MOTU M4をレビュー。優れた音質で入出力端子も豊富なオーディオインターフェイス

MOTU M4

評価:4

ぎたすけ

M4は小さい割には端子がいっぱいあるな

たけしゃん

そうだね。音も良いし、端子も結構充実しているから色んな用途に使える製品だよ
補足

レビューするためにハイ・リゾリューション様からデモ機をお借りしました

M4の評価まとめ
音質
 (4.5)
機能性
 (4)
コスパ(35,200円程度)
 (4)
総合評価
 (4)
メリット
デメリット
  • 音質が非常に良い
  • 出力の音も良い
  • ループバックが使える
  • 入出力端子が多い
  • 日本語の取説がない(動画はある)
  • ネット情報が少ない
  • 内蔵エフェクトはなし
  • Macだとループバックが一手間必要

M4を使って制作したカバー動画

おもかげ/milet×Aimer×幾田りら 【アコースティックCover】
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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MOTU M4

MOTU M4
入力端子コンボジャック×2
1/4 “ライン入力×2
出力端子1/4 “TRSライン出力×4
RCA ×4
ヘッドホン端子 ×1
サンプルレート192kHz
接続端子 USB-C
対応OSWin,Mac,iOS
寸法(幅×奥×高)約209 x 108 x 45mm
公式HP

昔からプロユースのオーディオ機器を多数販売しているMOTUの低価格モデルM4

実売価格3.5万円程度とMOTUの中では非常にリーズナブルで宅録でも使いやすい製品です。

発売当初から音が良いと話題の製品ですが、本当に音が良いですね。

MOTU M4を動かしているところ

5万円未満の機種で、このレベルの音質はなかなかないんじゃないかと感じました。

MOTUはこれまでプロユース製品が中心でユーザーの大半もMacです。

そのため、Windowsの情報が少ないので本記事でもWindowsでの使用感や注意点などを記載していきます。

まずは製品仕様や基本的な使い方に関して解説していきます。

仕様を飛ばして、レビューを読みたい方は<MOTU M4をレビュー>を参照ください。

MOTU M2とM4の違い

MOTU M2とM4の前面
上がM2、下がM4
MOTU M2とM4の背面
上がM2、下がM4
M2
M4
  • コンボジャック×2
  • 1/4ライン入力はなし
  • 1/4TRSアウト×2
  • RCAアウト×2
  • コンボジャック×2
  • 1/4ライン入力×2
  • 1/4TRSアウト×4
  • RCAアウト×4

