ぎたすけ
たけしゃん
- スプルースの種類
- スプルースの特徴
- スプルースを使った代表的なギター
スプルースとは
スプルースはマツ科トウヒ属の常緑針葉樹の総称のこと。
スプルースには色んな種類があり、ギターの他にもドアやフローリングなど建物の木材にも使われています。
スプルースは端正な木目で強度が高く、軽量で振動伝達に優れた木材なので弦楽器のトップ材として重宝されています。
アコギのトップ材で使われる木材と言えば、スプルースが定番で9割方のアコギはスプルーストップで作られています。
2019年現在でも供給が滞っているわけでもなく、今後もギターの中心木材となっていくでしょう。
スプルースの種類
スプルース自体がマツ科トウヒ属の常緑針葉樹の総称ということもあり、種類は豊富です。
主にギターのトップ材として使われるスプルースはこちら。
- シトカ・スプルース
- イングルマン・スプルース
- ルッツ・スプルース
- ジャーマン・スプルース
- アディロンダック・スプルース
この中でも樹齢や木の性質でランク付けされているため、どのスプルースが良いかは個体によるところもあります。
それぞれのスプルースの特徴と代表的なアコギを解説していきます。
シトカ・スプルース
- 最もよく使われるスプルース
- カナダ西海岸が主要産地
- ギターのオーソドックスなサウンドとなっている
最もギターのトップ材として用いられているのが、シトカ・スプルース。
シトカはカナダ西海岸の地域名になっており、産地もカナダ西海岸やアメリカ北西沿岸となっています。
Gibson J-45、Martin D-28、Taylor 814ceなど名ギターはグレードが高いシトカ・スプルースで作られています。
Gibson(ギブソン)やMartin(マーチン)も昔は異なるスプルース材を用いていましたが、現在ではシトカ・スプルースに落ち着いています。
上質なシトカ・スプルースはナチュラルで癖のない音に仕上がります。
ギター木材のニュートラル的な扱いなので、あえて高く評価する人もいないですがアコギといえば…!という音質です。
代表的なギター Gibson J-45
Gibson(ギブソン)ギターの代名詞、J-45。
2019年モデルはトップ材:シトカ・スプルース、サイド&バック材:マホガニーで構成されています。
ヴィンテージものになると、アディロンダック・スプルースなどが使用されていますが近年に作られたものはシトカ・スプルースで統一されています。
シトカ・スプルースとマホガニーの組み合わせは箱鳴り感が良く、ジャラーンと鳴らすと気持ちの良い音で鳴ってくれます。
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イングルマン・スプルース
- シトカの次に使用されているスプルース
- カナダ、ブリティッシュ・コロンビアが主要産地
- エンゲルマン・スプルースと呼ばれることもある
建築用材にもよく使用され、シトカの次にギター木材にも使われるイングルマン・スプルース。
シトカに比べて、柔らかくて繊細な音質になる傾向があります。
響きや音の抜けではシトカのほうが良く感じることが多く、好みが分かれる木材でもあります。
フィンガースタイルには相性の良いギターです。
Martinのギターは主にシトカ・スプルースが使われていますが、リミテッドエディションなどでイングルマン・スプルースを使ったギターが存在します。
代表的なギター Martin OMJM
Martin OM-28のジョン・メイヤーシグネイチャーモデルであるOMJM。
トップ材:がイングルマン・スプルース、サイド&バック材:イースト・インディアン・ローズウッドで構成されています。
ボディサイズも000モデルで繊細な音質に良好なレスポンス。
フィンガースタイルが良く合うギターです。
ジョン・メイヤーも、このギターでブルージィなプレイから繊細なアルペジオまで幅広いギタープレイを魅せてくれます。
ルッツ・スプルース
- シトカとイングルマンの自然交配種
- カナダの一部地域でのみ採れる
- Taylorのギターに使用されている
最近、Taylorのギターで使われているのがルッツ・スプルース。
シトカ・プルースの弾力性とイングルマン・スプルースの美しくきめの細かい白さを持ち、パワフルでボリュームのあるサウンドが特徴…とTaylor公式ページでは紹介されています。
弾いて見た感じはシトカ・スプルースが近いように感じました。
というか、僕にはシトカ・スプルースとの違いがあまりわかりませんでした(苦笑)。
ルッツ・スプルースはスプルースの中でも希少性が高く高級な木材です。
レギュラーラインナップで扱っているのはTaylorくらいで、そのTaylorでもグレードが3番目に高い700番シリーズのトップ材として使用しています。
代表的なギター Taylor 714ce V-Class
Taylorが誇る高音質なエレアコ、714ce。
トップ材:ルッツ・スプルース、サイド&バック材:インディアン・ローズウッドという構成です。
