MOTU M6をレビュー。多入力でA/Bモニタースイッチ付きの高性能オーディオインターフェイス

MOTU M6

ぎたすけ

MOTU M6のA/Bモニタースイッチって何するためについてんの?

たけしゃん

主には複数スピーカーで音源のバランスチェックとかする時に便利だよ
補足

レビューするためにハイ・リゾリューション様からデモ機をお借りしました

M6の評価まとめ
音質
 (4.5)
機能性
 (4.5)
コスパ(69,300円程度)
 (3.5)
総合評価
 (4)
メリット
デメリット
  • 音質が非常に良い
  • ループバックが使える
  • コンボジャックが4基
  • A/Bモニタースイッチがある
  • 日本語の取説がない(動画はある)
  • ネット情報が少ない
  • 内蔵エフェクトはなし
  • Macだとループバックが一手間必要

MOTU M6で録った動画

日常 / 星野源 【アコースティックCover】
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
プロフィール詳細お問い合わせ

MOTU M6

MOTU M6
入力端子コンボジャック×4
1/4 “TRS入力×2
出力端子1/4 “TRSライン出力×4
ヘッドホン端子 ×2
サンプルレート192kHz
接続端子 USB-C
対応OSWin,Mac,iOS
公式HP

音質が良く、人気の高いMOTU Mシリーズから上位モデルとして発売されたM6

コンボジャックが4基になり、色んなシチュエーションに対応できる仕様となっています。

MOTU M4とM6
上がM4、下がM6
MOTU M4とM6の背面
上がM4、下がM6

コンボジャック 4基の製品は色々ありますが、M6の魅力は何といっても音質の良さですね。

優れた音質と豊富な入出力で7万円程度と様々な用途でちょうど良い製品になっています。

まずはM6の製品仕様から、細かく解説していきます。

仕様を飛ばして、レビューを読みたい方は<MOTU M6をレビュー>を参照ください。

製品仕様の目次

6IN 4OUT

MOTU M6の背面
入力
出力
  • コンボジャック×4
  • 1/4TRS入力×2
  • MIDI入力
  • ヘッドホン端子×2
  • 1/4TRSアウト×4
  • MIDI出力

