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Gibson(ギブソン)J-50
J-45から3年あとの1945年に発売されたのが Gibson J-50。
J-45と基本的な仕様は全く一緒で、異なるのはトップがナチュラルフィニッシュという点のみ。
つまりはJ-45のバリエーションモデルです。
ただ、ナチュラルカラーが好きな人も多く、プロアーティストにも人気なギターなのです。
また、ネームバリューのせいかヴィンテージ市場では値段がJ-45よりワンランク落ちることが多いギターです。
といっても仕様は同じなので、音の鳴りはもちろん負けておらず、狙い目なギターでもあります。
J-50は現在、レギュラーラインナップからは外れており、製造されていません。
よって、限定生産されたモデルか中古市場(ヴィンテージ含む)で探すしかないギターです。
仕様については2017年に限定販売された、1966年製の復刻版モデルを基に見ていきましょう。
Gibson(ギブソン)J-50 ボディの形状
- 全長 40.5インチ
- スケール長 24.75インチ
- ボディ幅 16インチ
- ボディ長 20.25インチ
- ナット幅 40mm
(参考)ギターの寸法用語
J-45と同じく、Gibson伝統のラウンドショルダー型を採用しています。
Gibson hummingbird(ハミングバード)を代表するスクウェアショルダー型とはボディ上部(肩)の形状が異なります。
ラウンドショルダー型はなで肩、スクウェアショルダー型はいかり肩となっています。
Martinで有名なドレッドノート型とほぼ同じ形状ですが、ラウンドショルダー型のほうがスケールはやや短く、ギター全長やボディ幅は若干大きいです。
といっても、どちらも音の傾向は同じでジャンル問わない万能なギターボディです。
ストロークでかき鳴らすと、良い感じに箱鳴りして音量も大きいです。
アルペジオで弾いてもレスポンスも上々でギター弾き語りやバンドのボーカルギターに最適なギターサイズです。
なお、ナット幅が40mmとナローネック仕様になっています。
これは1965~1969年あたりまでのGibson(ギブソン)ギターの仕様となっています。
他の年代におけるJ-50の通常のナット幅(ネックの太さ)は43.8mmです。
Gibson(ギブソン)J-50 木材
- トップ材:シトカスプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー
- フィンガーボード:ローズウッド
木材の組み合わせもJ-45と同じです。
Gibsonギター王道のトップ:スプルース、サイド&バック:マホガニーという組み合わせ。
音のレスポンスが良く、ジャラーンと鳴らすと良い感じに箱鳴りします。
高音(サスティーン)の伸びはローズウッドには敵いませんが、ジャキっとしたバランス良いサウンドは歌モノと相性がよいです。
【参考記事】ギターは木材で音が変わるのか?ギターに使われる木材の特徴と木材別の代表機種を演奏動画付きで解説
ピックアップ
ピックアップは搭載されていません。
エレアコ仕様にしたい場合は別途、ピックアップを取付けましょう。
ただし、1966年製の復刻版はアジャスタブルサドル仕様になっています。
【参考記事】ギブソン(Gibson)のアコギにあるアジャスタブルサドルとは何かを解説
アジャスタブルサドルはサドルの形状が特殊でサドル下に取付けするインブリッジピエゾタイプのピックアップは取付けできません。
違うタイプのピックアップをつけるか、サドルを通常の固定式に換装しましょう。
【参考記事】GibsonヴィンテージギターはピエゾPU装着不可。最適な選択肢は何か?
