audio technica ATH-R50xをレビュー。オーディオ制作に適したプロ用途の開放型モニターヘッドホン

audio technica ATH-R50xを右斜めから撮った画像

ぎたすけ

定番のモニターヘッドホンでATH-M50xってあったよね

たけしゃん

ATH-M50xは密閉型で、ATH-R50xは開放型のモニターヘッドホンだね
補足

レビューのためにデモ機をお借りしました。

ATH-R50xの評価
音質
 (4.5)
付け心地
 (5)
コスパ(27,830円程度)
 (4)
総合評価
 (4.5)
メリット
デメリット
  • 各帯域のバランスが良い
  • 定位がリアルで聴き取りやすい
  • 軽くて付け心地がとても良い
  • 音場の広さは標準的
  • 遮音性は低い
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

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たけしゃん

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プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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audio technica ATH-R50x

audio technica ATH-R50xを右側面から撮った画像
型式オープンバックダイナミック型
ドライバーφ45mm
出力音圧レベル93.3dB/mW
再生周波数帯域5~40,000Hz
最大入力1,600mW
インピーダンス50Ω
質量(コード除く)約207g
入力端子φ3.5mmステレオミニジャック

2025年に新しく発売された、オーディオテクニカの開放型モニターヘッドホン ATH-R50x

フラッグシップモデルのATH-R70xaの音の意匠を継いだ、プロユースのヘッドホンです。

オーディオテクニカは、2025年にATH-Rシリーズを新たに3製品発売しています。

製品audio tehcnica ATH-R30xの左斜めから撮った写真
ATH-R30x
audio technica ATH-R50xを右斜めから撮った画像
ATH-R50x
audio technica ATH-R70xaの側面
ATH-R70xa
型式開放型開放型開放型
ドライバーφ40mmφ45mmφ45mm
出力音圧レベル92dB/mW93.3dB/mW97dB/mW
再生周波数帯域15~25,000Hz5~40,000Hz5~40,000Hz
ケーブル両出し片出し両出し
ケーブル着脱不可
質量約210g約207g約199g
実売価格約18,150円約27,830円 約54,450円