上位モデルである814ceは最上級のシトカ・スプルースを使っています。
どちらが良いか…というと差も少なく、甲乙つけがたいです。
714ce以外にも限定モデルとしてルッツ・スプルース仕様のギターを定期的に発売しています。
他のメーカーもレギュラーモデルとして発売しているところはないので、触ってみたい人は714ceを探すと良いでしょう。
ジャーマンスプルース
- クラシック楽器などに昔から使われるスプルース
- ヨーロッパ地方が主な産地
- 最近は楽器に使えるグレードのジャーマンスプルースは採れず年々希少になっている
ヨーロッパが主要な産地となるスプルースがジャーマンスプルース。
ギターをはじめ、リュート・バロックギター、バイオリン、ピアノなど様々な古楽器に使われてきた木材です。
別名でヨーロピアン・スプルースとも呼ばれます。
響きが硬めでクリア、上品な音なのにパワーもある木材としてギターでも人気の木材。
しかし、近年では楽器で使えるグレードのジャーマン・スプルースは採れなくなっており、ヴィンテージギターか限定モデルでしかお目にかかれません。
中古品でもジャーマンスプルースが使われているギターは値段が高騰していますね。
ちなみにクリスマスツリーで使われる木も主にジャーマンスプルースだそうです。
Martin D-45(1970年代)
1970~1974年に製造されたMartin D-45にジャーマンスプルースが使用されています。
Martinはたまに限定モデルでジャーマンスプルース仕様のギターを発売しています。
ジャーマンスプルース仕様のギターを探すのは結構大変で、御茶ノ水に行ってもそんなにありません。
値段も車が買えるくらいのものが多いので、コレクター向けというイメージですね。
アムリタ DM-Model
東京は湯島にショールームがあるギターメーカー、アムリタカスタムギターズ。
そのアムリタのDM-Modelのトップ材にジャーマンスプルース(仕様にはヨーロピアン・スプルースと記載)が使用されています。
サイド&バックにはホンジュラスマホガニー、指板・ブリッジにはハカランダ。
正にヴィンテージのMartinギターに近い仕様。
実際に弾いた音質もヴィンテージのMartin D-18にやや近い感じでバランスの取れた良い鳴りです。
アムリタのギターは楽器店に出回っていないため、直接アムリタに問い合わせて購入となります。
これだけ、貴重な木材を盛り込んだ新品ギターで40万円ちょっとなのでジャーマンスプルースのギターを探している方は要チェックです。
アディロンダック・スプルース
- 1940年代まではGibson、Martinのメイン木材だったスプルース
- カナダ、アメリカが主な産地
- パワーのある鳴りと豊かな響きが人気
- 現在は超希少木材となっている
ヴィンテージのMartin、Gibsonのギターに良く使われているのがアディロンダック・スプルース。
別名、レッド・スプルースとも呼ばれています。
目が飛び出るくらいの価格がついている弦楽器などにも使われている木材です。
アコギでも非常にパワフルで響きが豊かな音になり、スプルースの中でも別格扱いする人が多いですね。
現在は超希少木材となっており、新品でアディロンダック・スプルースを使っているギターは限定版の超高級復刻モデルくらいです。
ヴィンテージ市場でもアディロンダック・スプルースを使ったギターは価格が非常に高いです。
代表的なギター Martin D-28 Authentic 1937
Martin D-28の1937年モデルを忠実に再現した復刻版Martin D-28 Authentic 1937です。
トップ材:アディロンダック・スプルース、サイド&バック材:マダガスカルローズウッドで構成されています。
100万円くらいはするので、楽器屋さんにいくとショーケースの中にしまってあります。
Martinは1930年代をGolden Era(黄金時代)とよんでおり、Golden Era仕様の限定モデルをたまに販売しています。
一生もののギターとして検討してみるのもよいのではないでしょうか。
スプルースについて まとめ
- スプルースはギターのトップ材としてメインで用いられる木材
- 主に使用されるのはシトカ・スプルース
- スプルースの中には現在は希少になっているものもある
ぎたすけ
たけしゃん
スプルースについての解説でした。
余談ですが、商品仕様に「スプルース」としか書いていないものって結構ありますよね。
これはおおまかに2パターンあります。
- 同じ型番でも個体によってスプルースの種類が異なる
- 合板のため、色んなスプルースが混在
安いギターの大半は後者の合板で複数のスプルースが混在しているケースですね。
スプルース…と一口に言っても奥が深い木材の世界があるわけですね。
アコギオタクになると木材にも詳しくなってきますが、詳しくなるとアコギを違った目線で見れるので面白いですよ。
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