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アコギ用ピックアップの選び方
アコギ用ピックアップを後付けする場合に検討すべき点は主に3つです。
- アクティブとパッシブ
- ギターに穴あけ加工するか
- ピックアップの種類
この3つの項目を理解したうえで、ピックアップを選ぶと失敗する確率が大分減ります。
エレキギターと違い、アコギはピックアップを取付けると外すのが大変です。
最初に基礎知識を勉強したうえで製品を選びましょう。
ピックアップの選び方 目次
アクティブとパッシブ
ピックアップはアクティブとパッシブの2種類に分かれます。
違いは音を調整して増幅するプリアンプの有無です。
エレアコはエレキギターとは異なり、音を歪ませずに増幅します。
そのため、プリアンプはほぼ必須なので、基本的にアクティブタイプのピックアップを選びます。
一方でプリアンプは厳選したものを選びたいという人は、あえてパッシブピックアップを選びます。
ソロギターの方だとパッシブを選んで、高級なプリアンプを別で用意する人も結構多いです。
一方で弾き語りの人はプロも含めて、ほぼアクティブを選びますね。
ギターに穴あけ加工するか
続いては、ピックアップの取付に際してギターに穴を開けるかです。
サドル下に取り付けるアンダーサドルピエゾの場合は基本的に穴を開けなければいけません。
一方でマグネットタイプのピックアップは穴あけしなくても取付が可能です。
さらには最近は無線タイプのマグネットもあるので、加工不要で楽に取付できます。
昔に比べてワイヤレスの性能が良くなっており、選択肢が大分増えてますね。
一方でライブでバリバリ使いたい場合は、やはり穴をあけて有線にしたほうが楽ですね。
エンドピンからシールドを挿せると、ケーブルの取り回しも楽ですからね。
マグネットタイプでも穴あけ加工して、エンドピンに接続できるようにする人は多いです。
参考ですが、ピックアップ取付加工費用はこんな感じです。
ピックアップの種類 | 相場価格 |
マグネット(穴あけ) | 7,000円程度 |
アンダーサドルピエゾ | 10,000円程度 |
デュアル(複合型) | 15,000円程度 |
ちなみにギターに穴を開けると音が変わるとよく言われますが、僕の経験上はほとんど変わりません。
気になる方はWL-800JPなど加工不要のピックアップを使いましょう。
ピックアップの種類
続いてはピックアップの種類です。
アコギ用ピックアップは大きく5種類に分かれており、音質が大分違います。
まずは一覧表にしてみました。
音質 | ハウリング | 価格 | 穴あけ | |
---|---|---|---|---|
ピエゾ | 必要 | |||
マグネット | 不要 | |||
コンタクト | モノによる | |||
マイク | モノによる | |||
複合型 | 必要 |
楽器メーカーが採用しているピックアップはピエゾが多いです。
理由は比較的安い上に万能に使えるからでしょうね。
一方でここ10年くらいで、プロアーティスト中心に複合型を使う人が大分増えました。
複合型はそれぞれのピックアップの弱点を補うので、使い勝手が良いんですよね。
ここからは前述の5種類のピックアップをサンプル音源付きで解説していきます。
合わせて、代表的な製品も紹介していきます。
ピエゾ(アンダーサドル)
まずは主流であるピエゾピックアップです。
アコギのサドル下に取り付けるアンダーサドルピエゾが多くのエレアコで採用されています。
ハウリングに強く、出力も出せるため万能に使えるのがピエゾの強みですね。
一方で音質はナチュラルではありません。
たけしゃん
そのため、最近ではアンダーサドルピエゾとマイクなどの複合型が主流になりつつあります。
音の比較としてあいみょんのライブ動画を参考に見ていただきたいです。
あいみょんは2019年くらいまでは、おそらくアンダーサドルピエゾのL.R.Baggs Elementを使っています。
高音弦を中心にピエゾの音が強く出ています。
ただ、この動画のギターは音響側でかなりうまく調整されてると思います。普通に使うともっとギラつきます。
