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Martin(マーチン) D-45
1933年に製造開始された、Martin(マーチン) D-45。
D-45はカウボーイ・シンガーのジーン・オートリーの特注品として誕生し、しばらくは特注生産のみの扱いでした。
1938年より、フレットジョイント位置が12から14に変更され、レギュラーラインナップとして一般販売されるようになりました。
1931年に製造開始された、Martin D-28より少し遅れて登場したD-45。
装飾やインレイなどが随所に施されており、豪華な見た目であり、使用されている木材も最高級の上位グレードになっています。
まずは現在製造されているD-45の仕様を見てみましょう。
Martin(マーチン) D-45 ボディの形状
- 全長 40.25インチ
- スケール長 25.4インチ
- ボディ幅 15.6インチ
- ボディ長 20インチ
- ナット幅 42.8mm
(参考)ギターの寸法用語
D-45はアコースティックギターの標準ともいえる、Martin伝統の14フレットジョイントのドレッドノート。
全てのアコギの基本形となる形状です。
ドレッドノートは低音が力強く、生音の音量が出るボディサイズ。
弾き語りから、バンドのボーカルギター、ソロギターまで何でもこなす万能選手です。
Martin(マーチン) D-45の装飾
Martin(マーチン) D-45は各所の装飾が豪華になっています。
特に目立つのはギターヘッド。
グレードの高いMartinギターはギターヘッドのロゴが縦書きでD-45は縦書きの仕様になっています。
そして、指板(ネック)やサウンドホーリングの装飾も煌びやかになっています。
写真だと伝わりにくいですが、実物を見るとトップもバックにもボディ縁に装飾が施されており、煌びやかなルックスです。
Martin(マーチン) D-45 ボディの木材
- トップ材:シトカスプルース
- サイド&バック:イースト・インディアンローズウッド
- ネック:マホガニー
- フィンガーボード:エボニー
- フィニッシュ:グロス
使用されている木材は他のDシリーズと基本は同じで、伝統的なMartinギターの構成です。
近年のDシリーズのネックはセレクトハードウッドと呼ばれる、色んな木材を合わせたものが多いのですがD-45は上位モデルなのでマホガニーが使用されています。
トップ:シトカスプルース × サイド&バック:インディアンローズウッドの組み合わせはD-28と一緒ですね。
高音の伸びが良く、1弦~6弦を一気に鳴らした時の音のバランスと響きが心地良いのが特徴です。
僕もスプルース×ローズウッドのTaylor 814ceをメインギターとして使っていますが、この木材の組み合わせはほんとに良い音です。
ピックアップ
ピックアップは標準ではついていません。
オプションでMartinとFishmanが共同開発した、MARTIN Thinline 332+Plusが付いたモデルも選択できます。
ピエゾタイプのピックアップで音はおとなしめです。
弾き語りで使うなら、ピックアップ非搭載モデルを買ってデュアルピックアップを後付けしたほうが使いやすくはありますね。
Martin(マーチン) D-45 年代別の変化
たけしゃん
それでは、1933年から作られているD-45の歴史を追っていきます。
D-45は製造時期が特殊で主に3期に分かれます。
- 1933年~1942年(Pre war期)
- 1968~1969年
- 1970年以降
45シリーズは日本から輸入したパールが使用されており、D-45をはじめとしたパールモデルのギターは大戦が激化する1942年で製造中止となってしまいます。
そして、再生産された1968年です。
1968~1969年はサイド&バックにハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)が使用されています。
しかし、1969年末にはハカランダの輸出禁止の影響でサイド&バックの木材がインディアン・ローズウッドに変わります。
そんなわけでD-45は3期に分類されることが多いです。
1970年代以降も色々と変化はあるので、近年のものでも楽しめる点はうれしいことですね。
1933年~1942年(Pre war期)
- トップ材:アディロンダック・スプルース
- サイド&バック:ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
当初は特注生産限定だったので、レギュラーラインナップ化したのは1938年。
その後、生産中止となるまでに微妙な仕様変更があっただけで基本は変わらず。
Pre war期の主な仕様変化
- 1939年…指板のポジションマークがヘキサゴンインレイになる
- 1939年…ネック幅が44.5mm⇒42.8mmになる
