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YAMAHA(ヤマハ) FSX3
2019年5月に発売された、YAMAHA FG / FS Red Labelの下位モデル YAMAHA FSX3。
通称、赤ラベルという名前で昔から親しまれてきた、YAMAHA FG180などの系譜を受け継ぐモデルです。
ルックスは昔ながらですが、ブレイシングやピックアップなどは最新技術を盛り込んでいます。
エレアコの中でも、音質が非常に良い3Wayピックアップを実売価格 11万円のFSX3に盛り込んできたのが凄いところですね。
とにかく、このすごいやつをスペックから細かく解説していきます。
飛ばしてレビューを読みたいという方は<YAMAHA FSX3をレビュー>を参照ください。
機能・仕様の目次
YAMAHA FG / FS Red Label
YAMAHA FG/FS Red Labelは5と3の2種類のグレードにボディサイズ(FG・FS)が2パターンの計4種類。
更に4種類それぞれにエレアコモデルがあるため、全部で8本存在します。
YAMAHA FG Red Label
- YAMAHA FGX5(定価19万円)
- YAMAHA FG5(定価16万円)
- YAMAHA FSX5(定価19万円)
- YAMAHA FS5(定価16万円)
- YAMAHA FGX3(定価12万円)
- YAMAHA FG3(定価9万円)
- YAMAHA FSX3(定価12万円)
- YAMAHA FS3(定価9万円)
どの製品も定価から-1万円前後が実売価格となっています。
今回、レビューするYAMAHA FSX3は実売価格で11万ジャストくらいで取り扱いされています。
ピックアップなしのYAMAHA FS3は実売価格8.2万円程度ですね。
上位モデルである「5シリーズ」との違いはこちら。
- 国内生産
- ハードケース付属
- 上駒・下駒枕が牛骨
- 中国生産
- ライトケース付属
- 上駒・下駒枕がユリア
トップ・サイド&バックの木材は一緒です。
なので、大きな違いは生産場所が日本か中国かくらいなものです。
下位の3シリーズでも良い感じの鳴りで、10万円近辺で本当によくできたギターだと感じますね。
ボディのサイズ
YAMAHA FG/FS Red LabelはボディサイズはこれまでのFGシリーズと同様に2種類です。
YAMAHA FSX3はスモールサイズであるフォークタイプ。
大きなくびれが作られており、シュッとしたルックスです。
スモールボディですが音量はしっかりと出ており、低音はスッキリしてます。
音のレスポンスも良いため、フィンガースタイルや細かく刻むストロークなどのギタープレイと相性が良いです。
また、女性はフォークタイプのほうが抱えたときのサイズ感が合うため、昔からフォークタイプのほうが人気です。
YAMAHA AシリーズもスリムボディのAC3Mが人気だったので、同様に3シリーズではFSX3は人気がありそうです。
もう片方のFGはジャンボサイズ。ボディが大きいので低音が豊かで音量もしっかり出ます。
※左がFGX3、右がFSX3
ジャカジャカと鳴らすと、聴き心地の良い響きが生まれて弾き語りにはピッタリのボディサイズです。
アルペジオでも、低音がドッシリと出て安定感あるプレイができます。
FSX3のストローク音
FGX3のストローク音
どちらを選んでも使いやすくて優良なギターなので、ルックス・音質の好みのギターを選ぶと良いでしょう。
木材
- トップ:シトカ・スプルース
- サイド&バック:マホガニー
- ネック:マホガニー
YAMAHA FSX3はシトカ・スプルースとマホガニーを用いたオール単板ギターです。
11万円のエレアコでマホガニーを使ったオール単板はコスパが良いですね。
他メーカーの同価格帯だとマホガニーの代替材であるサペリのオール単板もしくはサイド&バックは合板のギターが中心です。
さすが、価格が安い上に品質が良いYAMAHAです。
供給が減っているマホガニー単板なので、長年弾き込んだときの木の成長や価値の上昇など将来性は期待できますね。
トップ材のシトカ・スプルースにはYAMAHA お得意のA.R.E.加工が施されています。
ボディ内部のスキャロップドブレイシングも最新の音響解析シミュレーション技術を駆使して検討された造りになっています。
また、細かいところでストラップピンがついています。
やっぱり、ライブで使うときにはストラップピンがあると楽なんですよね。