続いては2021年のライブ動画です。
アンダーサドル&マイクのAnthemにピックアップが変わっています。
Till I Know What Love Is/あいみょん(YouTube)
ピックアップと別でマイク録りもされていますが、アンダーサドルのときとは音が違いますね。
個人的にはバンド内のアコギならアンダーサドルだけで問題ないと思ってます。
一方で歌とアコギだけの弾き語り構成では、アンダーサドルピエゾだと音質的にやや辛いですね。
L.R.Baggs Element VTC
代表的なピエゾピックアップはL.R.BaggsのElement VTCです。
Gibsonなど様々なギターメーカーで標準ピックアップとして採用されています。
バンドの中でも存在感がしっかり出せる音質と出力が強みですね。
どの現場でも安定して使えるため、色んなアーティストが使用しています。
一方で弾き語りの人だと、標準のElementからAnthemにわざわざ乗せ換えている人も多いですね。
マグネット
続いてはアンダーサドルピエゾの次に使用者が多い、マグネットタイプです。
ハウリングに強く、音質も結構良いので優等生というイメージですね。
ギター本体に穴あけ加工しなくても使えるので、ビンテージギターで使用される人も多いです。
エレキギターでよく使われるピックアップなので、音質はエレキギター寄りになります。
秦基博さんはデビュー初期はずっとマグネットタイプのL.R.Baggs M-1を使っています。
アコギらしい音ではないものの、これはこれで良いんですよね。
ちなみにソロギタリストだと、マグネットをメインにマイクもしくはコンタクトを追加している人が多いです。
弦の音はマグネットで拾い、ボディの打音やエアー感をマイクやコンタクトで拾う感じですね。
逆に弾き語りだとマグネット1本でやってる人が多いです。
L.R.Baggs M80
マグネットの代表的な製品はL.R.Baggs M80です。
世界的に有名なL.R.Baggs M-1の後継機種です。
M-1を改良して、より生感あるアコースティックサウンドに実現させています。
また、M80は本体機能でアクティブとパッシブを切替できます。
そのため、使用するプリアンプにこだわりたい人からも人気が高いですね。
コンタクト
ボディ内部に貼り付けるタイプのコンタクトピックアップです。
素子自体はピエゾが多いですが、貼り付けタイプはピエゾではなくコンタクトと呼ばれています。
音がナチュラルで良質なのが、コンタクトの良いところですね。
山崎まさよしさんが愛用しているGibsonのサザンジャンボはコンタクトを採用しているそうです。
ONE KNIGHT STAND 2020/山崎まさよし(YouTube)
動画を見ても、マイク立ててないのに完全にアコギの音してますよね。
ちなみにアコギに聴音機当てながら取付位置を決めたそうで、絶妙な位置に付いていると自画自賛されてました(笑)。
ナチュラルな音になる一方でハウリングに弱く、バンドだと音も埋もれやすいです。
そのため、アンダーサドルやマグネットなどと組み合わせて使う人が多いイメージですね。
たけしゃん
SHADOW SH712
コンタクトピックアップで比較的に有名なのはSHADOW SH712です。
SHシリーズは710~713まであって、710・711はPU1つ712は2つ、713は3つになっています。
コンタクトピックアップの数は割と難しくて、2つが取り扱いやすいです。
3つは上手く設置できれば、音もすごく良いですが設置位置調整が非常に難しいです。
マイク
マイクタイプはマイクを使って音を拾うピックアップです。
他のピックアップと比べても、ダントツで音がナチュラルでアコギの良さが出せます。
一方でハウリングに弱く、音量を稼ぎづらいのがネックです。
特にバンドに入ると音量的にも音質的にも埋もれてしまう可能性が高いです。
そのため、ハウリングに強いアンダーサドルピエゾと組み合わせるのが主流ですね。
最近はデュアル、3Wayピックアップでもマイクが組み込まれてるものが多いです。
なお、ギター本体に内蔵させるタイプ以外に外枠に取付できるタイプも存在します。
