アコギ用コーティング弦を比較・解説。定番弦をサンプル音源付きで紹介

普通のアコギ弦とコーティング弦の違いを説明した図

ぎたすけ

コーティング弦って長持ちで便利だけど、音が悪いってよく聞くよな

たけしゃん

最近のコーティング弦は音も大分いいよ。サンプル音も用意したから聴き比べてみてよ
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
プロフィール詳細お問い合わせ

アコギのコーティング弦

ELIXIR NANOWEB Phosphor Bronze

コーティング弦とは名前の通り、ギター弦に特殊なコーティングを施した弦のことです。

サビにくい加工がされており、通常の弦と比べて寿命が大分長いです。

普通のアコギ弦とコーティング弦の違いを説明した図

価格も通常の弦の2倍程度しますが、3倍くらい持つためコスパは良いです。

代わりにコーティングすることで音や演奏性に影響が出ます。

音は抜けが若干悪くなり、ギラっとした音質のものが多いです。

AKG P220で録っているところ

また、弦の滑りがよく、フィンガーノイズはあまり鳴りません。

滑りが良すぎて弾き辛く感じる人も結構いますね。

ただ、昔と比べるとコーティング弦もかなり改良されており、大分良くなっています。

最近はプロアーティストでコーティング弦を使用する方も大分増えましたね。

下表は雑誌などの情報を基に集計したプロ95名のコーティング弦使用率です。

コーティング弦使用比率(プロ)
コーティング弦
29名(31%)
通常弦
66名(69%)

約3割の方がコーティング弦を使用されています。

また、Twitterで独自にアンケート調査した結果がこちら。

コーティング弦使用比率(Twitter)
コーティング弦
32名(56%)
通常弦
25名(44%)

半数以上の方がコーティング弦を使用されています。

調査結果からもコーティング弦が大分浸透していることがわかりますね。

ここからはサンプル音を交えながら、コーティング弦をもう少し掘り下げて解説していきます。

また、<後半の章>では主だったコーティング弦を比較していきます。

通常弦との音の違い

アコギのエリクサー弦 3種類

まずは気になる方も多いであろう、通常弦との音の違いです。

サンプル音を用意したので、聴き比べてみてください。

通常弦

Martin MA540

コーティング弦

ELIXIR NANOWEB Phosphor Bronze

いかがでしょうか。

コーティング弦はやや音の抜けが悪く、高音部分がギラっとした感じですね。

ただ、最近は通常弦に近い音のコーティング弦も増えてきています。

例えば、D’ADDARIO XTAPBはコーティング弦ですが、大分通常弦に近い音です。

アコギ弦 Daddario XTAPB

一方でD’ADDARIO XTAPBはELIXIRと比べると、寿命は短いです。

通常弦とコーティング弦の中間的な弦ですね。

以前と比べると、コーティング弦も大分バリエーションが増えています。

<後半の章>では色んなコーティング弦を比較するので、そちらも参考にしてみてください。

コーティング弦の寿命

普通のアコギ弦とコーティング弦の違いを説明した図

続いては、コーティング弦の強みである持ちの良さです。

コーティング弦の寿命も製品によって大分差があります。

僕が色々使ってみた所感ではELIXIRがダントツで持ちが良いです。

アコギのエリクサー弦 3種類

ELIXIRは半年付けっ放しでも、弦が変色する程度でサビません。

Elixirのアコギ弦を貼って6か月経過後
ELIXIRを張ってから6か月経過後の写真

音も張りたてと比べて煌びやかさはなくなりますが、普通に問題ないレベルです。

張り替えてすぐの音

張り替えて6か月経過の音

ただ、半年も張っていると、弦が伸びてチューニングは大分狂いやすくなります。

そのため、2~3か月程度で交換が望ましいですが、家で弾いてる分には半年以上張りっぱなしでも、さほど問題はありません。

一方で他のコーティング弦はそこまで長持ちしません。

どれも1~2か月ほどでサビてくるので、3か月張りっぱなしは厳しいです。

アコギの弦

ちなみに通常の弦は3週間程度でサビてきます。

なので、コーティング弦は通常弦の2~3倍程度は持ち、その中でもELIXIRはもっと長持ちするという感じですね。

弦アースを取っている場合は注意

Anthem

弦アースとはピックアップのノイズ対策で、弦からアースを取るものです。

アース

電気配線を地面などに繋げて、電流の逃げ先を作ること。弦アースは弦を通じて人体に電気を逃がす

多くのエレキギターは標準で弦アースを取られていますが、エレアコでもノイズが気になる方は弦アースを取っています。

ただ、コーティング弦だと電流の流れを阻害してしまい、弦アースの効果が得られなくなる場合があります。

エレアコで演奏している人

そのため、コーティング弦ではピックアップからノイズが出るようなら通常の弦を使いましょう。

たけしゃん

ちなみに僕のエレアコは弦アースを取ってますが、ELIXIRで問題なくアース取れてます

audio technica AT-UMX3のバナー(PC)PR

定番のアコギ用コーティング弦を比較

コンパウンド弦のMartin MA130Sは弦が白い

ここからは定番のコーティング弦をサンプル音付きで比較していきます。

まず、僕の結論を言うとELIXIRが一番良いです。

ELIXIR NANOWEB Phosphor Bronzeと80/20

コーティング弦の中でも、持ちの良さがダントツです。

音はいかにもコーティング弦という感じではありますが、全然問題ないレベルです。

逆に持ちはそこそこで良いから、通常弦に近い音色が良い人はD’ADDARIO XTAPBをおすすめします。

製品ELIXIR NANOWEB Phosphor Bronze
Elixir Nanoweb
アコギ弦 Daddario XTAPB
XTAPB
ERINE BALL EVERLAST COATED
EVERLAST
Martin MA540T
MA540T
材質フォスファー
ブロンズ
フォスファー
ブロンズ
フォスファー
ブロンズ
フォスファー
ブロンズ
音質
総合評価
コメントプロアマ問わず人気
寿命がとにかく長い
自然な鳴りの
コーティング弦
煌びやかなサウンド
持ちはあまり良くない
Martinのコーティング弦
音質はいまいち
実売価格1,900円約2,000円約1,500円約2,000円
ECサイトAmazon
楽天市場
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
サウンドハウス

