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Gibson(ギブソン)J-45
1942年にGibsonから発売されたJ-45。
今日ではMartin D-28と並ぶアコースティックギターの代名詞的な存在になっています。
Gibson J-45はマイナーチェンジを続けており、最近だと1年ごとに少しだけ仕様が変わっています。
なので、型番も「Gibson J-45 2019」といった風に西暦が入ってます。
なお、ここ数年で変更された仕様はピックアップであったり、ディテールのほんのわずかな変化のみで根本的に変わったところはありません。
まずは2019年版のJ-45の仕様を基にギター解説を進めていきます。
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Gibson(ギブソン)J-45 ボディの形状
- 全長 40.5インチ
- スケール長 24.75インチ
- ボディ幅 16インチ
- ボディ長 20.25インチ
- ナット幅 43.8mm
(参考)ギターの寸法用語
Gibson伝統のラウンドショルダー型を採用しています。
Gibson hummingbird(ハミングバード)を代表するスクウェアショルダー型とはボディ上部(肩)の形状が異なります。
ラウンドショルダー型はなで肩、スクウェアショルダー型はいかり肩となっています。
Martinで有名なドレッドノート型とほぼ同じ形状ですが、ラウンドショルダー型のほうがスケールはやや短く、ギター全長やボディ幅は若干大きいです。
つまりは標準的なギターサイズということです。
ストロークでかき鳴らすと、良い感じに箱鳴りして音量も大きいです。
アルペジオで弾いてもレスポンスも上々でギター弾き語りやバンドのボーカルギターに最適なギターサイズです。
Gibson(ギブソン)J-45 木材
- トップ材:シトカスプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー
- フィンガーボード:ローズウッド
- フィニッシュ:ニトロセルロース(ラッカー塗装)
Gibsonギター王道のトップ:スプルース、サイド&バック:マホガニーという組み合わせですね。
音のレスポンスが良く、ジャラーンと鳴らすと良い感じに箱鳴りします。
高音(サスティーン)の伸びはローズウッドには敵いませんが、ジャキっとしたバランス良いサウンドは歌モノと相性がよいです。
ピックアップ
Gibson J-45 2019はピックアップ搭載モデルとなっており、L.R.Baggs Element VTCが搭載されています。
ピエゾタイプのピックアップでGibsonギターは割と昔から、L.R.Baggsを採用していますね。
L.R.Baggs Element VTCにはホール横にボリュームとトーンコントローラーがついており、調節できます。
弾き語りだと音質の調節幅が狭いので、別でプリアンプを用意すると良いでしょう。
Gibson J-45に合う弦
J-45の初期出荷時にはGibson SAG-MB12が張られています。
ストロークの音が分離良く、ジャッキとした気持ちいい音が鳴ります。
その一方で滑りが悪く、高音の伸びもイマイチと欠点も多い弦です。
プロアーティストを見ても、Gibson弦をそのまま使っている人は少ないのが実情。
Martin弦かJOHN PEARSEを好む人が多いです。
僕がGibson J-45におすすめするのはMartin MSP4100(LIGHT)。
斉藤和義さん(主にJ-45)や植村花菜さん(B-25)がGibsonギターに使っている弦です。
値段も安めで鳴り方も歌モノに合う万能な音色で使い勝手が良いですね。
現行Gibson J-45の音をレビュー
僕はサブギターで最近作られたGibson J-45を使用しています。
実際に弾き語りしてみた動画がこちら。
ザクザクしていて、激しく弾いても心地よい音質です。
僕のメインギターはTaylor 814ce(サイド&バック:ローズウッド)なのですが、比較するとこんな感じ。
- 渇いた音
- ストロークで強く弾きたくなる
- 歌いやすいギターの音
- 艶のある音
- 高音が伸びてアルペジオが◎
- 歌いやすさは普通
どちらも良いギターなので、甲乙はつけがたいところ。
ただ、Gibson J-45の強みはストロークで演奏している時の歌いやすさですね。
渇いた感じの音で箱鳴りもちゃんとしているので、心地よい鳴り方。
それでいて、ボーカルの音と被らないようで強く弾いても自分の歌声がしっかりと聞こえます。
814ceは凄く鳴る上に音の伸びも良いですが、かき鳴らすとギターの音が大きく聴こえてボーカル側で無理しちゃうんですよね。
J-45を買ってからはアタック感を強めに出したいストローク曲はもっぱらGibson J-45を使ってます。すごくいいですよ。
バンドボーカルやロック系の方で使用者が多いのも納得です。
ストロークが中心でロックな曲が好きな人にはおすすめですよ。
Gibson(ギブソン) J-45 年代別の変化
たけしゃん
1942年から仕様変化を繰り返して、現在にいたるJ-45。
その仕様変化によって、音質や弾き心地が大きく変わってきます。
ギターマニアになると何年代のJ-45なのか?というのは重要なポイント。
また、Gibsonからは当時の仕様を再現した復刻版のJ-45も多く販売されています。
ヴィンテージギターはちょっと…という人も新品の復刻版を選べば、昔の仕様を選択できるのも楽しめるポイントですね。
本章ではヴィンテージギターや復刻版が多数存在する1940年代~1960年代を中心に解説していきます。
