ライブハウスの動員問題について弾き語りすとの観点で提案してみる

ぎたすけ

昨年からライブハウス動員問題の話題って多いよね。

たけしゃん

どれもライブハウスとバンドというお題だから、弾き語りすとはどうなんだろう?って思っててさ。ないから自分で書くことにしたよ

たぶん最初に話題になったのは、この記事。タイトルが過激。

参考 動員の少ないバンドはライブするのを止めてもらえないだろうか(補足記事あり)海保けんたろーの思考集積場

勝手に中身を要約すると。

勝手に要約①
  1. ライブハウスは出演者からのノルマ収入に頼り切っている
  2. 出演者がノルマを払ってライブすることをやめれば、自然と質の悪いお店は淘汰されていく
  3. 結果的に質の良いお店と出演者が残り、ライブハウスにもお客が入る

…とこんな内容でした。

 

そんで、最近はこんな記事も。

参考 ライブハウスの動員問題に対する提案をいくつかさせてもらう。ぽいろぐ-enjoy&music&investment-

こちらも勝手に要約すると…。

勝手に要約②
  • 出演者への提案⇒集客は別でやって、ライブハウスはイベントする場所と考えるべし
  • ライブハウスへの提案⇒集客できない人をライブ出演に誘わないで

…で今回、自分も同じような記事を書こうと思った理由。

それは弾き語りのライブハウス事情は急激に変化しているから。

 

バンド系ライブハウスと弾き語り系ライブハウスの状況はかなり違うと思う。

ということで、弾き語りすと・弾き語り系ライブハウスに2018年の状況を踏まえた提案をします。

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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弾き語りとライブハウス

弾き語りもバンドも基本的にはライブハウスと出演者の関係は一緒。

出演者にチケットノルマを課して、出演者はノルマ分の集客ができずお金を支払う。

毎日、都内の色んなライブハウスでお客さん数人のライブが催され、ライブハウスは出演者から出演料をもらって何とか経営している。

 

しかし弾き語り界隈では、既にこのビジネス構造は崩壊しています。

ライブ配信サービスの普及

2016年にスマホを使ったライブ配信がたくさん始まり、2017年は急激に普及しました。

もっと前からニコ生やツイキャスなどあったものの、スマホで完結するスタイルが若年層に受けて利用者も激増。

 

そして、バンドと異なるのは弾き語りとライブ配信は相性抜群ということ。

ギター1本で配信できるため、お手軽で練習スタジオや自宅から配信する人が多い。

 

ファンを獲得するために毎月ライブハウスに出演する…など、もはや非効率。

その時間とお金を使って、ライブ配信を充実させた方が遥かに効果的です。

これから起こるライブハウスの閉店ラッシュ

ライブ配信の普及もあり、出演者とライブハウスの関係も大きく変わっています。

以前であれば老舗ライブハウスには黙っていても、出演希望者が毎日大量に訪れていました。

そして、毎月ライブ出演してノルマを払ってくれていました。

 

しかし、今後は出演者自体は減らないものの1人当たりの出演回数は大幅に減少するでしょう。

何故なら、ライブハウスでライブするより配信したほうがファンを獲得できるからです。

ライブ配信出身のスターがたくさん輩出されると共に、閉店するライブハウスは後を絶たないでしょう。

 

過去に似たような状況で閉店ラッシュがあったのはゲームセンター業界。

格闘ゲームをはじめ、自宅でネット対戦できる環境が2010年頃から整い、数ある有名ゲームセンターが次々と閉店。

その一方でネット対戦が普及したことでユーザー数も増えて、プロゲーマーという職業が生まれました。

今の弾き語り系ライブハウス事情はかなり状況が似ていると感じています。

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演者とライブハウスに提案する

さて、昨今の弾き語りとライブハウス事情を説明したところで提案に移ります。

バンド業界と異なる点は弾き語り業界では既に売り手(出演者)市場が成立していること。

若年層になるほど、ライブハウスの存在価値は薄いです。

よって、提案する内容も下記のような観点になっています。

アーティストへの提案

音楽活動を成功するためにビジネスやサービスに賢くなろう。

ライブハウスへの提案

選ばれるお店になるためにライブハウスビジネスを一から考え直そう


それでは、続けて提案の詳細をご紹介していきましょう。

アーティストへの提案

まず、未だにノルマとして出演料を払って毎月のようにライブ活動している人は活動方針を見直しましょう。

時間とお金の無駄…とまでは言わないですが、間違いなく非効率です。

 

おすすめしたい活動ステップはこんな感じ。

STEP1
認知度を上げる
ライブ配信・路上ライブなど、たくさんの人に見てもらう機会を作る
STEP2
繋がりを作る
SNS・ブログ・HPなどを整備して、ライブ配信・路上ライブで出会った人たちと繋がりを持とう
STEP3
ファンを増やす
STEP1、STEP2をブラッシュアップしながら繰り返し、ファンを増やしていこう
STEP4
体験を提供する
ライブイベントなどを開催してファンにライブ体験を提供しよう
繰り返し
STEP1~4を繰り返してファンを増やそう!