MOTU M6はコンパクトなボディに豊富な入出力が搭載されています。

特に良いのはコンボジャックが4基搭載されている点ですね。バンドでの利用など自由度はかなり高いです。

端子は本体背面に集まっていますが、音量の調整ノブは前面にあります。

MOTU M6 前面左

コンボジャックはファンタム電源に対応しており、各インプットはダイレクトモニターも使えます。

ダイレクトモニター

接続したマイク・楽器の音をPCなど介さずに直接返す機能。遅延がほぼない

ダイレクトモニターの音とPCの再生音のバランスは右側にあるMIX用のノブで調整できます。

MOTU M6のMIXノブ

INPUT側に回すとダイレクトモニターの音が大きくなり、PLAYBACK側に回すとPCの再生音が大きくなります。

なお、INPUT5-6(1/4TRS入力)はGAINノブがなく、オーディオインターフェイス側では音量調整できない仕様です。

出力端子は背面の1/4TRS端子 4基です。

MOTU M6の背面左

ボリュームは前面の大きいノブを使って調整できます。

MOTU M6 前面右

そして、ヘッドホン端子は前面に2基ついており、ボリュームも独立しています。

左のヘッドホン端子はOUT1-2、OUT3-4のどちらの音を出すか選べるようになっています。

MOTU M6のヘッドホン端子は出す音をボタンで切替可能

ライブの同期ではOUT1-2とOUT3-4で違う音を設定することも多いですが、任意の音をモニターできるのが良いですね。

MOTU M6はミキサー機能付きの専用アプリはないですが、代わりに本体操作がわかりやすくなってます。

MOTU M6

ディスプレイの視認性も良好です。

A/Bモニタースイッチ

MOTU M6のA/Bモニタースイッチの概略

MOTU M6はA/Bモニタースイッチが実装されており、音を出すスピーカーを瞬時に変えられます。

前面にあるA/Bスイッチを長押しすると、出力先を切替できるモードに切り替わります。

MOTU M6 A/Bスイッチを長押しする

A/Bモニタースイッチのモードになると、1/4 TRS端子は1-2がA、3-4がBに割り振られます。

MOTU M6の背面左

そして、前面のA/Bスイッチを押す度に出力先がAとBで切り替わるようになっています。

補足

ABモニタースイッチのモード中はAもBもOUT1-2の音声が出力されます

そのため、2ペアのモニタースピーカーのどちらから音を出すかボタン1つで切り替えることが可能です。

MOTU M6 ディスプレイ

正直なところ、歌い手とかシンガーソングライターで、この機能が必要になる人はほとんどいないかなと思います。

一方でエンジニア、MIX師の方は複数のスピーカーでバランスチェックする人が多いので、この機能はかなり重宝しますね。

ループバック

外部ソフトでルーティングを追加して、BGMの音を配信に載せる

MOTU M6はループバック機能を搭載しています。

ループバック機能の利用にはWin、Macともに専用ドライバのインストールが必要です。

ただ、Macは専用ドライバを入れると常時ループバックON状態になります。対策は後述します。

また、iOSではループバックは使えませんでした。

補足

iOSだとループバックチャンネルを選択できなかった

まずはWindowsでのループバックの使い方です。

他メーカーだとソフトウェア上でON/OFFするだけですが、MOTUの場合はループバック専用の入力チャンネルを選択する仕様です。

MOTU M6のCUBASEで表示される入力設定画面
Loopbackと記載あり
入力CH概要
in1~6(Mono)該当のInの音が出る
in1/2~5/6(Stereo)In1がL、2がRから音がでる
In3/4と5/6も同様
Loopback 1(Mono)
Loopback 2(Mono)
PCの音がモノラルで出る
Inの音は出ない
Loopback Mix 1(Mono)
Loopback Mix 2(Mono)
Loopback Mix 1/2(Stereo)
PCの音とInの音が
モノラル or ステレオで出る
Loopback 1/2(Stereo)PCの音がステレオで出る
Inの音は出ない
Loopback mix 1/2
(Stereo)
PCの音とInの音が
ステレオで出る

動作確認した感じは上記のようになっていました。

DAW上で使う場合は基本的にはin1~6(Mono)で該当するチャンネルを選ぶだけですね。

続いて、Windwosのツイキャス画面を見てみましょう。

MOTU M6でツイキャスの設定画面を開いた
赤線がM6の入力チャンネル

基本的に配信で使う場合は下記のようになるかなと思います。

ループバック選択するチャンネル
不要In 1-2
必要Loopback Mix (3-MOTU M Series)

OBS STUDIOでもツイキャスと同じ入力チャンネルが表示されます。

MOTU M6でOBSの設定画面を開いた

なお、Loopback Mixを選択すると、INPUT1~6までの音とPCの再生音がステレオミックスされて入力されます。

M6はコンボジャックが4基あるので、バンドや複数人配信でも使い勝手が良さそうです。

MacのOS標準機能だと、入力チャンネルは1つしか表示されません。

MacでのMOTU M6のサウンドプロパティ

そして、専用ドライバをインストールすると、この唯一のチャンネルに常時ループバックがかかってしまいます。

ZOOMやOBSだとループバックONのまま、変更できなくなります。

Mac版ZOOMでのMOTU M6の設定画面
Mac版ZOOM。M6しか選べない
Mac版OBSでのMOTU M6設定画面
Mac版OBS。M6しか選べない

この常時ループバックをOFFにするにはFinderから「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「Audio MIDI設定」で設定を変えましょう。

