Solid State Logic SSL Connexをレビュー。カメラに映りこまない位置で高音質に収音できるUSBマイク

SSL Connexを実際にPCと接続した写真。左から撮影

ぎたすけ

SSLってプロ向けのメーカーってイメージが強いけど、USBマイクも出してるんだな

たけしゃん

そうなんだよ。自分もウェビナー用に良いUSBマイク欲しくて買ったんだけど、なかなか良いね
SSL Connexの評価
音質
 (4)
使い勝手
 (4)
コスパ(約11,000円)
 (5)
総合評価
 (4)
メリット
デメリット
  • 1万円程度とは思えない高音質
  • 4つのマイクカプセルで多様な用途に対応可能
  • 多様なミュートモードがテレワークで便利
  • 本体で入力音量を調整できない
  • デスク設置での使用は音質が微妙

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この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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Solid State Logic SSL Connex

SSL Connexを実際にPCと接続した写真。引き気味で撮影
マイクタイプUSBコンデンサーマイク
指向性選択モードによって変化
サンプリング周波数96kHz / 16bit
接続端子USB-C(USB 2.0)
対応OSWindows
Mac
iOS
Android
公式サイト

2022年に発売された、SSLのUSBマイク SSL Connex

プロユースのオーディオミキシングコンソールで有名なSSLのUSBマイクということで、発売当時はかなり話題になりました。

USBマイクでは珍しく、平らな形状のバウンダリーマイクになっています。

バウンダリーマイク

壁、床、机などの表面に設置して使える平らな形状のマイク

SSL Connexを斜め右から撮影

自宅のPCデスクで、手軽に置いて使える形状なのは魅力的ですね。

価格も、発売当初は27,000円程度だったと思うのですが、現状は11,000円で購入できます。

実際に使ってみた所感では、机に置いて使う用途にはあまり適していません。

一方、マイクスタンドを使って位置調整すると、1万円程度とは思えない音質になります。

SSL Connexをマイクスタンドに取付して引きで撮影
付属のネジでマイクスタンドと接続可能

ウェビナー用に机に置いて使おうと思って買ったので、正直残念でした。

ただ、マイクスタンドで配置を工夫したら、カメラに映らない位置に設置して高音質に収音できることがわかり、結果的に毎日使っています。

まずは、製品仕様から解説します。

仕様を飛ばして、レビューを読みたい方は<SSL Connexをレビュー>をみてください。

4基のマイクカプセルを搭載

SSL Connexは本体に4つのマイクが内蔵されている。

SSL Connexは、本体内部に4基のマイクカプセルを搭載しています。

4基のマイクカプセルがどのように動くかは、設定されたプリセットモードによって変化します。(後述)

高度なレコーディングなどに使用するイマーシブモードでは、どのマイクを使用するかチャンネルで選択できます。

チャンネル用途
チャンネル1&2マイク信号のデュアルモノ/ステレオmix
※選択されたプリセットモードに依存
チャンネル3フロントマイク(①)
チャンネル4バックマイク(②)
チャンネル5左マイク(③)
チャンネル6右マイク(④)
補足

イマーシブモードを使用するには、専用のASIOドライバーのインストールが必要

指向性を選択することはできないものの、単一指向性っぽいモード、無指向性っぽいモードが用意されています。

元値が27,000円程度だったこともあり、かなりハイスペックなUSBマイクです。

4つのプリセットモードを選択可能

SSL Connex 白に点灯

SSL Connexは、4つのDSPモードが用意されており、用途によって最適な設定を選択できます。

モード用途
ソロオンライン会議、ポッドキャストなど
個人での使用に最適
グループ集団のオンライン会議など
複数の音声を拾うのに最適
ボーカル歌声の収音に最適
ミュージック楽器などの大きな音源に最適

この4つのモードは、本体操作で切り替えることができます。

モードが変わると、「Solid State Logic」の色が変化します。

SSL Connex 白に点灯
白はソロモード
SSL Connex 緑に点灯
緑はグループモード
SSL Connex 紫に点灯
マゼンタはボーカルモード
SSL Connex 青に点灯
青はミュージックモード

それぞれのモードによって、使用されるマイクカプセルの組み合わせが自動で変化します。

モード使用されるマイク
ソロフロントマイクのみ
グループ4つのマイク全部
ボーカル4つのマイク全部
※前方付近に焦点を当てたステレオ収録
ミュージック4つのマイク全部
※本体前方を中心としたステレオ収録