内蔵型よりマイキングの自由度が高く、よりアコギらしい音を拾えます。
一方で配置や見栄えといった面で、内蔵型と比べると利便性がやや悪いです。
L.R.Baggs Lyric
マイクタイプの代表的な製品はL.R.Baggs Lyricです。
取付位置はブリッジ裏になっており、加工についてはアンダーサドルピエゾに近いみたいですね。
本体コントローラーはサウンドホール横につきます。
コントローラーはVolツマミとプレゼンス調整トリムで構成されています。
出音はマイク録りした音を加工した感じの音質になっています。
その分、ハウリングは抑制されており、アコースティックバンドでは特に問題なく演奏できました。
アコースティックセット中心で使うなら、非常に良いピックアップです。
複合型
最後はこれまでのピックアップを組み合わせた複合型です。
2種の組み合わせだとデュアル、3種だと3wayと呼ばれています。
市販品だと「マイク&アンダーサドルピエゾ」が主流です。
秦基博さんも愛用しているL.R.Baggs Anthemが「マイク&アンダーサドルピエゾ」ですね。
基本的には下記2種類を組み合わせて、お互いの弱点を補填する設計になってます。
- 音は良いが、ハウリングに弱いピックアップ
- 音はいまいちだが、ハウリングに強いピックアップ
また、それぞれのピックアップの音量バランスを調整できる製品が多いです。
なので、楽器編成によってどちらのピックアップを中心にするか変更できます。
例えば
楽器構成 | ピックアップ |
バンド | ピエゾ(マグネット)中心 マイクはやや控えめにする |
弾き語り | マイク中心 ピエゾ(マグネット)は控えめ |
バンド・弾き語りの両方やるシンガーソングライターはデュアルを使う人が多いですね。
L.R.Baggs Anthem
プロアーティストの使用者も多い、L.R.Baggs Anthemです。
Mr.Childrenの桜井さん、斉藤和義さん、秦基博さん、miwaさん、あいみょんなど、色んな方が使用されています。
僕もライブギターとして、Gibson J-45にAnthemを付けて使ってます。
アンダーサドルピエゾに比べて使いやすくて良い音するんですよね。
ただ、取付工賃を含めると、4~5万円かかります。
価格がネックではありますが、それだけの価値はあると使っていて感じてます。
なお製品バリエーションとしてAnthem SLという小型タイプが存在します。
Anthem SLは全体音量ツマミとマイクゲインのトリムだけになります。
また、マイクゲインの調整は精密ドライバーが必要となります。
弾き語りで使う場合はピエゾとマイクの音量バランスは細目に使うので、通常のAnthemがおすすめです。
ワイヤレスのピックアップ
最後は最近熱いワイヤレスのピックアップです。
おすすめは2019年に発売されたSKYSONIC WL-800JPです。
ワイヤレスなのにマグネットとマイクの複合型という高機能なピックアップになっています。
WL-800JPは加工不要で取付可能なタイプです。
両端の可動部分をサウンドホールにセットしてドライバーでネジをしめるだけです。
ワイヤレスなので配線もないのが良いですね。
アンプ側の接続は同梱されている子機側を接続するだけです。
ライブハウスのオープンマイクで使ってみましたが、問題なく使えました。
音質はこんな感じです。
Anthemと比べるとやや落ちる印象は受けますが、簡単取付でワイヤレスなのは大きいですね。
自分のギターに穴は開けたく人にはうってつけの製品です。
アコギ用ピックアップの選び方 まとめ
- エレアコ用のピックアップはアクティブが多い
- ライブギターとして使うなら、ギターに穴あけ加工したほうが楽
- バンド、弾き語り両方やるなら複合型ピックアップがおすすめ
ぎたすけ
たけしゃん
アコギ用ピックアップの選び方でした。
僕も最初はアンダーサドルピエゾを使ってましたが、複合型を使うと音が全然違いますね。
昔に比べて、アコギ用ピックアップも大分進化しています。
ぜひ、複合型を試してみてください。
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