MacでMOTU M6のループバックを切る
Loopbackチャンネルを消音する

画面左で「M6」を選んで画面右の「入力」をクリックすると、入力チャンネルが一覧表示されます。

その中からLoopbackがつく全チャンネルの「消音」にチェックを入れるとループバックOFFになります。

補足

使用アプリによってはLoopback1と2は関係ないようですが、全部消音にしとくのが安定です

配信でループバックを使いたい場合は都度、「Audio Midi設定」を変更しましょう。

もしくはOBSを使うならM6のループバック機能は使わずにBlackHoleでループバックするのが良いでしょう。

BlackHoleの設定については下記記事の<Macでデスクトップ音声を使用する方法>を参照ください。

なお、DAWではWindowsと同じように入力チャンネルが複数出てくるのでループバックをON/OFFできます。

ただし、前述のAudio Midi設定でLoopbackを消音にしていると、Loopbackを選択しても音が出ないので注意してください。

ちなみにMacの場合はOS標準ドライバで動くので、専用ドライバを入れないという選択肢もあります。

ただ、専用ドライバはレイテンシーの抑制にもなるようなので、入れた上でループバックを切るのが良いと思います。

付属品

MOTU M6付属のUSBケーブル
MOTU M6付属の電源アダプタ

MOTU M6はUSBケーブル 2本と専用の電源アダプタが付属します。

M6はUSB-C to C(USB 3.0)で接続すれば、バスパワーで動作します。

USB-A to Cだと電源アダプタでの電源供給も必要です。

MOTU M6 斜め前

また、電源アダプタを使うことでスタンドアローンでも動作します。

スタンドアローン

PCがなくても、単体で動作する製品のこと

コンパクトで入出力端子が豊富なので、ミキサーの代わりとしても色々使えそうです。

また、M6はiOSでも使用できます。

iOS端末との接続にはUSBカメラアダプタが必要です。

そして、DAWのPerformer Lite、Ableton Live Liteが付属します。

MOTU perfomer lite
補足

MOTUにアカウント登録・製品登録して、ダウンロードする形式です

MシリーズをMOTUアカウントに登録する(YouTube)

Performer Liteは職業作家で使用者が多いMOTU Digital Performerのライト版です。

サウンドエンジンが優秀で音質が良く、付属するプラグインの質も非常に良いです。

MOTU perfomer liteのプラグイン
付属のMASTER WORKSシリーズは使い勝手が良い

Performer Liteはネット上に情報があまりないのがネックですが、ハイレゾリューションさんが使い方動画を制作してくれています。

MOTU Performerシリーズで楽曲制作(YouTube)

audio technica AT-UMX3のバナー(PC)PR

MOTU M6をレビュー

MOTU M6 上から撮った
M6の評価まとめ
音質
 (4.5)
機能性
 (4.5)
コスパ(69,300円程度)
 (3.5)
総合評価
 (4)

それでは、MOTU M6を細かくレビューしていきます。

はじめにメリット・デメリットを箇条書きでまとめると以下の通りです。

メリット
デメリット
  • 音質が非常に良い
  • ループバックが使える
  • コンボジャックが4基
  • A/Bモニタースイッチがある
  • 日本語の取説がない(動画はある)
  • ネット情報が少ない
  • 内蔵エフェクトはなし
  • Macだとループバックが一手間必要