Taylorなど最近のギターメーカーは標準でついてますが、FG/FS Red Labelも最初からついていて助かります。
50年以上前に製造開始された伝統の赤ラベルではありますが、利便性や演奏性は今の時代に合わせて変わっているのが良いですね。
ピックアップ Atmosfeel™ (アトモスフィール)
YAMAHA FG/FS Red Labelの目玉が新しく開発された、「SYSTEM74(ハイブリッド3WAYシステム)Atmosfeel™」です。
アコギの生音を3つのシステムが拾う仕組みになっています。
3Wayピックアップ
- ピエゾセンサー(アンダーサドル)
- コンタクトセンサー
- マイク
この3つの方法で拾った音はプリアンプでミックスされて出力されます。
ボディ側面に3つのプリアンプコントローラーがあります。
ピエゾセンサー&コンタクトセンサーとマイクの音を調整できるので、編成によって音作りを変えられます。
例えば…
- 弾き語りではマイクの比率を上げてナチュラルな音質
- バンドではセンサーの比率を上げてハウリング防止&埋もれない音を作る
こういった場面別の最適な音作りが可能です。
ちなみに「SYSTEM74(ハイブリッド3WAYシステム)Atmosfeel™」単三電池×2で駆動します。
エンドピンの下に電池ボックスがあります。
単三電池駆動って結構珍しいですね。
そして、何がすごいって実売価格11万円のエレアコにこれだけのピックアップシステムが搭載されていることですよ。
同価格帯の他メーカーのエレアコは大半がインブリッジピエゾ。
同じ3Wayを搭載している、Cole Clarkのエレアコは最も安いモデルで17万円。
11万円で3Wayピックアップ搭載モデルが登場したのは革命と言えるくらいのインパクトです。
実際の音質はレビューで音源付きで解説していきます。
FSX3
FGX3
YAMAHA(ヤマハ) FSX3をレビュー
それでは、YAMAHA FSX3をレビューしていきます。
はじめに総評すると「10万円近辺のエレアコではイチオシ!抜群に使いやすいエレアコ」です。
同価格帯では生音も平均以上で優秀。ピックアップを通した音も素晴らしいです。
これで、11万円だと文句のつけようがありません。
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生音はバランス良くて使いやすい
サイド&バックにマホガニーを使ったオール単板ということで10万円近辺ではかなり高めのスペック。
なので、生音も同価格帯の中では優秀です。
各帯域のバランスが良くストロークで鳴らすと密度高い感じのまとまった音が出ます。
ストロークでジャラーンと鳴らすと心地よいです。
FSX3で弾き語りしてみた動画がこちら。
ストロークで弾くとバランス良い感じで使いやすい音になってます。
ネックを持った感じや弦のテンションも、すごく弾きやすいですね。
動画の演奏も細かくて難しいのですが、FSX3は弦を押さえやすいので大分弾きやすかったです。
ちなみにマホガニーのギターと言えばGibson J-45ですがキャラクターは大分違います。
FSX3とGibson J-45の音を比較してみましょう。
FSX3
Gibson J-45
J-45はザクザクな感じの音で、FSX3はクッキリした感じの音ですね。
FSX3はかき鳴らすというよりはキレイに振りぬいて、爽快なストローク音鳴らすのに向いてますね。
音源聴いても、FSX3は生音も良い感じです。
10万円近辺のアコギでは生音だけ見ても、かなり上位のほうだと感じます。
ピックアップなしモデルのFS3は実売価格 8万円ちょっとなので、予算10万円以内のアコギを探してる方にも有効なモデルですね。
FS3(ピックアップなしモデル)
ピックアップはかなり良い感じ
新開発の3Wayピックアップは音質は非常に良いです。
センサーとマイクの音量バランスを調整できるので、編成によって音質を変化させることができます。
センサー全振り、5:5、マイク全振りの3つの音を聴き比べてみましょう。
センサー全振り
センサー5:マイク5
マイク全振り
特にピエゾセンサー&コンタクトセンサーの音質が良いですね。
内部マイクはナチュラルな音ですが、やや音がこもってます。
ただ、以前ROLAND AC-33でテストしたときはマイク全振りでBass EQちょっと絞ると大分いい感じの音だったんですよね。
ライブハウスなのか、ライブ配信なのか…などによって、最適なセッティングは大分変わりそうな感じがします。
センサー5:マイク5が音の抜けもよくて、バランス良いので安定なセッティングですね。
