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Headway Music Audio EDB-2 H.E
2015年に日本に上陸した英国ナンバーワンのアコースティック楽器用ピックアップシステムのブランドHeadway Music Audio。
そのHeadwayのデュアルチャンネル仕様のプリアンプがEDB-2 H.Eです。
アコースティックギターをはじめ、様々なアコースティック楽器で使えるプリアンプになっています。
各チャンネルごとに独立したコントローラーがあり、出力するチャンネルも任意に選択できます。
これ一台で一通りのことができるようになっています。
まずはEDB-2 H.Eの製品仕様から解説していきます。
仕様を飛ばしてレビューを見たい方は<EDB-2 H.Eをレビュー>を参照ください。
改良されたクラスAアンプ回路
先代のEDB-2から、更に改良されたクラスAアンプ回路を搭載しています。
より、低ノイズで高いゲインを得られるようになっています。
エレアコを繋いで使ってみましたが、非常に低ノイズで十分な音量を出せました。
ちなみにEDM-1 H.Eやパラアコと比べると、各チャンネルのゲインは低めに設定されています。
おそらくはCH1とCH2をミックスして出力できる仕様なので、抑えて設定しているのかと思います。
それでも、十分な音量は得られるので大丈夫です。
接続端子
EDB-2 H.Eはかなり豊富な入出力端子が用意されています。
まず、入力ですが2系統同時に接続できるようになっています。
CH1は1/4″でアンバランスモノ/TRSモノに対応した端子になっています。
TRSで接続すれば、ファンタム電源も供給できます。
CH2はモノ・ステレオ両対応の1/4″とXLR端子が用意されています。
そのため、かなり色んな使い方ができますね。
例えば、下記のような使用例が考えられます。
- 2系統のピックアップを同時利用
- ピックアップとマイクを同時利用
- 2本の楽器を同時接続して交互に利用
- ボーカルマイクとエレアコで弾き語り
ソロギターの方など、2系統のピックアップを搭載する人は割と多いですよね。
また、ギターを2本使い分ける場合もEDB-2 H.Eなら同時に接続できるため、繋ぎ替えが不要になります。
あとFX LOOP用でSENDとRETURN端子が用意されています。
エフェクトやチューナーを接続する際に使います。
このFX LOOPはCH1のみ反映される仕様となっています。
更にAUX端子もついており、スマホやオーディオプレイヤーを接続できます。
そのため、打ち込みのオケなどを一緒に流すこともできます。
EDB-2 H.Eは入力が豊富でミキサーの代わりにもなりそうですね。
続いて出力です。
出力はXLR、1/4″アウトの2系統が用意されています。
XLRアウトはどのCHを出力するか切り替えできる仕様になっています。
1/4″のLINEアウトはCH1とCH2がミックスされて出力されます。
なお、AUXに接続した機器の音はどちらの出力でも流れます。
コントロールパネル
EDB-2 H.Eはコントローラーも2系統用意されており、かなり豊富です。
ただ、整理してみていくと割とシンプルなので、使い方を一度覚えてしまえば楽ですね。
まずはゲインです。CHごとに独立しています。
AUXも合わせた、最終的なマスターボリュームは右側についています。
なお、マスターボリュームの下にCHごとのミュートスイッチもついています。
2つの楽器を接続して交互に使う場合はこのミュートスイッチを活用しましょう。
続いて、EQもCHごとに独立しており、5バンド用意されています。
各ノブの担当帯域と調整幅は以下の通りです。
名称 | 帯域と調整幅 |
BASS | 120Hz ±12dB ※45Hzで計測すると±16dB |
L.MID | 590Hz ±13dB |
H.MID | 880Hz ±12dB |
PRESENCE | 2.8kHz ±7dB |
TREBLE | 10kHz ±13dB |
だいぶ細かく、調整できるようになっています。
別でハイパスフィルターのRANGEが用意されています。
RANGEは3段階に切り替え可能で、下表のようになっています。
項目 | 帯域 |
Violin | 192Hz |
Guitar | 85Hz |
Bass | 41Hz |
接続する楽器に合わせて設定しましょう。
他にはNOTCHフィルターとハーモニックエンハンサーが用意されています。
NOTCHフィルターは特定の周波数をカットして、ハウリングなどを防ぐ機能ですね。
FREQで50Hz〜6kHzの中から効かせる帯域を選択し、Q WIDTHで効かせる幅を調整します。
なお、NOTCHフィルターはCH1かCH2の片方のみかけられます。
ハーモニックエンハンサーは1kHz以上の高周波を加える機能です。
黄色ノブで効かせる強さを調整できます。
ハーモニックエンハンサーをかけると、音がわかりやすく煌びやかになりますね。
あとはプリアンプでよくある機能が一通り搭載されています。
機能 | 概要 |
フェーズ | 位相を逆転させる |
ファンタム電源 | CH2のXLR端子に 11V or 48Vを供給 |
アース グランドリフト | グランドループ防止で ピン1を切り離すスイッチ |
このあたりの詳しい使い方は公式の取扱説明書を参照ください。
付属品
EDB-2 H.Eの付属品は18V ACアダプターとベルトクリップです。
なお、EDB-2 H.Eは9V電池×2でも駆動します。
また、背面には5/8インチのネジ穴がついており、マイクスタンドに取り付けできます。