Elixir Nanoweb

ELIXIR NANOWEB Phosphor Bronze
音色
自然
煌びやか
滑り
滑らない
ツルツル
寿命
短い
長い

コーティング弦の代表的な存在、ELIXIRです。

ELIXIRの強みはとにかく持ちが良いことですね。

長く張りっぱなしでも変色する程度でサビないので、音が良い状態をキープできます。

Elixirのアコギ弦を貼って6か月経過後
張ってから6か月経過後の写真

音はコーティング弦らしい、煌びやかでギラっとサウンドです。

これはこれで良い音だなと僕は感じています。

また、コーティングのせいか弦の滑りが非常に良いです。

音質や滑りの良さで好き嫌いがわかれる弦ですが、僕は好きなので愛用しています。

D’ADDARIO XTAPB

アコギ弦 Daddario XTAPB
音色
自然
煌びやか
滑り
滑らない
ツルツル
寿命
短い
長い

2019年に発売された、比較的新しめなコーティング弦 D’ADDARIO XTAPBです。

昔から販売されていたD’ADDARIO EXPシリーズと比べて、通常弦に近いサウンドになっています。

筆者が色んな弦を使い比べてみた所感では、コーティング弦の中で最も通常弦に近い音です。

一方でELIXIRよりは持ちは悪いです。1か月半程度でサビてきます。

白い部屋にアコギが置いてある写真

なので、通常弦とELIXIRの中間的なポジションの弦ですね。

1~2か月程度で弦交換する人にはおすすめのコーティング弦です。

ERNIE BALL EVERLAST COATED

ERINE BALL EVERLAST COATED
音色
自然
煌びやか
滑り
滑らない
ツルツル
寿命
短い
長い

エレキギターやベース弦で定番のアーニーボールのコーティング弦です。

音が煌びやかで滑りもよく、いかにもコーティング弦という感じですね。

煌びやかな音ですが、ELIXIRよりはおとなしめです。

また、ELIXIRよりは持ちが悪いです。1~2か月くらいでサビてきます。

なので、コスパは良くないですが、音質が気に入った方には良い弦だと思います。

Martin MA540T

Martin MA540T
音色
自然
煌びやか
滑り
滑らない
ツルツル
寿命
短い
長い

アコギ弦で定番のMartinが作るコーティング弦 MA540Tです。

ノンコーティング弦のトーンをそのままに長寿命となっていますが、聞いてみるとコーティング弦の音ですね…(苦笑)。

1か月程度でサビてくるので、寿命もELIXIRに比べると短いです。

悪くない弦ですが、これならELIXIRかXTAPBで良いかなと僕は感じました。

アコギ用コーティング弦 まとめ

製品ELIXIR NANOWEB Phosphor Bronze
Elixir Nanoweb
アコギ弦 Daddario XTAPB
XTAPB
ERINE BALL EVERLAST COATED
EVERLAST
Martin MA540T
MA540T
材質フォスファー
ブロンズ
フォスファー
ブロンズ
フォスファー
ブロンズ
フォスファー
ブロンズ
音質
総合評価
コメントプロアマ問わず人気
寿命がとにかく長い
自然な鳴りの
コーティング弦
煌びやかなサウンド
持ちはあまり良くない
Martinのコーティング弦
音質はいまいち
実売価格1,900円約2,000円約1,500円約2,000円
ECサイトAmazon
楽天市場
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
サウンドハウス
  • コーティング弦は通常弦と比べて、寿命は2~3倍持つ
  • 音は煌びやかで若干抜けが悪くなる
  • コーティング弦の中でもELIXIRがダントツで長持ち

ぎたすけ

やっぱり有名なだけあって、ELIXIRが一番長持ちなんだな

たけしゃん

ELIXIRはほんとに長持ちですごいよ。昔に比べて音も自然な感じになってきたのも良いね

アコギ用のコーティング弦についての解説でした。

やはり、ELIXIRが長持ちでおすすめですね。

煌びやかでギラっとサウンドですが、マイク録りしたり、アンプから出してみるとなかなか良い感じです。

また、数か月経っても音がそこまで悪くならないのも良いですね。

関連記事

アコースティックギター用のギター弦を16種類並べた写真アコギ弦 おすすめランキングベスト10。20種類を聴き比べできるサンプル音源付き コンパウンド弦のMartin MA130Sは弦が白いアコギ弦の太さ(ゲージ)による音や演奏性の違いを解説【プロ 77名の弦の太さ別 使用率も紹介】 アコギ弦の種類を解説した図80/20ブロンズとフォスファーブロンズの違い。アコギ弦の種類と特徴を細かく解説 Fender CC-60S Concert ネック前面アコギの弦交換する頻度や時期を解説。弦の寿命を延ばす方法も紹介 John pearse 600LJOHN PEARSE(ジョンピアース)200L、600Lをレビュー。秦基博さん愛用のアコギ弦