ソロが単一指向性っぽいモード、グループは無指向性っぽいモードと言えます。

ボーカルとミュージックは、ステレオで音に広がりのあるモードとなります。

SSL Connexは本体に4つのマイクが内蔵されている。
4つのマイクの位置はこれ

また、モードによってSSL EQ とダイナミクスアルゴリズムで音が調整されます。

使った所感では、ソロとグループはナチュラルな音で、ボーカルとミュージックはコンプレッサーで音量が均一化されます。

そのため、DAWなどでボーカル収録するなら、イマーシブモードにしてチャンネル3を選択するのが良いかなと思いました。

補足

イマーシブモードのチャンネル3なら、フロントマイクの素の音が録れるっぽい

あと、声量がある人はボーカルモードは厳しいかもしれません。

自分も、ボーカルモードで歌を録ると音量を絞ってもコンプが強くかかりすぎるので、日ごろの練習の録音ではミュージックモードを使っています。

ミュートやプッシュトーク機能を搭載

SSL Connexを後ろ斜めから撮影

SSL Connexは、本体操作で以下4つの機能を使用できます。

機能概要
ミュートロゴをタップするとミュートにできる
プッシュトークミュート中に一瞬だけ話すことができる
カフスイッチ一瞬だけミュートにできる
モニターミックスマイク入力をヘッドホンに返す

まず、本体中央の「Solid State Logic」を押すと、ミュートのON/OFFを切り替えできます。

SSL Connex 赤く点灯してミュート状態
ミュート中は赤く点灯する

タッチセンサーなので、音を出さずにサッと切り替えできます。

続いて、プッシュトークは、ミュート中に一瞬だけ話す際に使うモードです。

ミュート状態で、ロゴを長押しすると押している間だけ、マイクがONに戻ります。

SSL Connex 赤く点灯してミュート状態
この状態でロゴを長押し

手を離すとミュート状態に戻るので、一瞬だけミュートを解除して、そのままミュートし忘れる事故を防止できます。

カフスイッチは、ミュートが解除された状態で、ロゴを長押しすると押している間だけミュートされます。

SSL Connex 白に点灯
この状態でロゴを長押し

手を離すと、ミュートも解除されるため、ミュートの解除し忘れを防止できます。

トーク中に水を飲む際などは便利ですね。

ミュートのON/OFFで、これだけ多彩な設定を入れているのはSSL Connexくらいではないかと思います。

多くのレコーディングスタジオや放送局のコンソールを手掛けるSSLらしい機能です。

SSL Connexを実際にPCと接続した写真。左下から撮影

最後のモニターミックスは、マイクに入力された音を接続したヘッドホンに返す機能です。

マイク入力のモニター音量は3段階から調整することができます。

SSL Connexでモニターミックスの音量を調整しているところ
モード切替時に「+」「-」で音量を調整可能

要はダイレクトモニタリング機能ですね。自分の声がヘッドホンに返ってきます。

なお、SSL Connexはヘッドホン端子が用意されており、本体でボリューム調整ができます。

ロゴの下にある「-」と「+」で音量を調整します。

SSL Connex ヘッドホンのボリュームを調整

ヘッドホンボリュームが0になると、真ん中のヘッドホンアイコンが赤く点灯するようになっています。

ちなみに、ヘッドホン端子の音質もUSBマイクにしてはかなり良いです。

付属品

SSL Connexの付属品

SSL Connexの付属品は、USBケーブルとマイクスタンド接続用の変換ネジです。

USBケーブルはType-Cですが、C to Bに変換するアダプタが1個ついています。

SSL Connexに付属のUSBケーブルとC to B変換アダプタ

加えて、マイクスタンドに取付するための変換ネジも付属しています。

SSL Connex付属の変換ネジ。マイクスタンドの取り付けで使える

SSL Connexは、至近距離に持ってきた方が明らかに音が良いため、マイクスタンドやマイクアームと組み合わせて使うのが現実的かなと感じています。

SSL Connexをマイクスタンドに取付して引きで撮影

あとは、専用のASIOドライバーが公式サイトからダウンロードできるようになっています。

Plug and Playでも問題なく動作しますが、イマーシブモードなどの一部機能はASIOドライバーのインストールが必要です。

Plug and Play

PCなどの端末に接続しただけで、自動で設定が完了して使える機能のこと

ちなみに、iPhone 13 ProはUSB 3 カメラアダプタで接続して使用できました。

同時に充電もしないと動かなかったので、USBカメラアダプタではダメそうです。ご注意ください。

Solid State Logic SSL Connexをレビュー

SSL Connexを実際にPCと接続した写真。右から撮影
SSL Connexの評価
音質
 (4)
使い勝手
 (3)
コスパ(約11,000円)
 (5)
総合評価
 (3.5)

それでは、SSL Connexを細かくレビューしていきます。

はじめにメリット・デメリットを箇条書きでまとめると以下の通りです。

メリット
デメリット
  • 1万円程度とは思えない高音質
  • 4つのマイクカプセルで多様な用途に対応可能
  • 多様なミュートモードがテレワークで便利
  • 本体で入力音量を調整できない
  • デスク設置での使用は音質が微妙