MOTU MシリーズはM2とM4の2製品があります。

主な違いは入出力端子の数で、M2は2in 2outでM4は4in 4Outになっています。

シンガーソングライターが1人で使う分にはM2で十分です。

一方で色んな楽器を常時接続しておきたい人などはM4が良いですね。

MOTU M4の背面 右側
M4は背面に1/4ライン入力端子がある

また、M4には前面にダイレクトモニターの音とPCの音をMix調整できるツマミが付いています。

MOTU M4の前面中央
INPUT MONITOR MIXというツマミ

INPUT側に回すとPCからの音が小さくなり、PLAYBACK側に回すとPCからの音が大きくなります。

補足

DAWの音をモニターするときはPLAYBACKに全振りしよう

なお、ツマミ下にある「3-4」ボタンは背面の1/4ライン入力の音をダイレクトモニタリングできるものです。

MOTU M4のディスプレイ
ONにするとディスプレイ側の3-4も点灯する

入力チャンネルそれぞれにダイレクトモニターのボタンがあるのは地味に良いですね。

入出力端子

MOTU M4の前面左側

M4の入力端子は前面のコンボジャック2基と背面の1/4ライン入力×2です。

コンボジャックはXLRとラインのどちらも接続可能で、ファンタム電源にも対応しています。

MOTU M4の入力チャンネルアップ
ファンタム電源

コンデンサーマイクを使用するのに必要となる電源

出力は前面にヘッドホン端子、背面に1/4TRSとRCAがあります。

MOTU M4の前面右側
ヘッドホン端子の上のツマミがヘッドホンVol
MOTU M4の背面 右側

なお、背面のLINE OUTの音量は前面にある大きいツマミで調整できます。

MOTU M4の前面右側
大きいツマミはヘッドホンVolには影響しない

さらに背面左側にはMIDI入出力もあるので、MIDIキーボードなどを接続できます。

MOTU M4の背面左側

PCなど端末との接続は、同じく背面のUSB-Cを使います。

なお、付属のUSBケーブルはUSB-C to Aです。

MOTU M2付属のUSBケーブル

端末側もUSB-Cしかないと変換アダプタなど必要となります。

ちなみにMacbookと接続するのに変換アダプタやUSBハブを介したところノイズが発生したので、僕は別売りのUSB-C to Cケーブルを使いました。

本体背面左上には電源スイッチがあり、PCを付けた状態でも任意に電源ON/OFFできます。

MOTU M4の背面左側
補足

低価格帯の製品は電源スイッチがないものが多い

なお、Windows PCとの接続は必ず専用ドライバをインストール後にしましょう。

インストール前に接続すると正常に認識しなくなる可能性があります。

ループバック

外部ソフトでルーティングを追加して、BGMの音を配信に載せる

MOTU M4はループバック機能を搭載しています。

ループバック機能の利用にはWin、Macともに専用ドライバのインストールが必要です。

ただ、Macは専用ドライバを入れると常時ループバックON状態になります。対策は後述します。

また、iOSではループバックは使えませんでした。

補足

iOSだとループバックチャンネルを選択できなかった

まずはWindowsでのループバックの使い方です。

他メーカーだとソフトウェア上でON/OFFするだけですが、MOTUの場合はループバック専用入力チャンネルが用意されています。

WindowsのDAWでM4の入力端子を選ぶ画面
Loopbackと記載あり
入力CH概要
in1~4(Mono)該当のInの音が出る
in1/2(Stereo)
in3/4(Stereo)
In1がL、2がRから音がでる
In3/4も同様
Loopback 1(MONO)
Loopback 2(MONO)
PCの音がモノラルで出る
Inの音は出ない
Loopback Mix 1(MONO)
Loopback Mix 2(MONO)
PCの音とInの音が
モノラルで出る
Loopback 1/2(Stereo)PCの音がステレオで出る
Inの音は出ない
Loopback mix 1/2
(Stereo)
PCの音とInの音が
ステレオで出る

動作確認した感じは上記のようになっていました。

DAW上で使う場合は基本的にはin1~4(Mono)で該当するチャンネルを選ぶだけですね。

続いて、Windwosのツイキャス画面を見てみましょう。

Windowsのツイキャス画面。M4の入力端子が表示されている
赤線がM4の入力チャンネル

基本的に配信で使う場合は下記のようになるかなと思います。

ループバック選択するチャンネル
不要In 1-2
必要Loopback Mix (2-MOTU M Series)

なお、OBS STUDIOでもツイキャスと同じ入力チャンネルが表示されます。

チャンネルが複数出てくるので、選択ミスしないように注意しましょう。

MacのOS標準機能だと、入力チャンネルは1つしか表示されません。

MOTU M4のMac設定画面

そして、専用ドライバをインストールすると、この唯一のチャンネルに常時ループバックがかかってしまいます。

ZOOMやOBSだとループバックONのまま、変更できなくなります。

MOTU M4のMac版ZOOMの画面
Mac版ZOOM。M4しか選べない
MOTU M4のMac版OBSの画面
Mac版OBS。M4しか選べない

この常時ループバックをOFFにするにはFinderから「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「Audio MIDI設定」で設定を変えましょう。