ATH-R50xは、その中で中堅モデルに該当します。

価格帯やスペック的にも使いやすいため、プロ・アマ問わず人気が出そうなヘッドホンです。

まずは、製品仕様から解説します。

使用を飛ばしてレビューを見たい方は<ATH-R50xをレビュー>を参照ください。

開放型ヘッドホン

audio technica ATH-R50xのハウジング

ATH-R50xは、ハウジングが開放されている開放型のモニターヘッドホンです。

補足

公式の表記だとオープンバックヘッドホン

逆に、ハウジングが閉じているヘッドホンを密閉型と呼びます。

それぞれの特長は、下図の通りです。

ヘッドホンの密閉型と開放型の特徴をまとめた図解

密閉型は、ハウジングが閉じており、ハウジングの共振を利用して低音域を増強します。

開放型は、ハウジングの共振がなく、ドライバーの再生音が直接耳に届く点が特長です。

ATH-R50xは、音場はそれなりの広さですが、定位が正確かつリアルで開放型の良さが出ています。

audio technica ATH-R50xを正面から撮った画像

一方、開放型なので遮音性は低いです。

レコーディングなどに使いたい方は、音漏れしない密閉型のATH-M50xなどを検討しましょう。

高磁力マグネットを採用したφ45mm大口径ドライバーを搭載

audio technica ATH-R50xを左下からアップで撮った画像

ATH-R50xは、開放型専用に設計されたφ45mm大口径ドライバーを搭載しています。

これは、ATH-R70x を継承したドライバーが採用されています。

低音域まで高音域まで、過不足なくバランスの良いサウンドですね。

クリアで音場も広いため、正確に音が聴き取りやすく、モニターヘッドホンとしてはとても使い勝手が良いです。

ケーブルは片出しで着脱可能

audio technica ATH-R50xとノートPCをアップ

ATH-R50xは、片出しケーブルで着脱可能な仕様となっています。

なお、下位モデルのATH-R30xは両出しで着脱不可、上位モデルのATH-R70xaは両出しで着脱可能です。

ヘッドホンの両出しと片出しの違いを説明した図解

ATH-Rシリーズだと、片出しはATH-R50xだけです。

そして、ATH-R50xには3mと1.2mのストレートケーブルが付属しています。

audio technica ATH-R50x付属のケーブル2本

自宅環境では、3mだと長すぎることも多いので臨機応変に変えられるのは嬉しいですね。

付属品

audio technica ATH-R50x付属のポーチ
audio technica ATH-R50x付属のケーブル2本

ATH-R50xの付属品は、以下の4点です。

  1. ポーチ
  2. 3.0mストレートケーブル
  3. 1.2mストレートケーブル
  4. φ6.3mmステレオ変換プラグアダプター

必要なものは一通り揃っています。

φ6.3mmステレオ変換プラグアダプターも入っているので、接続環境にあわせてプラグを変換可能です。

audio technica ATH-R50xをレビュー

audio technica ATH-R50xとノートPC
ATH-R50xの評価
音質
 (4.5)
付け心地
 (5)
コスパ(27,830円程度)
 (4)
総合評価
 (4.5)

それでは、ATH-R50xをレビューしていきます。

箇条書きでメリット・デメリットを簡単にまとめると、以下の通りです。

メリット
デメリット
  • 各帯域のバランスが良い
  • 定位がリアルで聴き取りやすい
  • 軽くて付け心地がとても良い
  • 音場の広さは標準的
  • 遮音性は低い

音質も付け心地も非常に良いですね。

価格は3万円近くしますが、それ以上の満足感があります。

レビューでは、筆者が普段使っているゼンハイザーのHD 400 PROとの比較も解説します。

定位が正確で各帯域バランスの取れたサウンド

audio technica ATH-R50xを左下から撮った画像

ATH-R50xで色んなサウンドを聴いてみると、各帯域のバランスの良さを感じます。

高音域は抜けが良く、中音域はパワーがあり、低域は迫力がありますが、どの帯域も目立ちすぎずに各帯域で聴き取りやすいバランスになっています。

また、定位が正確かつリアルなので、ライブ音源ではリアルな空気感を感じられます。

筆者は弾き語りのリファレンス音源として、John Mayerのwhere the light isを聴くのですが、アコースティックの息遣いまで感じる臨場感でした。