ナローネックになったことが大きなポイントでしょうか。
Pre war期で作られたD-45は91本しかないので、ヴィンテージ市場でもめったにお目にかかれません。
あったとしても、ショーケースの中にあって売られていないか、田舎に家を建てられるレベルの金額でしょうねぇ…。
復刻モデルは1936年製を再現したものと1942年製を再現したモデルが出ています。
指板のインレイの違いもちゃんと再現されています。
特に1942年製の復刻モデルはサイド&バックにハカランダを使っているので、当時のモデルとかなり近しい仕様になっていますね。
1936年復刻モデル
1942年復刻モデル
1968年~1969年
- トップ材:ジャーマン・スプルース
- サイド&バック:ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
- ピックガードがべっ甲柄からブラックになる
トップ材のスプルースがアディロンダックからジャーマンに変わったものの、サイド&バックはハカランダのままです。
その他で指板1フレットのインレイが正六角形になったり、微妙な仕様変更はあったものの大きくはPre War期と変わっていません。
また、同じ時期の他のDシリーズより、サウンドホールの位置が4mmほど下げられています。
1968年はハカランダのスモールブリッジ・プレートが用いられ、1969年は大型のブリッジ・プレートが用いられる…という微妙な変化もありますね。
1968年は67本、1969年は162本と2年間で229本のD-45が製造されています。
これだけ少ないと、ヴィンテージ市場でもお目にかかれることは少なく、あったとしても高級車レベルの値段だったりします。
1970年代~
- トップ材:ジャーマン・スプルース
- サイド&バック:インディアン・ローズウッド
1970年代に入ると、サイド&バックがインディアン・ローズウッドに変わります。
毎年生産されるようになったため、1970~1980年代は割と数が多いです。
70~80年代の主な仕様変化
- 1975年…ジャーマン・スプルースからシトカ・スプルースになる※
- 1986年…ブリッジプレートがローズウッドからメイプルになる
- 1986年…ブレイシングがノンスキャロップドからスキャロップドになる
なお、D-45のヴィンテージギター…というと1970~80年代ものを指すことが多いです。
一般的にはヴィンテージギターは69年以前の物を指すことが多いですが、D-45は70年以前の物はほとんどお目にかかれないからでしょう。
Martin(マーチン) D-45 相場価格
年代別D-45のザックリな金額間
- Pre war期のD-45…数百万円(市場に基本ない)
- 1968年~1969年のD-45…数百万円(市場に基本ない)
- 1970年代 Dー45…数百万円
- 新品のD-45…100万円前後
さすが、Martinの上位モデル…。普通に買っても100万円くらいします。
年代ものは楽器店でもショーケースの中に入っているものがほとんど。
なので、コレクターの方が買うことが多くて、ライブでガンガン使う目的で買うアマチュアはなかなかいません。
Martin D-45 買取 相場価格
- 良品(ちょい傷程度)…35万円程度
- 並品(汚れ・傷あり)…30万円程度
D-45は買取価格も他のギターと比べて、ダントツで高いですねぇ…。
しかも、相場価格があってないようなギターなので、売る時は何店舗かに買取査定頼んだ方が良いですよ。
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出張・宅配・店頭を選択可能
Martin(マーチン) D-45 使用アーティスト
- 石川鷹彦
- 小倉博和
- 加藤和彦
- 草野マサムネ(SPITZ)
- 小渕健太郎(コブクロ)
- 坂崎幸之助(アルフィー)
- 坂庭省吾
- 日高富明(ガロ)
- 堀内護(ガロ)
- 森山直太朗
Martin(マーチン) D-45というとフォークのイメージが強いですが、やはり使用者の方はフォークシンガーが多いですね。
最近だと、D-45は100万円くらいはすることが多いのでプロアーティストといっても簡単には買えないところですね。
Martin(マーチン) D-45を解説して
ぎたすけ
たけしゃん
Martin(マーチン) D-45の解説でした!
僕も勉強するまで知らなかったんですけど、1940~1960年代ってほぼ生産されていないんですねぇ。
ヴィンテージ市場でも1970年代以降しか見たことないなぁと思ってたんですけど、納得しました。
ヴィンテージギターがたくさん置いてあるお店のショーケースに飾られていることが多い、高級ギターの代名詞ともいえるギター。
買うなら一生ものとなりそうな 1本ですね。
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