Gibson(ギブソン) J-50 年代別の変化
たけしゃん
それでは、1945年に発売されたJ-50の仕様を年代別でみていきましょう。
年代別の仕様変化についても、J-45と全く一緒です。
ただ、J-45よりも復刻版の販売数が少ないので昔の仕様を求めるならヴィンテージギターを探すことになります。
どの年代がどういった特色になっているのか?を知っておくとギターを探す楽しみが増えるというものです。
1940年代
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:色々
- ネック:マホガニー(ナット幅45mm)
- 様々な仕様のギターが存在する
J-50は1945年から発売されているので、1940年代後半から登場します。
その、1940年代後半は戦争の混乱で木材の供給が安定していない時期でした。
木材の供給が足りずにサイド&バックがマホガニー、メイプル、ウォルナットと多種類になっています。
また、複数の木を組み合わせる3ピース、5ピースといったギターも存在します。
J-50の1940年代ものは市場で見ることも珍しく、なかなかお目にかかることがないギターです。
1947年製の復刻モデルをGibsonカスタムショップが製造しており、数は少ないですが市場に出ています。
1950年代前半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー(ナット幅43mm)
1950年代に入ると木材の供給も安定し、ギターの仕様も安定してきます。
古風なJシリーズのルックスも、この時代に出来上がります。
1950年代前半の特徴的なルックス
- 3層のサウンドホールリング
- べっ甲柄のティアドロップ・ピックガード
- アッパーベリーブリッジ
- ロング・スロッテッドサドル
※画像はJ-45
音質も古風な感じで1960年代と比べるとジャキジャキ感は薄くマイルドな音質です。
1950年代前半のJ-50はヴィンテージ市場でも、たまに見かけるものの数はやはり多くないですね。
1950年代後半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー(ナット幅43mm)
- ノンスキャロップド・ブレーシング仕様となる
1950年代後半に入ると、ルックスやボディ内部の仕様変更が入ります。
1950年代後半の仕様変更
- 1954年…ショートスロットブリッジになる
- 1955年…ブレイシングがノンスキャロップドに変わる
- 1955年…ピックガードがラージ・ポインテッド型になる
- 1956年…オプションでアジャスタブルサドルが選択できるようになる
1955年からブレーシングがスキャロップドからノンスキャロップドに変わります。
よく言われるのはスキャロップドは最初から鳴りがよく、ノンスキャロップドは弾き込むうちに鳴りが良く鳴る…という説。
ヴィンテージギターだと、どちらでも弾いていて差は感じないですね。
1956年には1960年代のGibson(ギブソン)を象徴するアジャスタブルサドルが登場します。
ただし、1950年代後半の段階ではオプション扱いで基本仕様は通常の固定サドルとなっています。
【参考記事】ギブソン(Gibson)のアコギにあるアジャスタブルサドルとは何かを解説
1950年代後半のギターも市場ではそう多く出回ってはいません。
ただ、1959年製の復刻モデルが販売されているため、1950年代後半と同じ仕様のギターは入手しやすいです。
1960年代前半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー (ナット幅43mm)
- アジャスタブルサドル仕様
ヴィンテージ市場でも人気のある1960年代前半です。
1950年代後半ではオプション扱いだったアジャスタブルサドルが標準仕様になります。
※ネジ付きの太いサドルがアジャスタブルサドル
経年で色落ちしたチェリーサンバーストのJ-45と経年で色落ちしたナチュラルのJ-50は見分けがつきませんね…。
アジャスタブルサドルは高さが調節できるサドルですが、どちらかというと調節機能よりジャキっとした音質が重宝されています。
1960年代のGibsonといえば、アジャスタブルサドルによるジャキジャキした音質の印象が強いです。
ネックは1965年途中までは通常のナット幅:43mm程度のものが標準仕様となっています。
1960年代後半
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー (ナット幅39~40mm)
- アジャスタブルサドル仕様
1960年代後半に入ると、2つの仕様変更が入ります。
1960年代後半の仕様変更
- ナット幅:39~40mmのナローネック仕様に変更
- サウンドホール装飾がダブルサウンドホーリングに変更
ナローネック仕様が特徴的な1960年代後半。
39~40mmのネックは握ってみると想像以上に細く感じます。
なお、1969年だけブリッジの向きが上向きから下向きのダウンベリーブリッジに変わります。
※1969年製 J-50 下向きのダウンベリーブリッジになっている
ブリッジの向きが変わっただけで、アジャスタブルサドルやナローネックといった仕様は変わりません。
1960年代後半のJ-50は比較的、ヴィンテージ市場でも品揃えが豊富です。