最高の名盤です…

アコースティックギターの粒立ち感もリアルに再現されていて、とても良いですね。

ATH-R50xは、音の距離は比較的近く感じるので、アコースティックサウンドと相性が良いように思いました。

プロユースの開放型ではインピーダンスは低め

audio technica ATH-R50xとノートPCを引きで撮った

ATH-R50xのインピーダンスは50Ωと、プロユースの開放型にしては低いインピーダンスになっています。

補足

上位モデルのATH-M70xaは470Ωとハイインピーダンス仕様

ハイインピーダンスのヘッドホンだと、スマホなどに直接接続すると音量が不足しがちですが、ATH-R50xなら十分な音量が得られます。

この価格帯のモニターヘッドホンを買う人は、機材も良いものを持っている人が多いとは思いますが、スマホに直接接続して使いたい場合に便利ですね。

iPhone 13

また、ゲーム配信用の安価なオーディオインターフェイスだと、ハイインピーダンスのヘッドホンはしっかり鳴らせないことも多いです。

ATH-R50xであれば、その心配はないので汎用性の高いモニターヘッドホンと言えます。

軽くて付け心地はとても良い

audio technica ATH-R50xを右から撮った画像

ATH-R50xは、本体重量が約207gと非常に軽量です。

ヘッドホンを付けていても、重さを感じにくい設計になっています。

側圧もほどほどで、サイズ感にも余裕があります。

筆者は頭が大きい方ですが、調整部分は半分程度でちょうどいいくらいです。

audio technica ATH-R50xのサイズ調整部分
これは一番小さくした状態

また、頂点部分にヘッドパッドがついており、長時間つけていても頭頂部が痛くならないようになっています。

audio technica ATH-R50xのヘッドバンド

ATH-R50xは、ヘッドホンをつけている感覚がほとんどなく、付け心地は素晴らしいです。

開放型ヘッドホンは、長時間作業用に買う人が多いかと思いますが、ATH-R50xは長時間つけていても楽なのが良いですね。

ゼンハイザー HD 400 PROとの比較

SENNHEISER HD 400 PRO

最後は、筆者が普段から使っているゼンハイザーHD 400 PROとの比較です。

まず、両製品のスペック表はこちら。

製品audio technica ATH-R50xを右斜めから撮った画像
ATH-R50x
SENNHEISER HD 400 PRO
HD 400 PRO
型式開放型開放型
ドライバーφ45mm不明
インピーダンス50 Ω120 Ω
再生周波数帯域5~40,000Hz6 – 38,000 Hz
ケーブル片出し片出し
ケーブル着脱不可
質量約207g約240g
実売価格約27,830円 約30,000円

次に、筆者が聴き比べた印象では、以下の通りでした。

  • どちらもフラットで原音に忠実なサウンド
  • 音場はHD 400 PROのほうが広く、スピーカーに近い鳴り方
  • 付け心地はATH-R50xが上。軽量でヘッドホンを付けてる感覚がない

まず、どちらのヘッドホンもフラットでバランスの取れた、とても聴きやすいサウンドになっています。

その上で比べてみると、HD 400 PROのほうが音場は広いですね。

HD 400 PROはスピーカーで聴いているような感覚になれるのが気に入って買ったのですが、正面・左右だけでなく斜め後ろからも鳴ってる感じがします。

SENNHEISER HD 400 PRO

ATH-R50xは、HD 400 PROに比べると近めで鳴っている印象を受けました。

このへんは好みの問題ですが、FPSなどに使うならサラウンドっぽく聴こえるHD 400 PROがいいかなと感じました。

逆に、筆者がアコースティックサウンドを聴き比べた際は、ATH-R50xのほうが好みでした。

続いて、装着時の付け心地ですが、こちらに関してはATH-R50xのほうが楽に感じました。

重量は、33gほどATH-R50xのほうが軽いのですが、意外と差がある感じします。

audio technica ATH-R50xを上から撮った画像

HD 400 PROは、そこそこ側圧もあるので耳に載ってる感覚があるのですが、ATH-R50xはヘッドホンを付けてる感覚があまりありません。

HD 400 PROも付け心地良いので、あまり不満に感じたことはないのですが、比べると断然ATH-R50xのほうが良いですね。衝撃…。

audio technica ATH-R50xとノートPCとAT-UMX3

改めてまとめると、以下の通りです。

  • どちらもフラットで原音に忠実なサウンド
  • 音場はHD 400 PROのほうが広く、スピーカーに近い鳴り方
  • 付け心地はATH-R50xが上。軽量でヘッドホンを付けてる感覚がない

どっちも良いので、甲乙つけがたいです。

音場の広さや臨場感を重視する人はHD 400 PRO。長時間作業が多い方はATH-R50xという感じでしょうか。

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SENNHEISER HD 400 PROSENNHEISER HD 400 PROをレビュー。スピーカー環境に近い開放型モニターヘッドホン

audio technica ATH-R50x まとめ

audio technica ATH-R50xを左から引きで撮った画像

ぎたすけ

ヘッドホンの重量って思ったより大事なんだな。あまり気にしたことなかったよ

たけしゃん

ヘッドホンだと数十グラム違うだけで大分変わるんだなと思ったよ。ATH-R50xはすごく楽でいいね

audio technica ATH-R50xのレビューでした。

サウンドも素晴らしいですが、付け心地がほんとによかったです。

編集など、長時間作業用のヘッドホンを探している方にはおすすめです。

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