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1940年代前半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー(ナット幅45mm)
- アジャスタブル・トラスロッドが内蔵されていない
1940年代前半はJ-45が販売され始めた初期の時代。
木材を見ても、既によくあるJ-45スタイルではあります。
ただ、この時代は仕様も定まっておらずオールマホガニー仕様のJ-45があったり、1942年限定モデルがあったりします。
1940年代前半のJ-45、最大の特徴はアジャスタブル・トラスロッドが内蔵されていないことです。
今では、ほとんどのギターに採用されているアジャスタブル・トラスロッド。
1940年代の当時は戦争により、金属が圧倒的に不足している時代であったことが要因だそうです。
アジャスタブル・トラスロッドが内蔵されていないと、ネックの状態を保つのに一層、気を使います
その一方でネックが木だけで構成されるため、豊かな鳴りが得られるという説や数が少ないプレミア度の高さなどから、珍重されています。
- 奥田民生(1945年製)
1940年代後半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:色々
- ネック:マホガニー(ナット幅45mm)
- 様々な仕様のギターが存在する
1940年代後半は戦争の混乱で木材の供給が安定していない時期でした。
その影響で、サイド&バックがマホガニー、メイプル、ウォルナットと多種類になり、複数の木を組み合わせる3ピース、5ピースといったギターも存在します。
この時代のギターは市場で見ることも珍しく、復刻版もみかけません。
たまにサイド&バックがメイプルの1940年代製 J-45が数百万円で市場に出ています。プレミアギターって感じですね。
1950年代前半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー(ナット幅43mm)
- 仕様が安定してきた時期のJ-45
1940年代後半の混乱期を過ぎて、仕様が安定してきた時期が1950年代前半。
古風なJ-45スタイルがこの時代に作られます。
1950年代前半の特徴的なルックス
- 3層のサウンドホールリング
- べっ甲柄のティアドロップ・ピックガード
- アッパーベリーブリッジ
- ロング・スロッテッドサドル
音質も古風なJ-45…という感じで1960年代と比べるとジャキジャキ感は薄くマイルドな音質です。
1950年代前半の仕様をベースに様々なオプションや細かい仕様変更がなされたJ-45が生まれていきます。
1950年代後半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー(ナット幅43mm)
- ノンスキャロップド・ブレーシング仕様となる
1950年代後半に入ると細かいながらも、ルックスや音質が変わる仕様変更が施されていきます。
1950年代後半の仕様変更
- 1954年…ショートスロットブリッジになる
- 1955年…ブレイシングがノンスキャロップドに変わる
- 1955年…ピックガードがラージ・ポインテッド型になる
- 1956年…オプションでアジャスタブルサドルが選択できるようになる
1955年からブレーシングがスキャロップドからノンスキャロップドに変わります。
よく言われるのはスキャロップドは最初から鳴りがよく、ノンスキャロップドは弾き込むうちに鳴りが良く鳴る…という説。
ヴィンテージギターだと、どちらでも弾いていて差は感じないですね。
そして、1956年からヴィンテージギブソンの特徴であるアジャスタブル・サドル仕様のJ-45が登場します。
この時代はアジャスタブル・サドルはオプション扱いなので、通常サドルのJ-45がメインです。
- 奥田民生(1958年製)
- 桜井和寿(1958年製)
- 山崎まさよし(1957年製)
1960年代前半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー (ナット幅43mm)
- アジャスタブルサドル仕様
ヴィンテージ J-45で最も人気がある1960年代に入りました。
1960年代を象徴するのは何といっても、アジャスタブルサドル。
白くて太めのサドルがアジャスタブルサドルです。
1950年代後半ではオプションでしたが、1960年代はアジャスタブルサドルが標準で通常サドルがオプションに変わります。
アジャスタブルサドルは高さが調節できるサドルですが、どちらかというと調節機能よりジャキっとした音質が重宝されています。
1960年代のGibsonといえば、アジャスタブルサドルによるジャキジャキした音質の印象が強いです。
その一方でアジャスタブルサドルだとインブリッジピエゾタイプのピックアップが取付けできません。
そのため、秦基博さんはL.R.Baggs Anthemを付けるために通常のサドルに換装しています。
ちなみに1960年代前半は迷走していたのかサドルがころころ変わった時期があり、通常サドルのものも割と存在します。
1960年代後半になると、ほぼアジャスタブルサドル仕様になります。
1960年代後半
※1960年代後半仕様を基に作られたJ-45 1960’LTD
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー (ナット幅39mm)
- アジャスタブルサドル仕様
1960年代後半のJ-45は「ダブルサウンドホーリング」「アジャスタブルサドル」「ナローネック」の3点が特徴。
ダブルサウンドホーリングはサウンドホールの装飾リングが二重になっただけです。
なので、演奏に関する1960年代後半の特徴は「アジャスタブルサドル」「ナローネック」の2つです。