ライブハウスが登場するのは「STEP4」。

つまり、ファンが増える段階までいかないとライブハウスは必要ないってこと。

ただ、「STEP4」で初めてライブハウスに行ってライブを成功させるのは至難の業。

よって、ここから「STEP4」を成功させるために2つのライブハウス活用方法をご紹介していきます。

オープンマイクで経験を積む

弾き語りすとLABOでしょっちゅう紹介しているライブハウスイベント「オープンマイク」。

オープンマイクとは「客が店のマイクを使って、音楽の演奏や歌唱、詩の朗読、寸劇、お笑いのネタ披露、手品、紙芝居などのパフォーマンスを行えるという営業形態(の店)」のこと

-Wiki pedia-

オープンマイクの詳細については下記記事を参照してください。

ライブステージとアコースティックギターオープンマイクとは?初心者向けにルールや流れ、東京のおすすめライブハウスを解説

都内のライブハウスなら毎日どこかしらで開催されています。

オープンマイクの良いところはノルマなどがなく、参加費を払えば「ライブハウスの設備を使って人前で演奏できる」ということです。

 

ライブハウスで演奏するのはライブ配信とは、かなり違います。

だからといって、ノルマを払って集客を頑張って場数を踏むのも効率が悪い。

 

オープンマイクに参加してライブ経験を積みつつ、自分が「STEP4」でイベントをやる場所を探すのが良いでしょう。

ライブハウスは自主イベントで活用する

ライブハウス出演する方法は大きく、2種類あります。

  • ブッキングライブ…お店が主催するライブ。日時・料金・出演者・タイムテーブルなどお店が指定する
  • 貸し切り…利用料金払って貸し切る。自分の好きな出演者・イベント内容・料金を設定する

おすすめするのは「貸し切り」で自主イベントを催すこと。

ライブハウスに利用料金を支払って、あとは自分が好きなイベントをやる。

ワンマンライブでもよいし、自分が好きなアーティストを誘ってツーマン・スリーマンライブをやるのもよし。

 

来てくれるお客さんが楽しめる体験を提供することが重要。

そのためには場所選びも大事です。

 

有名アーティストを輩出した、由緒正しいライブハウス…なんてのはお客さんにはどうでもよい。

居心地よくて、あなたの音楽をゆっくり楽しむことができる場所を探しましょう。

トイレが綺麗で背もたれ椅子があると良いですね。

ライブハウスへの提案

続いて、ライブハウスへの提案。

弾き語り系ライブハウスの状況は前述の通り、相当厳しいです。

人前で弾き語りするユーザー数は年々増加するにも関わらず、弾き語り系ライブハウスは減少していく未来しか見えません。

 

そんな厳しい状況で提案するのは1点だけです。

  • 出演者に選ばれる、強みを作る

経営視点で考えたら、色々あったんですけどねぇ。

結局はこの1点に全て集約されてしまいました(笑)。

出演者に選ばれる、強みを作る

今後、毎月のようにライブをやる人はどんどん減っていきます。

そんな人たちも、ここぞという時にはライブをやります。

 

そこで重要なのが「ここぞという時にライブをやりたいアーティストから選ばれること」です。

そのためには選ばれる強み(理由)が必要。

  • 料理がおいしい
  • 会場がオシャレ
  • お客さんが居心地よい環境になっている
  • このライブハウスにしかない特別な演出がある

…などなど。

例えるなら、ライブ会場選びはデートで行くお店を探すのと考え方は一緒。

相手が来てよかったと思えるようなところを選びたい。

そして、お店に強みがあると誘いやすい点も一緒。

是非強みを作っていただきたい。

 

ちなみにライブハウスも集客頑張るべき…という意見をよく見るけど、僕はそうは思わない。

集客は出演者が頑張るべきで、ライブハウスはお金を払う「出演者と来店したお客さん」に対して最高の価値を提供できる環境を整えてほしい。

 

これも先ほどのデートの例えと同じ考え。

別にお店にデートする相手を斡旋して欲しいとは思わない。

けど、自分と一緒にいった人を満足させる環境はちゃんと提供してほしい。

終わりに

こうやって書いてみると、やっぱりライブハウスってサービス形態自体が厳しい感じもした。

特に平日は夕方から開店するところとか、出演者に高いノルマ要求する以外黒字経営する方法はない気がする。

 

お昼や予約がない日は飲食店とか、場所貸しするとか収益源を複数持っておくのが良いんだろうけどね。

都内だと下北沢のmona recordsがそんな感じですし。

ただモナレコと同レベルの料理を出せるライブハウスなんて、ほとんどない。

結局、課題はそういったところなんでしょうね。

 

個人的な予想としては弾き語りすとの人口は今後増え続けて、ライブハウスの数は反比例して減り続ける。

そして、出演者に選ばれる強みがあるライブハウスだけ生き残る。

弾き語りのライブハウス事情は今後も面白そうで目が離せないな~と感じました。

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