MOTU M4のaudio Midi設定画面
Loopbackチャンネルを消音する

画面左で「M4」を選んで画面右の「入力」をクリックすると、入力チャンネルが一覧表示されます。

その中からLoopbackがつく全チャンネルの「消音」にチェックを入れるとループバックOFFになります。

補足

使用アプリによってはLoopback1と2は関係ないようですが、全部消音にしとくのが安定です

配信でループバックを使いたい場合は都度、「Audio Midi設定」を変更しましょう。

もしくはOBSを使うならM4のループバック機能は使わずにBlackHoleでループバックするのが良いでしょう。

BlackHoleの設定については下記記事の<Macでデスクトップ音声を使用する方法>参照ください。

なお、DAWではWindowsと同じように入力チャンネルが複数出てくるのでループバックをON/OFFできます。

MOTU M4のMac版Cubase画面
In1~4を選択すればループバックOFFになる

ただし、前述のAudio Midi設定でLoopbackを消音にしていると、Loopbackを選択しても音が出ないので注意してください。

ちなみにMacの場合はOS標準ドライバで動くので、専用ドライバを入れないという選択肢もあります。

ただ、専用ドライバはレイテンシーの抑制にもなるようなので、入れた上でループバックを切るのが良いと思います。

iOSにも対応

MOTU M4をiPhoneで使っているところ

MOTU M4はiOSでも使えます。

ただし、使用するには下記のアイテムが必要です。

  • USB 3カメラアダプタ(USBカメラアダプタでも可)
  • セルフパワータイプのUSBハブ

iOSと接続する場合は別で電源供給が必要なものが多いですが、M4はUSBバスパワーで駆動します。

その代わり、コンセントから電源を取れるセルフパワータイプのUSBハブが必要です。

セルフパワー

専用のACアダプタから給電するタイプ。USB給電はバスパワーと呼ぶ

試しにnanaで使ってみましたが、普通に問題なく使えました。

nanaの録音画面

ただ、ループバックやステレオミックス機能は使えないので、メイン用途がiOSの人にはいまいちです。

PCでの利用がメインでiPhone利用はサブ程度なら十分使えます。

また、iOSの多くのアプリが1chもしくは1chと2chしか認識しない仕様になっています。

背面の3chや4chに繋いだ楽器の音は出ないことが多いので、使用時は気を付けましょう。

補足

これはM4の問題ではなく、iOSのアプリ側の仕様です。Cubasisは1-4chまで全て認識しました

動作確認で使ったアイテム

付属ソフトウェア

MOTU perfomer lite

MOTU M4にはDAWであるPerformer Lite、Ableton Live Liteが付属します。

補足

MOTUにアカウント登録・製品登録して、ダウンロードする形式です

MシリーズをMOTUアカウントに登録する(YouTube)

Performer Liteは職業作家で使用者が多いMOTU Digital Performerのライト版です。

サウンドエンジンが優秀で音質が良く、付属するプラグインの質も非常に良いです。

MOTU perfomer liteのプラグイン
付属のMASTER WORKSシリーズは使い勝手が良い

Performer Liteはネット上に情報があまりないのがネックですが、ハイレゾリューションさんが使い方動画を制作してくれています。

MOTU Performerシリーズで楽曲制作(YouTube)

audio technica AT-UMX3のバナー(PC)PR

MOTU M4をレビュー

MOTU M4
M4の評価まとめ
音質
 (4.5)
機能性
 (4)
コスパ(35,200円程度)
 (4)
総合評価
 (4)

それでは、MOTU M4をレビューしていきます。

まずメリット・デメリットを箇条書きにしたものがこちら。

メリット
デメリット
  • 音質が非常に良い
  • 出力の音も良い
  • ループバックが使える
  • 入出力端子が多い
  • 日本語の取説がない(動画はある)
  • ネット情報が少ない
  • 内蔵エフェクトはなし
  • Macだとループバックが一手間必要

