお、専用プラグインを使う際はステレオトラックでフロント・リアを認識させないとエラーメッセージが表示されるようになっています。
エラーメッセージが出た場合はフロント・リアの両マイクが接続されているか確認しましょう。
両方ともファンタム電源が必要です。
モデリング・マイク・システム
Sphere DLXは専用プラグインを使ったモデリング・マイク・システムが用意されています。
マイクモデリング以外にも色んなことができる、すごいシステムです。
まず、マイクのモデリングは有名マイクを中心に38種類のモデルが用意されています。
マイクモデリングはコンデンサーマイクだけでなく、ダイナミックマイク、リボンマイクもあります。
LD-47K(コンデンサーマイク)
DN-7(ダイナミックマイク)
RB-121(リボンマイク)
また、2本のマイクを組み合わせてサウンドを作ることもできます。
別のマイクを組み合わせたり、同じマイクをリンクさせたサウンドを作り出せます。
マイクのモデリング以外にも指向性、マイキングの角度、近接効果の調整など、かなり細かい項目がプラグインで調整できるようになっています。
更にリフレクションフィルターなどを使用した際にSphereの動作を最適化するIsoSphereという機能もあります。
リフレクションフィルターEyeballを使って、テスト録音した音源がこちら。
IsoSphere OFF
IsoSphere ON
IsoSphereも近接効果の補正ができるようになっています。
なお、マイクモデリングやIsoSphereなどの処理はレコーディング完了後でも適用できます。
なお、専用プラグインはモノラル用の「Sphere Mic Collection」とステレオ用の「Sphere Mic Collection 180」があります。
マイク本体のフロント・リアで録った音声を各プラグインが調整して、モノラルもしくはステレオで出力してくれます。
プラグインはPCで動作するアプリ「UA Connect」経由でダウンロードできます。
プラグインはUAD、HDXのDSPとネイティブで動作します。
Apolloと組み合わせるとDSPで動作するため、ほとんどレイテンシーなく専用プラグインを使えます。
ネイティブはVST2、VST3、AAX、Audio Unitsで動作するため、DAWなどを経由して使用することができます。
筆者はCUBASEで読み込んで使用しましたが、ネイティブでもレイテンシーはほとんど出なかったです。
ちなみにOBS STUDIOでも読み込んで使用できました。
なので、配信でもプラグインを使用することができます。
ステレオ収録に対応
Sphere DLXは1本のマイクでステレオ収録にも対応します。
ステレオ収録する際は専用プラグイン Sphere Mic Collection 180を使用し、マイクを90度回転してセットします。
アコースティックギターのセッティング例は下図のようになっています。
実際に上図のセッティングで録ってみました。
キレイにバランスの取れたステレオ音声が録れています。
バランスを調整したい場合はホール側のマイクをダイナミックマイクやペンシルマイクに変えると良かったりします。
このへんの調整や実験が録音後にできるのが最高ですね。
自宅でアコギRECする機会が多い人はSphere DLXを導入することで録り直しが大分減ると思います。
また、弾き語りをステレオ収録することもできます。
公式のマニュアルではボーカルとギターの間に設置する方法が紹介されています。
- DAW でステレオトラックに Sphere 180をインサート
- Lをボーカル、Rをギターにアサイン
- オフアクシス補正を有効にし、カーディオイドパターンを選択して、軸外からのブリードを抑える
上記の内容をもとに自分なりに色々といじってみた音声がこちら。
定位の調整が難しいですが、マイク1本で録ってるにしては、ボーカルとアコギがちゃんと分離していて、かなり良いのではないかと思いました。
付属品
- ショックマウント
- マイクスタンドマウント
- マイクケーブル(約7.5m)
- キャリングケース
Sphere DLXの付属品は上記4点です。
ショックマウントとスタンドマウントの両方が付属しています。
変換ネジが入っているので、3/8と5/8の両対応になっています。
マイクケーブルは二又に分かれる専用ケーブルですね。
Sphere LXは3mでしたが、Sphere DLXは7.5mと長めのケーブルが付属しています。
ケーブルタイが2つ付いているので、必要の長さだけ取り出して、後はまとめておけば自宅でも楽です。
