DAWを使って音と映像を別録りしてみよう!Cubaseを使ってレコーディングする方法を細かく解説

ライブ配信の撮影風景

ぎたすけ

音と映像を別録りするメリットってなんかあるの?

たけしゃん

一番は部分的に録りなおせることかな。音のクオリティを突き詰められるから大きいよね

カバー動画制作講座の第6話は音と映像の別録りする方法です。

音と映像を別録りすることで演奏のクオリティをグッと上げることが可能なので、慣れてきたらぜひチャレンジしてほしい方法ですね。

本記事では弾き語り向けの別録り解説と歌ってみたのボーカルRECについてを解説していきます。

なお、音と映像の合成は無料ソフトである「AviUtlの使い方解説」を参照してください。

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この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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音と映像を別録りする

BlueBird SLで動画を撮っているところ
別撮りのメリット
別撮りのデメリット
  • 部分的に録りなおせる
  • マイキングが自由に組める
  • あてふりが難しい
  • 音と映像を同期させるのが面倒

演奏動画を制作するときに悩むのが音と映像を別録りにするか、同時に撮ってしまうかです。

同時撮りのほうが圧倒的に手間は省けますが、別録りで作りこんだほうがクオリティは高めやすいです。

YouTubeなどを見ていると人気の人は大半が別録りです。

特に歌ってみたにおいては歌と映像はほぼ別録りされていると言って良いレベルでしょう。

そのため、動画制作の流れや作業をある程度こなして慣れてきた人は積極的に別撮りに挑戦してほしいですね。

制作の流れとしては以下のようなフローになります。

見たい流れを選択

伴奏を撮影

伴奏の音をDAWで録りつつ、カメラで演奏風景も撮影

Baby Bottleでレコーディングしているところ
歌録り

DAWで録った伴奏に歌を入れる

AT2040と別売りのショックマウントを組み合わせた画像2
Mix作業

DAWで歌と伴奏の音量バランスやエフェクト調整を行って、音源をエクスポート

Cubaseのミキサー画面
音と映像を合成

動画編集ソフトでDAWから書き出した音源とカメラの映像を合成

Adobe Premiere Proで弾き語りカバー動画を編集している画面

ギター弾き語りのカバー動画であれば、僕は上記の進め方をおすすめしています。

最初の段階で音と映像を同時撮りしていますが、あてふりが非常に難しいので伴奏は一発録りしちゃったほうが良いですね。

ボーカル&アコギという構成だと、アコギを細かく録り直してると演奏に違和感が出るので一発である程度いけるレベルまで練習が必要ですしね。

伴奏音源の調達

伴奏音源を調達する

iPhoneで音楽を聴いている
DAWで歌録り

DAWに伴奏音源を取り込んで歌をレコーディング

AT8700JでAT4040を取り付けした様子
DAWでMix

歌と伴奏の音量やエフェクトを調整して音源をエクスポート

Cubaseのミキサー画面
映像を撮影

歌っているところなど映像を撮影。MVを利用する場合は撮影不要です。

Canonの一眼レフ
音と映像を合成

動画編集ソフトで音と映像を合成する

Adobe Premiere Proで編集している画面

今回のお題はSTEP2のレコーディング部分ですね。

次章からはDAWでの基本的なセッティングを解説していきます。

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DAWでのレコーディング

YouTubeの撮影風景

さて、ここではDAWを使ったレコーディングの基本的な部分を解説していきます。

最初は難しく感じるところが多いと思いますが、歌やアコギのレコーディングだけなら難しいところは少ないので頑張ってください。

弾き語り系の場合はアコギ録り→歌録り。

歌ってみたの場合は伴奏音源をDAWにインポートして歌録りとなります。

それぞれの項目を解説していくので、下記から必要な部分を選んで読んでください。

DAWの基本設定

CUBASE AI

まずはDAWの基本的な設定からです。

本記事ではCubase AIを基に解説していきます。

補足

他のDAWでもやることは基本的に一緒でボタン位置などが違うくらいです

Cubaseをインストールしたら、起動させて「その他」→「Empty」でプロジェクトを作成します。

Cubaseのプロジェクト立ち上げ画面

プロジェクト立ち上げ後は下記の3点を設定しましょう。

サンプリングレート

サンプリングレートとビットレートの説明
Cubase AI

サンプリングレートとは録音する音の解像度みたいなものです。

値が大きくなると情報量が多くなって、ファイルサイズも大きくなります。

選べるサンプリングレートは使用しているオーディオインターフェイスに依存しますが、無難なのは「48kHz – 24bit」ですね。

Cubaseのビットレート設定
Cubase AI

もしくはCD音源と同じ「44.1kHz – 16bit」を選択しましょう。

ハイレゾ音源を作りたい場合はもっと高レートに設定しますが、動画投稿に使うだけであればそんなに気にする必要はありません。

サンプリングレートの設定は左上の「スタジオ」→「プロジェクト設定」から行います。

Cubaseのプロジェクト設定画面

レコーディングを開始してから変更すると、音がおかしくなったりします。

必ず、レコーディング開始前に設定を終わらせましょう。

また、レコーディングが終わって音源として書き出す際にもサンプリングレートの設定欄があります。

Cubaseのファイル書き出し画面

特に意図がなければ、同じレートを選択しましょう。

なお、サンプリングレートについて詳しく知りたい方はスタジオ翁さんのサンプリングレートの記事を参照してください。

メトロノーム(クリック)