音質は入力・出力ともに非常に良いですね。

僕は再生音のキレイさにグッときました。3万円台でこのクオリティはすごいです。

一方で何もわからない初心者が買うのは少し厳しいかなと思います。

他メーカーと仕様が異なる上にネットの情報が少ないので、外部ソフトの設定などで苦戦する可能性が高いです。

入力・出力ともに高音質

MOTU M4を動かしているところ

MOTU M4を使ってみて、その高音質っぷりに驚きました。

高級機とそんなに変わらないクオリティで、3万円台とは思えないレベルです。

マイクプリは音がクリアでGAINも余裕があります。

音量をグッと上げても余計な歪みなどはなく、クッキリと存在感ある音で録れますね。

MOTU M4

実際にM4でボーカル、アコギを録った動画がこちら。

おもかげ/milet×Aimer×幾田りら 【アコースティックCover】

マイクはAKG C214を使いました。

ボーカルの音がクリアで前に来ていて、良い音で録れています。

また、M4は再生音が高音質です。

ヘッドホンやスピーカーで聴く音が解像度が高くて、非常に良いですね。

MOTU M4の前面右側

DACは高級機によく搭載されているESS Sabre32 Ultra DACテクノロジーを採用しています。

低価格帯の製品と比べて、明らかに差があります。

3万円台でこれだけの音質は素直にすごいと思いましたね。

Windowsでも安定

MOTU M4のディスプレイ Ch1をモニターONにした

動作チェックも兼ねて数日間 WindowsでMOTU M4を日常使いしていました。

僕の家のPCでは動作は安定していました。

補足

僕のWindows PCのUSBポートはUSB 2.0です

僕の家のWindows PCはMOTUの828mk3 Hybridは不安定なので、少し心配だったんですよね。

MOTU 828mk3 Hybrid

M4に関しては何の問題もなく、安定して稼働していました。

逆にMacbook Proでの動作テストではノイズが載ったり、「ピーーー」という音が出続けたりしましたが原因はUSB変換アダプタでした。

MOTU M2付属のUSBケーブル
付属品はUSB-Aなのでto Cの変換アダプタを使っていた

自宅のUSB-C to Cケーブルに変えたら、安定動作するようになったのでケーブル周りは気を使ったほうがいいかもしれませんね。

iOSについても安定して動作していたので、どのOSでも安心して使えました。

配信周りの設定などは自力が必要

OBS STUDIO

MOTU M4は基本的な使い方はいたって簡単です。

一方でOBSなど他ソフトとの連携についてはネット上に情報が落ちていません。

また、ループバックの仕様などがAG03とは異なるので、ネットの情報を参考に設定するにも少し応用が必要です。

補足

MOTUは大半のユーザーがMacのDTMerなので、Mac&DTM分野なら少しは情報がある

そのため、Windows系の設定だったり、ソフトの設定はある程度は自力が必要です。

ネットの情報をそのまま設定すればOKというわけにはいきません。

一方でライブ配信やZOOMなどを使うのにそこまで難しい設定はありません。

デバイスの設定周りなど、基本的な仕組みさえわかっていれば対処はできます。

Windowsのツイキャス画面。M4の入力端子が表示されている
ソフト側のデバイス設定でIn1-2を選べばよいだけ

機械周りが不安な人はユーザーが多いSteinberg、YAMAHAあたりの製品にするのが無難です。

競合製品との比較

製品MOTU M4
M4
Steinberg UR44C
UR44C
YAMAHA AG06MK2
AG06MK2
入力コンボジャック×2
1/4ライン×2
MIDI
コンボジャック×4
1/4ライン×2
MIDI
コンボジャック×2
1/4フォン×2
AUX
ループバック
エフェクト×
実売価格約35,200円 約33,600円 約23,100円
ECサイトAmazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス

MOTU M4の競合製品として、比較したのはSteinberg UR44CとAG06MK2です。

まずはボーカルのワンフレーズ音源で比較してみましょう。

補足

UR44Cがないので、同じマイクプリを使っているUR22Cで比較します

使ったマイクはaudio technica AT2020です。

MOTU M4

MOTU M4

Steinberg UR22C

UR22Cの正面から撮った写真

YAMAHA AG06MK2

YAMAHA AG06MK2

聴き比べると、やはりMOTU M4がワンランク上の印象を受けますね。

GAINの増幅幅も余裕があるので、M4ならダイナミックマイクなどの運用も楽です。

補足

ダイナミックマイクは感度が低いので、マイクプリのGAINに余裕があると楽

また、再生音もM4はワンランク上ですね。

AG06MK2と比較すると結構な差を感じます。

一方でライブ配信における機能においてはUR44CAG06MK2のほうが断然強いです。

内蔵エフェクトを搭載し、PC・iOS両方で使える専用アプリで操作性も抜群です。

YAMAHA AG ControllerのDetail(AG06)
AG06MK2のアプリ

また、入力端子についてもUR44Cはコンボジャック4基なので、自由度はM4より高いです。

Steinberg UR44C
更に背面に1/4ライン入力×2がある

なので、重視するポイントによって製品を選ぶのが良いですね。

僕的にはこんな感じ。

製品向いてる人
MOTU M4
M4
音質を重視する人
メイン用途が音楽制作
Steinberg UR44C
UR44C
汎用性を重視する人
配信・制作・ライブで使用
YAMAHA AG06MK2
AG06MK2
ライブ配信を重視する人
色んなライブ配信をやる人

M4はとにかく音質ですね。音質重視なら間違いない選択肢です。

3~5万円の価格帯で音質重視の製品は非常に少ないので、M4の存在は貴重ですね。

MOTU M4 まとめ

MOTU M4
  • 音質が非常に良くて3万円台で買えるオーディオインターフェイス
  • ループバックも使用可能。Macは一手間必要
  • 録音・再生ともに音が良いので音楽制作・リスニング用途に最適

ぎたすけ

音が良いって重要だよな。3万円くらいでも音が良い製品はあるんだなぁ

たけしゃん

3万円台でこの音質はすごいね。人気あるのも納得の製品だったよ

MOTU M4のレビューでした。

入出力端子の数といい、音質といい、音楽制作に使うには非常に良い製品でしたね。

特に再生音って大事なんですよね。

録音しているときもミックスしているときもモニターの音でテンション変わりますからね。

歌ってみたや仮歌など録音用途が多い方はぜひチェックしてください!

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