そして、キャリングケースはしっかりとした大きいものが付いてきます。
取っ手がついており、そのまま携帯できる仕様です。
衝撃にも強いので安心して保管できますね。
Universal Audio Sphere DLXをレビュー
それでは、Sphere DLXを細かくレビューしていきます。
初めにメリット・デメリットを箇条書きでまとめると以下の通りです。
すごく良いですね。特にアコギ録りで便利です。
様々なマイクサウンドを使える点も良いですが、録音後にマイク軸や近接効果を調整できる点が画期的です。
レビューの目次
元の音が良く、モデリング後の音も良い
Sphere DLXは元のマイクの音がクリアで質が良いです。
そして、モデリング・マイク・システムは原音を基にそれぞれのマイクのニュアンスを少し付ける感じになっています。
そのため、変な色付けはなく、自然な範囲でマイクの特性が変化します。
音を大きくすると、歌声のなめらかさや質感が変わっているのに気づきます。
ただ、ボーカルは僕が聴いてると正直なところ「どれもいいな~」で終わっちゃうんですよね…(笑)。
元の音が良いので、どれもいいな~という贅沢な悩みが発生するマイクです。
アコギ録りで超便利
個人的にはSphere DLXが重宝するのはアコギ録りだと感じました。
マイクを変えることで、マイク特性を反映したニュアンスにちゃんと変わります。
ラージダイアフラム
スモールダイアフラム(ペンシル)
ダイナミックマイク
この変わり方はかなり実用性が高いなと感じました。
バンドオケにアコギを混ぜるときはアタック感をどう出すかが重要ですが、オケに混ぜてみないとわからなかったりするんですよね。
その調整で録り直しすることは割とありますが、Sphere DLXなら録ったあとにマイクを変えるだけで解決しそうです。
マイクだけじゃなく、マイキングによる指向性の変化なども調整できます。
これもかなり便利で、EQなどでは解決しない6弦の鳴り方を自然に調整できます。
PROXIMITYは近接効果を調整するパラメータです。
マイナスにすることでマイクから離れたような音になり、6弦の低音が大分落ち着いたサウンドに変わっています。
その他、マイクの角度も調整することでネック側とホール側の音のバランスも調整できます。
更にはステレオマイクの広がり感も自然に調整できます。
どのパラメーターも自然な範囲で調整できるのが良いですね。
このへんはフロント・リアの2マイクで録った音からシミュレートしているからなんでしょうね。
ステレオ録りのマイキングが少し難しい
Sphere DLXでサンプル音を色々録りましたが、マイキングが少し難しかったです。
マニュアルに従って録るだけだと、定位が偏りがちなんですよね。
定位も指向性周りのパラメーターをいじることで調整できますが、音が若干変わってしまいます。
また、デフォルト値の時点で定位に偏りがあると、AXISやWIDTHを変えたときも微妙な変わり方になります。
そのため、僕もマイキングを少し変わった位置にしたり、フロント・リアのゲインをわざと偏らせて、録音前に調整しました。
たけしゃん
なので、マイクのセッティング難易度は普通にペアマイクを立てるよりは少し難しく感じました。
録音を開始する前にマイク位置やゲインのバランスを試行錯誤して調整する必要があります。
弾き語りもマイクの調整が難しかったです。
色々試しましたが、定位の偏りを上手く調整するのが難しいですね。
パラメーター調整も含めて、結構試さないとマイク2本録りのようにはできなそうでした。
とはいえ、録ったあとにマイクを変えられる恩恵がとにかく大きいです。
生楽器録音は全部録り終わった後の録り直しが一番テンション下がりますからね…(笑)。
Sphere DLXなら、最初のセッティングをちゃんとやれば、録音後の録り直しは大分減らせます。
自宅でアコギ録りをたくさんこなす人には非常に便利なマイクだと思いました。
Universal Audio Sphere DLX まとめ
- モデリング・マイク・システムで様々なマイクのサウンドを使える
- モノラル収録だけでなく、ステレオ収録にも対応できる
- ステレオ収録ではマイクのセッティングがやや難しい
ぎたすけ
たけしゃん
Sphere DLXのレビューでした。
アコギ録りでの有用性は感動しました。すごいですね。
録音後にこれだけナチュラルに音を調整できるのは画期的です。
自宅でアコギ録りする機会が多い方はぜひ検討してみてください!
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