率直な感想を言うと、机などに置いて使うバウンダリーマイクとして買うと微妙です。

自分は、MacBook Proの内蔵マイクのほうが良いと思ってしまいました。

一方、マイクスタンドを使ってマイキングを工夫すると、素晴らしいマイクになります。

このレベルを1万円で買えるとは信じられないです。

そういった意味で、形状による誤解で大分損していそうな製品だなと思います。

机に置いて使うのは微妙

SSL Connexを実際にPCと接続した写真。左から撮影

机に置いて使える高音質マイクが欲しいというのが、筆者の購入目的でしたが、その用途では微妙でした。

これは音源を聴いてもらうのが早いので、比較音源を用意しました。

SSL Connex(ソロモード)

SSL Connexを実際にPCと接続した写真。引き気味で撮影

MacBook Pro(2019)

Macbook Airで仕事しているところ

どちらもPCデスクに置いて、30cmくらいの距離から録音しています。

両方が大体同じ波形になるよう、音量調整しました。

SSL Connexのほうが明瞭ですが、反響音が強いですね。

自分は総合的に考えて、これならMacBook Proのままでいいなと感じました。楽ですし。

SSL Connexは振動音も大分拾うので、机に設置して使うには微妙な点が多かったです。

マイキングを工夫すれば化ける

SSL Connexをマイクスタンドに取り付けした

ガッカリした一方で、SSL Connexはマイキングを工夫すればとても良いマイクになるとも思いました。

自動でEQやコンプレッサーでの調整が入るので、良くも悪くもマイキング次第なんですよね。

こちらも、マイクを口元斜め下10cm程度に持ってきた音声を用意しました。

SSL Connex 口元斜め下10cm(ソロモード)

SSL Connex 卓上設置(ソロモード)

口元斜め下10cmは、かなり良い感じの音質ではないでしょうか。

MacBook Proと比べても、反響音が減って聴き取りやすい音になっています。

しかも、SSL Connexの内蔵マイクは斜め上向きに設置されているっぽいので、カメラに映りこまない位置でこの音質にできます。

自分はマイクスタンドで、口元から斜め左下10~20cmあたりに設置しています。

カメラに映らず、音質も良いのでとても満足しています。

イマーシブモードは結構使えるかも

SSL Connexを実際にPCと接続した写真。引き気味で撮影

イマーシブモードは、内蔵された4基のマイクカプセルを個別に扱えるモードです。

チャンネル用途
チャンネル1&2マイク信号のデュアルモノ/ステレオmix
※選択されたプリセットモードに依存
チャンネル3フロントマイク(①)
チャンネル4バックマイク(②)
チャンネル5左マイク(③)
チャンネル6右マイク(④)
SSL Connexは本体に4つのマイクが内蔵されている。
番号はマイク位置

例えば、ボーカルグループで使う場合、それぞれが①~④のマイク位置に立ってパラアウトすれば、それなりのクオリティの一発録りができます。

アコースティックユニットでも、良い感じに使えそうです。

プッシュトークとカフスイッチは地味に便利

SSL Connexを斜め右から撮影

SSL Connexの良いところとして、ミュート周りの機能が豊富な点が挙げられます。

機能概要
ミュートロゴをタップするとミュートにできる
プッシュトークミュート中に一瞬だけ話すことができる
カフスイッチ一瞬だけミュートにできる
モニターミックスマイク入力をヘッドホンに返す

例えば、他の方が説明している場面で急に振られた場合、プッシュトークで一瞬コメントすると勝手にミュートに戻るので便利なんですよね。

あと、自分の環境だと、相手の話し声にロボット掃除機が反応することがあるので、その場合にカフスイッチを使っています…(笑)。

SSL Connexをマイクスタンドに取付して引きで撮影
ロゴ長押しするだけなんで簡単

最初は使わない機能だなと思っていましたが、割と便利でよく使います。

なので、「机に置いて使えるマイク」という当初の用途ではまったく使っていませんが、なんだかんだで満足してウェビナーやオンライン会議用マイクとして活用しています。

購入検討されている方は、机に置くよりはマイクアームなどで位置調整して使うものと考えて検討することをおすすめします。

Solid Stage Logic SSL Connex まとめ

SSL Connexの外箱

ぎたすけ

卓上で使う目的で買ったのに微妙だったのは残念だったな~

たけしゃん

でも、設置位置工夫して満足いく使い方できてるから、結果オーライだったね

Solid State Logic SSL Connexのレビューでした。

当初想定した使い方では微妙だったのですが、工夫次第でかなり良い感じになります。

特に、カメラに映りこまない位置で良い音にできるのはありがたいですね。

ビジネスのウェビナーやオンライン会議だと、「ガチのマイクを映したくないよなぁ…でも音質はこだわりたいんだよな…」と思っていたので、とても助かっています。

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