基本的にはDTMerやエンジニアさん向けといった印象です。

またはライブでの同期や複数人配信といったグループ用途で使う人向けですね。

ハイクオリティな音質でコンボジャック4基なので、ドンピシャでマッチする人は結構いそうです。

製品レビューの目次

高級機にも負けない音質

MOTU M6

MOTU M6でボーカルとアコギを録音してみました。

音質はM2やM4と同様に非常に良いです。クリアで音が前にきます。

音量をグッと上げても、歪むこともなく、低ノイズで存在感のある音です。

M6を使って、録った演奏動画がこちら。

日常 / 星野源 【アコースティックCover】

マイクプリの質が良いですね。クッキリとしたきれいな音で録れます。

また、再生音も非常に良いです。

M6はDACは高級機によく搭載されているESS Sabre32 Ultra DACテクノロジーを採用しています。

MOTU M6 斜め上

解像度の高い音で、DACとして使うにも十分なクオリティですね。

この音質で入出力端子も多く、価格も10万円未満なのはかなり良いです。

複数人での配信などに便利

MOTU M6 斜め前

MOTU M6はコンボジャック4基でコンパクトなので、DTM以外での用途でも便利です。

他の機種だと、別途ミキサーが必要になるところをM6だけで対応できます。

例えば、配信ではループバックを使うことで、INPUT1~6までの音をまとめて配信アプリに送れます。

MOTU M6 ディスプレイ

スタジオからのバンド配信も手軽に高音質にすることができますね。

また、ライブでの同期用途でもコンパクトで必要な端子は揃っているので、使いやすいです。

MOTU M6の背面

スタンドアローンでも動作するので、ミキサー代わりにもなる点も地味に良いです。

バンドやユニットをやっている人は持っておくと、何かと対応力が上がる1台ですね。

Ultralite mk5との比較

MOTU M6
M6
MOTU UltraLite mk5
Ultralite mk5
入力端子コンボジャック×4
1/4 TRS ×2
コンボジャック×2
1/4 TRS ×6
出力端子1/4 TRS ×4
ヘッドホン端子 ×2
1/4 TRS ×10
ヘッドホン端子 ×1
S/PDIF
OPTICAL
内蔵エフェクトなしEQ
コンプレッサー
GATE
リバーブ
実売価格69,300円程度99,000円程度

最後は同じMOTUのUltralite mk5との比較です。

MOTU UltraLite mk5

おそらく、M6の購入を検討している方はUltralite mk5と迷う方が多いと思いますが、結構違いがあります。

まず、入出力端子についてはUltralite mk5のほうが豊富ですが、コンボジャックの数はM6のほうが多いです。

MOTU M6の背面
M6はコンボジャック4基
MOTU UltraLite mk5 背面
Ultralite mk5はコンボジャック2基

また、ヘッドホン端子もM6は2基、Ultralite mk5は1基です。

MOTU M6 前面右
M6
MOTU UltraLite mk5 正面真ん中
Ultralite mk5

このように入出力端子の構成はUltralite mk5とM6で結構違います。

なお、音質はどちらも素晴らしく、差はあまり感じませんでした。

一方でUltralite mk5が優れている点は専用アプリCueMix 5を使ったルーティングの自由度です。

MOTU UltraLite mk5の専用アプリ CueMix 5

このソフトが非常に良くできており、ループバックなども絡めて自由自在にルーティングを変えられます。

また、CueMix 5はDSPエフェクトにも対応しており、配信で手軽にエフェクトを掛けることも可能です。

CueMix 5のリバーブ設定画面

しかも、CueMix 5はiPhone、iPadでも使えます。

Ultralite mk5はDTM・配信など様々な用途で非常に使いやすいです。

そのため、基本的にはUltralite mk5のほうがおすすめですが、以下の要望がある人はM6のほうが良いですね。

  • コンボジャックが4基欲しい
  • ヘッドホン端子が2基欲しい
  • 予算は7万円以内に抑えたい

M6が発売されたことで、MOTUのラインナップの隙間がちょうど埋まった感じです。

高音質でコンボジャック4基搭載の製品は地味に需要がありますからね。

MOTU M6 まとめ

MOTU M6 斜め前
  • コンボジャック4基搭載の高音質オーディオインターフェイス
  • A/Bモニタースイッチ搭載で2ペアのスピーカーを切替可能
  • ループバックも使えるので、配信での使い勝手も良い

ぎたすけ

1人だとこんなに色んな機能使わないけど、バンドとかだと便利でいいな

たけしゃん

そうだね。1人ならM2でいいし、用途に合わせて製品を選べるのがいいよね

MOTU M6のレビューでした。

高級機に負けない音質でコンボジャック4基、10万円未満というのは地味に需要が高そうですね。

DTM以外にも色んな用途で活躍するので、複数人で活動している方は1台持っておくと便利です。

関連記事

Universal Audio Volt 476PUniversal Audio Volt 476Pをレビュー。コンボジャック4基搭載のアナログコンプレッサーが使えるオーディオインターフェイス MOTU M4MOTU M4をレビュー。優れた音質で入出力端子も豊富なオーディオインターフェイス Universal Audio Volt 476【2024年】オーディオインターフェイス おすすめ12選。選び方や用途別で適した製品を徹底解説 audio technica AT-UMX3とiPhone 13 Pro。正面から撮影【2024年】iPhone向け オーディオインターフェイスおすすめ7選。選び方や注意点をiOSで配信している筆者が徹底解説 コンデンサーマイクを10本並べた画像コンデンサーマイク おすすめ17選【2024年】。ボーカルレコーディングで定番の製品を徹底比較。 ライブ配信している部屋配信向けオーディオインターフェイス おすすめランキングベスト10。選び方や注意点を細かく解説