つまみが多いので、マイクスタンドを使って手元に置いておくと安心ですね。
足元に置いておくより、調整が楽なので助かります。
Headway Music Audio EDB-2 H.Eをレビュー
それでは、EDB-2 H.Eを細かくレビューしていきます。
はじめにメリット・デメリットを箇条書きでまとめると以下の通りです。
全体的に完成度が非常に高いですね。
ライブで必要な機能を高度に備えている、プロユースのプリアンプです。
一方で普通に弾き語りライブをやるだけなら、下位モデルのEDM-1 H.Eで十分かなと感じます。
自身の用途でどこまでの機能が必要か整理してから製品選定しましょう。
低ノイズで明るい音
EDB-2 H.Eにエレアコを繋いで録ってみると、非常に低ノイズです。
サンプル音を用意したので、聴いてみてください。
Anthemから直で音響機器に繋ぐより、EDB-2 H.Eを挟むことで低ノイズで音量を稼げます。
また、EDB-2 H.Eを挟むと音もやや明るくなり、粒立ちよく聞こえますね。
続いて、CH2にコンデンサーマイクを繋いでAnthemの音と混ぜてみました。
かなり良い感じではないでしょうか。
EQやエンハンサーなど何も調整していないですが、良い具合に混ざってくれます。
このデュアルチャンネルは配信やライブで便利そうですね。
出力するCHを選べるので、バンドセットはCH1とCH2をミックスして、弾き語りはマイクだけといった使い分けが瞬時にできます。
また、ボーカルマイクとエレアコを繋げば、両方とも手元で音を細かく調整できます。
アコギのプリアンプ以外にも、配信や路上ライブでの小型ミキサーとしても機能しますね。
音の調整機能が豊富
EDB-2 H.Eは5バンドEQ以外にRANGEとハーモニックエンハンサーがついています。
特にエンハンサーは音の質感を大きく変えられます。
高音弦を中心に音が明るくなり、軽い質感になります。
このエンハンサーはチャンネル単位でON/OFFを切り替えられます。
また、CH2がXLRに対応している点も良いですね。
2系統のピックアップを繋ぐ以外にマイクを繋ぐこともできるのは大きいです。
XLR入力に対応することで、使える用途が大きく広がります。
ボリュームやEQもチャンネルごとに独立しているため、音作りの自由度も高いです。
僕も製品を触るまではソロギターなどギタリスト向けの製品と思っていましたが、弾き語りやボーカルギターでも重宝しますね。
チューナーや空間エフェクトはない
EDB-2 H.Eは原音に忠実な音を低ノイズでPAに送るタイプのプリアンプです。
そのため、空間系のエフェクトやシミュレート系の機能はありません。
また、チューナーも内蔵していないので、シンプルなDI/プリアンプになっています。
なので、原音自体を大きく変化させたい場合はL.R.BaggsのVOICEPRINT D.I.などを検討しましょう。
逆に原音を基に音を整えるのが目的なら、EDB-2 H.Eは最適なプリアンプです。
調整できる機能も豊富ですし、2系統の入出力が用意されているタイプは貴重です。
また、マイクスタンドに取付できるため、操作もしやすいです。
エフェクトやチューナーが必要になったら、FX LOOPに繋いで足すこともできます。
出音の良いエレアコを持っている人はEDB-2 H.Eのようなプリアンプを1台持っておくと便利です。
EDM-1 H.Eとの比較
最後は下位モデルのEDM-1 H.Eとの比較です。
おそらく、弾き語りやシンガーソングライターの方はどっちにすべきか悩むと思うので違いを解説します。
まず、弾き語りなら、ほとんどの方がEDM-1 H.Eで十分です。
入力・出力ともに1系統で足りますし、調整機能も十分備わっています。
弾き語り系の方でEDB-2 H.Eを選ぶべきなのは、下記3パターンのどれかに該当する人ですね。
- 2系統のピックアップを付けている
- ライブ中にギターを持ちかえる
- 配信や路上などで小型ミキサー代わりに使いたい
①はギターに2つのピックアップを載せて、2系統出す場合です。
その場合、プリアンプの入力も2系統必要なので、EDB-2 H.Eにしたほうが良いです。
弾き語りだとピックアップ2つ載せる人は少ないですが、最近はたまにやっている人を見ます。
また、ライブ中にギターを2本使い分ける人も入力が2系統あるEDB-2 H.Eが良いですね。
EDB-2 H.Eなら両方とも繋いでおいて、使わないほうだけミュートできます。
こうすることで、いちいちギターシールドを繋ぎ替える必要がありません。
3パターン目はプリアンプ兼小型ミキサーが欲しい人です。
EDB-2 H.Eは入力が2系統あり、片方はXLR入力に対応し、AUXまであります。
操作系統もちゃんと分かれているため、小型ミキサー的な役割も果たせます。
そのため、路上ライブや配信などで小型ミキサーとして使いたい人にも適しています。
逆にここまでの使用パターンに該当しない方はEDM-1 H.Eで良いと思います。
EDM-1 H.Eも入出力が1系統になるだけで、他のことは一通りこなせる仕様になっています。
Headway Music Audio EDB-2 H.E まとめ
- 2系統の入出力に対応できるアコースティック楽器用プリアンプ
- EQなどもチャンネルごとに独立している
- 弾き語りの小型ミキサーとしても使える
ぎたすけ
たけしゃん
EDB-2 H.Eのレビューでした!
弾き語りだとややオーバースペック気味ですが、配信などにも活用できる非常に便利なアイテムです。
アコギで活動する人なら、持っておいて損はないタイプの製品ですね。
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