特にナローネック仕様は人気があり、ナット幅39mmは普通のギターと比べて大分細く感じます。
- 斉藤和義(1968年製)
- 秦基博(1966年製)
- 細野晴臣(1966年製)
1970年代
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー(ナット幅42mm)
- スクウェアショルダー
1970年代になると、ボディがいかり肩のスクウェアショルダー型に変わります。
Martin Dシリーズの人気に対抗して、発売されたスクウェアショルダー。
生音の音量を求める声も多く、1970年代にはラウンドショルダーのほとんどのギターがスクウェアショルダーに変わります。
その他にサドルがアジャスタブルではなく、通常サドルに変わり、ブリッジも上向きでなく下向きのボトムベリーブリッジになります。
1960年代のジャキっとした音質ではなくなりますが、バランスの良い音質ではあります。
ヴィンテージ市場では1970年代のJ-45は人気が低く、安く値付けされる傾向にありますね。
Gibson J-45 RoseWood
年代の話から逸れますが、サイド&バックがローズウッド仕様のGibson J-45 RoseWoodが存在します。
J-45といえば、サイド&バック:マホガニーがお決まりなのですが例外的な存在です。
マホガニーと比べると音のレスポンスは下がるものの、高音の伸びが良く単音弾きも使える万能なギターです。
プロアーティストではmiwaさんがGibson J-45 RoseWoodを愛用しています。
Gibson(ギブソン) J-45の相場価格
参考ではありますが、Gibson J-45の年代別の販売価格は下記の通り。
J-45の年代別 ザックリな金額間
- 1940年代前半 J-45…100万円以上
- 1940年代後半 J-45…100万円以上
- 1950年代前半 J-45…50~100万円
- 1950年代後半 J-45…60~100万円
- 1960年代前半 J-45…40~60万円台
- 1960年代後半 J-45…40~50万円台
- 1970年代 J-45…30万円台
- 新品のJ-45…30万円前後
1950年代以前になると跳ね上がります。
年代ものなので個体差も激しいため、金額の幅もかなり大きいです。
プロアーティストでも、実用性を踏まえて1960年代のものを使っている方が多い印象ですね。
逆に新品のJ-45は実売価格で29万円程度が多いです。
高級ギターという印象が強いものの、実際は上位モデルではなく中間モデルなんですよね。
Gibson J-45 買取 相場価格
J-45 Standardの参考価格
- 良品(ちょい傷程度)…10万円程度
- 並品(汚れ・傷あり)…8万円程度
Gibson J-45はアコギでは最も人気があるギターなので、同価格帯と比べてやや高めの値付けですね(といっても数千円差ですが…)。
そして、割と頻繁に買取強化品に指定されて買取価格が上がります。
さらに楽器買い取り業者の方にも、価格交渉しやすいギターではあります。
不要になった時や他のギターへの買い替え時に売りやすいギターであることは嬉しいポイントですね。
最短30分で現金化
出張・宅配・店頭を選択可能
Gibson J-45 使用のプロアーティスト
- 大橋卓弥(スキマスイッチ)
- 奥田民生
- 北川悠仁(ゆず)
- 小渕健太郎(コブクロ)
- 斉藤和義
- 桜井和寿(Mr.Children)
- 清水依与吏(back number)
- 野田洋次郎(RAD WIMPS)
- 秦基博
- 藤巻亮太(レミオロメン)
- 藤原 基央(BUMP OF CHICKEN)
- 堀込高樹(KIRINJI)
- Nakajin(SEKAI NO OWARI)
- 福山雅治
- 星野源
- 宮田和弥
- miwa
- 山崎まさよし
- 吉田拓郎
ほんとにたくさんの方が使用されていますね。
人それぞれにJ-45といえば…この人!ってアーティストがいそうですよね。
僕的には秦基博さんが好きなので、J-45というと秦さんが思い出されますねぇ。
デビュー前に買った1966年製のJ-45。40万円ちょっとしたそうです。
色が落ちたチェリーサンバースト、ナット・フレット・ペグは交換されているものの風貌は正に1960年代後半のJ-45です。
アジャスタブルサドルはシャリシャリした音質が合わなかったそうで、通常のスロット・サドルに換装されています。
音も良いし、ルックスも良いので惹かれますねぇ。
1960s仕様のチェリーサンバースト
J-45 Standard 2019
Gibson(ギブソン)J-45の解説をして
ぎたすけ
たけしゃん
Gibson J-45の解説でした!
憧れのJ-45…といっても、実は色んな種類があるんですよねぇ。
しかも、金額も差が激しいです。
個体差もありますが、あらためて参考の相場感を書くと…。
J-45の年代別 ザックリな金額間
- 1940年代前半 J-45…100万円以上
- 1940年代後半 J-45…100万円以上
- 1950年代前半 J-45…50~100万円
- 1950年代後半 J-45…60~100万円
- 1960年代前半 J-45…40~60万円台
- 1960年代後半 J-45…40~50万円台
- 1970年代 J-45…30万円台
- 新品のJ-45…30万円前後
古いギターほど数も少なく、プレミアになっている感はあります。
アマチュアには憧れのギターでもあるJ-45。
歴史や年代ごとの違いを勉強すると、更に面白く愛着がわきます。
ぜひ、色んなJ-45を触ってみましょう!
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