Cubaseのメトロノーム設定
Cubaseのメトロノーム設定画面

続いてメトロノーム設定です。

映像と同期するときに非常に困るので、メトロノームはちゃんと聞きながら録音しましょう。

まず、画面下部中央にあるメトロノームのBPMを録音曲のBPMに設定します。

補足

楽曲のBPMは「曲名 BPM」などで検索して調べましょう

次にメトロノーム設定は画面右下のアイコンで行います。

Cubaseのメトロノーム設定アイコン

左はメトロノームのON/OFFで右が設定です。

事前に設定しておくべき、項目は下記の3種類ですね。

Cubaseのメトロノーム設定画面
Cubaseのメトロノーム設定画面
項目内容
カウントイン
(プリカウント)
録音開始前に鳴らす数
2~3小節くらいがよい
音色 メトロノームの音色
好みの音を選択しよう
オーディオクリックレベルメトロノームの音量

他のDAWでもBPM設定はメイン画面に出ていることが多いですが、カウントインと音色はメトロノームの詳細設定内にあることが多いですね。

ちなみにメトロノームの音色は割と重要です。

リズムが取りやすい音と取りにくい音は人によってあるものです。僕は電子音よりは生っぽい音が好みです。

オーディオ録音の基本操作

Cubase AIのオーディオ録音

まずはオーディオトラックを作成しましょう。

入出力チャンネルの下あたりで右クリックして、「Audio トラックを追加」を選択します。

CubaseでAudioトラックを立ち上げる

すると、下図の画面が開くので以下のように設定します。

Cubaseのボーカルトラックを設定する
項目設定
オーディオ入力マイク(楽器)を繋いだ
入力端子を選択
構成 モノラルを選択
オーディオ出力初期設定のまま
名前任意の名前を設定
1を選択