なお、後述の<同価格帯ギターとの比較>で、TaylorのES2とピエゾピックアップと比較してます。
やはり、同価格帯のエレアコと比べるとFSX3の出音はレベル高いですね。
FSX3
FGX3
渋いルックス
形状、色合い、インレイ、ギターヘッドと昔ながらの渋いルックスです。
派手さやおしゃれ感はないですが、逆にそこが魅力でもあります。
塗装の仕上げもセミグロス仕上げとなっており、ヴィンテージギターっぽい風合いです。
Taylorのような垢ぬけた感じのエレアコが好みの人には合いませんが、この渋さが好きな人はたくさんいそう。
FSXのきゅっとしたくびれのフォルムもカッコいいので、Martinの000みたいな感じのおしゃれさがあります。
FSX5との比較
※YAMAHA FSX5
比較してみると…
- 国内生産
- ハードケース付属
- 上駒・下駒枕が牛骨
- 18万円程度
- 中国生産
- ライトケース付属
- 上駒・下駒枕がユリア
- 11万円程度
見た目は全然変わっていません。使っている材もほとんど一緒ですしね。
音質的にはFSX5のほうが箱鳴りしていて、音の膨らみが出ている印象です。
また、どこがどう違うがスペック上はわからないですが、FSX5のほうが大分弾きやすかったです。
ネック持った感じや弦のテンション、音のレスポンスなどがFSX5のほうがしっくりくる感覚が強かったですよね。
予算的に頑張れるのなら、FSX5を推奨します。
ただ、YAMAHA FSX3自体も本格的な音楽活動でも十分に活躍できるエレアコです。
なので、予算的に厳しい場合は無理する必要はありません。
予算10万円で考えるならFSX3は音質も良いし、コスパも素晴らしい機種です。
FSX3
FGX3
同価格帯ギターとの比較
※Taylor 214ce
YAMAHA FSX3と10万円近辺の色んなメーカーのギターを生音・エレアコの音で比較してみましょう。
比較対象
- YAMAHA LL16D ARE(12万円程度)
- Taylor 214ce(16万円程度)
- Martin DX1(10万円程度)
まずは生音からいきましょう。
FSX3
LL16D ARE
214ce
DX1
やっぱり、YAMAHAはYAMAHAの音がする感じしますね。
海外ブランドの10万円近辺のギターはTaylor 214ceのようにシャカシャカしつつ、まとまりのある音が多いんですよね。
対して、FSX3はシャカシャカというより密度が高い感じの音がしてます。
また、YAMAHAの2本を比べると、マホガニーのFSX3は温かい音。
ローズウッドのLL16D AREは鈴なりの気持ちいい音がしますね。
YAMAHAの2本は余計な音がない感じなんですよね。
気持ちよくまとまっていて録った時の音もすごく良い感じになってくれます。
続いて、エレアコの音。
ストロークとアルペジオの音を用意しました。
LL16D ARE(ピエゾ)
214ce(ES2)
FSX3(3WAY)
僕の所感ではストロークはFSX3が頭1つ抜けてます。
エレアコにしては大分ナチュラルな音になってます。
アルペジオも一番ナチュラルなのはFSX3と感じますが、214ceもなかなか良い感じでこのへんは好みによるかなと思います。
FSX3は生音・エレアコの両方の音が良い感じなので、トータル的に見ても強いですね。
10万円ちょいで、このクオリティは強いですね…。
予算10万で弾き語り向けのギターを探すならチェックしたほうが良い1本です。
FSX3
FGX3
YAMAHA(ヤマハ) FSX3 まとめ
- 長いときを経て発売された YAMAHA赤ラベルの新作ギター
- 3Wayピックアップシステムが素晴らしいエレアコ
- 10万円近辺では生音、エレアコの音共にすごく優秀
ぎたすけ
たけしゃん
YAMAHA FSX3の解説でした。
プロアーティストを目指す、高校生・大学生にもってこいのエレアコという感じがします。
もちろん、赤ラベルの渋いルックスなので年配の方にもばっちりのギターです。
YAMAHA AC3Mを使っているプロアーティストの方もアマチュア時代から使ってた人が大半ですしね。
YAMAHA FSX3も同じように夢を追いかける人を支えるギターになりそうですねぇ。
2019年5月に発売されたばかりなので、これからどんどん使用者が増えていくことでしょう。
10万円くらいでギターを探している方はチェックしたほうが良いですよ!
FSX3
FGX3
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