また、安いものは30万円台で売っているので同年代のJ-45よりワンランク価格が下がりますが、鳴りは良いのでお買い得なものが多いです。
そして、1966年製の復刻版も出ているので選択肢が豊富な年代です。
1970年代
- トップ材:スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー(ナット幅42~43mm)
- スクウェアショルダー
1970年代に入ると別のギターと言えるくらいに仕様が変わります。
1960年代後半の仕様変更
- ボディ形状がスクウェアショルダーに変更
- サドルが通常の固定式に変更
- ネック幅が通常の43mmに変更
- ブリッジが下向きのダウンベリーブリッジに変更
特に大きな変更はボディ形状がラウンドショルダーからスクウェアショルダーに変わったことです。
Martin Dシリーズの人気に対抗して、発売されたスクウェアショルダー。
生音の音量を求める声も多く、1970年代にはラウンドショルダーのほとんどのギターがスクウェアショルダーに変わります。
その他にもサドル、ネック幅が通常仕様に戻るため1960年代とはキャラクターが異なるギターとなっています。
ヴィンテージ市場でも1970年代の価値は低く、1970年代のJ-50は20万円台で売っているものすらあります。
ただ、音質が悪いのか?というとそんなこともないので弾いて見て、ピンとくるならお得に買える年代とも言えます。
Gibson(ギブソン)J-50 相場価格
J-50の年代別 ザックリな金額間
- 1940年代後半 J-50…50~70万円
- 1950年代前半 J-50…50~70万円
- 1950年代後半 J-50…40~60万円
- 1960年代前半 J-50…30~50万円
- 1960年代後半 J-50…30~50万円
- 1970年代 J-50…20~30万円
- 新品のJ-50…30万円前後
こんな感じですね。
ヴィンテージものがJ-45よりワンランク安いのがポイント。
参考までにJ-45も書くと…。
J-45の年代別 ザックリな金額間
- 1940年代前半 J-45…100万円以上
- 1940年代後半 J-45…100万円以上
- 1950年代前半 J-45…50~100万円
- 1950年代後半 J-45…60~100万円
- 1960年代前半 J-45…40~60万円台
- 1960年代後半 J-45…40~50万円台
- 1970年代 J-45…20~30万円台
- 新品のJ-45…30万円前後
特にポイントとなるのが1950年代ものですね。
1960年代のジャキジャキした音が苦手な人も結構いるので、激鳴りする1950年代に手を出したくなるんですよね。
ただ、J-45の1950年代は100万円近いものが多いんですよね。
その点、J-50なら40万円台や50万円台も結構あるので頑張れなくもないんですよね。
Gibson J-50 買取 相場価格
- 良品(ちょい傷程度)…11万円程度
- 並品(汚れ・傷あり)…9万円程度
J-50は販売価格から考えると、買取相場価格はかなり高めに設定されています。
J-45より1万円近く高いです(笑)。
J-50は販売本数自体もJ-45よりは遥かに少ないので、中古市場では需要の割に本数が少なくて価値があるのでしょう。
そんなわけで、J-50は中古市場での掘り出し物も多いし、高めに売ることができる凄いアコギなんですよね。
最短30分で現金化
出張・宅配・店頭を選択可能
Gibson(ギブソン)J-50 使用アーティスト
- 大橋卓弥(スキマスイッチ)
- 大橋トリオ
- 佐橋佳幸
- 斉藤和義
- 秦基博
- ボブ・ディラン
- 細野晴臣
- 福山雅治
- 星野源
- 吉川忠英
J-50というとボブ・ディランというイメージですね。
ボブ・ディランはデビュー初期からJ-50を使用していました。
最近では、男性シンガーソングライターで人気の星野源さん(年代不明)、秦基博さん(1968年製)の両人が使用されているのも興味深いです。
お2人ともライブのサブギターとして活用されています。
知名度ではJ-45に負けますが、音質や演奏性では引けを取らない名ギターですね。
Gibson(ギブソン)J-50の解説をして
ぎたすけ
たけしゃん
Gibson J-50の解説でした!
あらためて、年代別でザックリとした価格間を書くと…。
J-50の年代別 ザックリな金額間
- 1940年代後半 J-50…50~70万円
- 1950年代前半 J-50…50~70万円
- 1950年代後半 J-50…40~60万円
- 1960年代前半 J-50…30~50万円
- 1960年代後半 J-50…30~50万円
- 1970年代 J-50…20~30万円
- 新品のJ-50…20~30万円
やっぱり、J-50のほうがヴィンテーものは値段は下がりますね。
とくにジャキジャキ感が強い1960年代のGibsonギターが嫌な人は1950年代のJ-50はかなり良い選択肢になります。
J-45だと1950年代は高すぎますからねぇ…。
自身で色んなギターに触ってみて、気に入ったギターが高いか安いか?が重要ですからね。
J-50は知名度がやや低いものの、実は中身はJ-45と一緒なので色々弾いてみましょう。
掘り出し物も多いギターですよ!
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