オーディオトラックを作成したら、あとは簡単です。

録音したいトラックの「録音ボタン」と「モニター」ボタンを点灯させます。

Cubaseのモニターと録音ボタン
Vocalトラックの録音とモニターボタンを点灯させた
補足

オーディオインターフェイスのダイレクトモニタリングを使用する場合はDAWのモニターは消灯させる

そして、録音開始位置にバーを移動させます。

Cubaseのバー
縦の二重線がバー

移動させたら、画面中央下部の録音ボタンをクリックすると録音開始されます。

Cubaseの再生、録音アイコン
一番右が録音ボタン

録音ボタンを押すと、前段で設定したメトロノームのカウントイン分の音が鳴ったのちに録音開始されます。

ここでポイントは録音開始位置は少し後ろにして余裕を持たせることです。

Cubaseの録音トラックのスタート位置。少し間を空けよう
3小節分の空小節を作っている

1小節目から録音すると急に演奏が始まってしまう上に頭の音が切れてしまいがちです。

特に動画の場合は映像と合わせて演奏開始に余白を作りたいことが多いので、調節用で2小節程度は空小節を設けておきましょう。

なお、最終的に音源をエクスポートするときは開始位置を細かく調整できるので、空小節部分を心配することはありません。

また指定した部分から自動で録音開始するパンチイン、録音停止するパンチアウトを上手く使って部分的な録り直しも活用しましょう。

Cubaseのパンチイン画面

パンチインを使うには、まず開始位置で右クリックし、「左ロケーターをプロジェクトカーソル位置に設定」を選択します。

Cubase パンチインのやり方

同じように録音終了位置で右クリックし、「右ロケーターをプロジェクトカーソル位置に設定」を選択します。

そして、画面下部中央のパンチイン・アウトのON/OFFアイコンをクリックして点灯させます。

Cubaseのパンチイン・アウトアイコン

そして、再生ボタンを押すと録音ONにしたトラックはロケーター間に入ると自動で録音開始され、抜けると自動で録音終了されます。

Cubaseの再生、録音アイコン
パンチインは録音でなく、隣の再生を押す

他の楽器が鳴ってる箇所などパンチインする場所を選べば、違和感なくつなげることができます。

違和感なく繋げるコツ

パンチイン開始の少し前の位置から演奏開始することでキレイに繋げられます

一方でボーカル、アコギだけなど音数が少ない音源だと繋いだ後が目立ちやすいです。

そのため、アコースティックでやる人はバンドほどパンチインを多用するのは難しいことも覚えておきましょう。

たけしゃん

音数少ない構成ほど、誤魔化し効きづらいので大変なんですよね…

伴奏音源の取り込み

Cubaseで伴奏音源をインポート

歌ってみたの場合は伴奏音源を調達していると思うので、伴奏音源をDAWにインポートしましょう。

Cubaseでのインポートは「ファイル」→「読み込み」→「オーディオファイル」を選択します。

補足

Cubaseなら直接ドラッグ&ドロップでオーディオファイルを取り込めます。

ちなみに伴奏音源を調達する際にマスタリング前、マスタリング済みの2種類用意されていることがあります。

この場合はマスタリング前をダウンロードしてインポートしましょう。

マスタリング

全楽器の録音、ミックスが終了した音源を最終的に完成させる作業

なお、伴奏音源をDAWにインポートする際も1~2小節程度は空小節を作って、その後にインポートしたほうが良いです。

また、オーディオデータのサンプリングレートとDAWのサンプリングレートを合わせましょう。

Cubaseの場合はインポート時にサンプリングレートが違うと注意が出ます。

Cubaseの音源取り込み画面(ビットレートが違う場合)
サンプリングレートが異なる場合
Cubaseのオーディオトラック挿入時の
サンプリングレートが一致している場合

オーディオ変換することも可能ですが、DAW側を合わせたほうが無難です。

前述の<サンプリングレート>の章を参考に変更させましょう。

伴奏音源は48kHz/24bitで制作されていることが多いです。

アコギREC

YAMAHA FG820

こちらは弾き語り系の方向けのアコギRECについてです。

まずはマイクのセッティングから解説していきます。

ベーシックなセッティングとしては下記のように意識しましょう。

BETA57でレコーディングしてるところ
  1. サウンドホールから少しネック側に外したポジションを狙う
  2. マイクはギターから40~60cmくらい離す

上記2点を守ってセッティングしてみて、あとは音を聴いてみてマイク位置や距離を調整しましょう。

サウンドホール側に寄せると低音が強くなり、ネック側にずらすと低音が弱くなります。

アコギのマイキング 3パターン

このマイク位置については正解はありません。

例えば、同じギターでもどういったコード進行なのか?チューニングはレギュラーか?などで最適な距離は変わります。

前段の基本パターンを基準にして色々試行錯誤し、自身のあったマイキングを考えましょう。

ボーカルREC

AKG C414 XLIIを付属品のポップガードとセットで設置した

最後はボーカルRECです。

ボーカルRECのポイントもそんなに難しいものはありません。以下の3点です。

  1. マイクからこぶし1つ分くらい離れる
  2. 声量の変化に合わせてマイク距離を微妙に変える
  3. テイクを少なくできるように練習すること
  4. 録音の音量はMAX時で80%くらいになるようにする

一番大事なのはマイクとの距離感ですね。

基本はこぶし1つ分あけるように意識しましょう。近づきすぎるとよくないです。

マイクとボーカルの距離はこぶし1つ分くらいあける

そして、もう一つのポイントは場面によってマイク距離を変えることです。

声を張るときは少し離れる、ささやく感じになるときは少し近づく。

これは微妙な距離調整で大丈夫です。First Take見てもらうとわかりやすいですね。

例えば、優里さんの動画を見るとサビで声張るときはやや離れてますよね。こんな感じです。

シャッター -First Take-/優里(YouTube)

また、映像と別録りすることで何テイクでも録れますが、ほどほどのテイクで終わるように練習はちゃんとやりましょう。

ボーカルは楽器と違って、生き物なのでテイク繰り返していると音質が変わってきます。

AT2040と別売りのショックマウントを組み合わせた画像2

録りなおしをやりすぎると、1曲通して聴いた時の繋がりも微妙になったりします。

できれば、RECする日より前に練習で通しで録ってみたりすると良いですね。

また、録音の音量はMAXで80%くらいになるように調整するとベストです。

Cubase AI プロジェクトカーソル位置を設定2
これくらい

小さすぎても良くないですが、波形サイズがMAXギリギリまでいくのも微妙です。

補足

100%ギリギリまで上げると、音が微妙に割れることがある

なので、レコーディングを始める前に一番声を張るパートで波形サイズが80%くらいになるように調整しましょう。

音と映像の別録り まとめ

AKG C414-xliiをマイクアームに取付した画像2
  • 別録りにすると部分的に録り直せてクオリティを高めやすい
  • アコギなどはあてふりが大変なので、同時に撮ったほうが良い
  • パンチインは便利だが、前後の繋がりを意識して使おう

ぎたすけ

別録りだと無限にやり直しが効いて、誰でもクオリティ高いの作れると思ってたけどそんなこともないんだな

たけしゃん

それ、やったことない人によくある誤解だよね。結局はちゃんと練習しないと良いテイクはできないよ

映像と音の別録りについての解説でした!

DAWの基本操作をあれこれ覚えないといけないものの、クオリティを上げていくなら絶対に覚えたほうが良いスキルです。

次章では無料ソフトの「AviUtl」を使って映像と音声を合成する方法を解説していきます。

弾き語り動画制作講座(初級編)

弾き語り動画制作講座(中級編)

歌ってみた制作講座