ぎたすけ
たけしゃん
飛ばし読みガイド
読みたい場所をクリック!
ZOOM AC-2 ACOUSTIC CREATOR
ZOOMのアコギ用プリアンプ AC-2。
小さいボディに様々な機能を詰め込んだ、マルチエフェクターです。
ここ数年のアコースティックライブでは、AC-2を使っている人を見ることが増えました。
L.R.Baggs Para Acoustic D.I.と並んで、アコギ用プリアンプ定番製品になっているイメージです。
Para Acoustic D.I.は原音に忠実に音を整え、増幅する守りのプリアンプという感じ。
対して、AC-2はリバーブやシミュレートした音を混ぜられたり…と音作りを積極的にできる攻めのプリアンプというイメージです。
まずはその多機能なAC-2の機能・仕様を解説していきます。
機能・仕様を飛ばしてレビューを読みたい方は<ZOOM AC-2をレビュー>を参照ください。
AC-2の機能・仕様 目次
DI機能
アコギ用プリアンプでは定番のDI機能が搭載されています。
DIとは主に下記2つの機能を実現するもの。
- インピーダンスを変換する
- アンバランス接続をバランス接続に変換
ライブハウスやスタジオの音響機器とエレアコ接続する際に音が劣化しないよう、状態を合わせるような意味合いです。
AC-2のボディ横にTSフォン(アンバランス)でエレアコを接続します。
エレアコからミキサー(卓)につなげる際は距離が離れることが多いのでノイズに強い、バランス接続するのが一般的。
そのため、AC-2の上部にXLR出力端子(バランス)が用意されています。
XLR端子の横には調整用にPREとGROUNDボタンがあります。
説明書記載の効果は以下の通り。
PRE
- 凸…AC-2で処理される前に音が出力
- 凹…AC-2で処理された後に音が出力
実際に動作させてみたら、凸の場合は出力音にAC-2のエフェクトやボリュームが一切反映されませんでした。
AC-2のDI機能だけ使いたいときは凸にしましょう。
GROUND
- 凸…グランドピンがグランド設置した状態
- 凹…グランドピンがグランドから切り離される
GROUNDはノイズが発生している際に原因がグランドループの場合はボタンを押し込むとノイズが解消されます。
基本はどちらも初期状態で良いですが、音がしっくりこない場合やノイズが出る場合に使用して比べてみると良いでしょう。
エフェクト
- EQ(イコライザー)
- リバーブ
- ブースター
上記3つのエフェクトが内蔵されています。
エントリーモデルでリバーブがあるのは珍しいかも。
EQ(イコライザー)
AC-2のEQは低音・中音・高音の3バンドタイプ。
調整幅が何dbかまでは書いてないですが、使ってみた感じは幅はそれなりなので問題なさそうです。
アコギだと低音が回りすぎないように調整することが多いですが、そのあたりも回してみた感じ十分機能しそうです。
リバーブ
音に反響音を加えるエフェクトのリバーブ。
ツマミを回すだけで簡単にリバーブをかけることが可能です。
弾き語りの場合はかけすぎると浮くので、9時くらいの角度でいいかなと感じました。
ソロギターの人はしっとり系の曲ではガッツリいっちゃっても良いですね。
ブースター
ブースターは音量を一時的に持ち上げるのに使います。
ツマミでブーストONにした場合に持ち上げる音量を決めます。最大で9db持ち上がります。
ブーストのON/OFFはフットペダルで行います。
ONの状態だとフットペダル斜め上のランプが点灯します。
あんまり弾き語りで使うことないですが、バンドやアコースティックユニットで間奏のギターソロ取るときなどに使えます。
あと、アルペジオのストロークとの音量差を詰めるのにも使えます。
ただ、アコギだとピッキングの強さとかで調整したほうが自然で良いケースが多いですね。
僕は主にギターソロを弾く時だけ使ってます。
チューナー
ZOOM AC-2にはチューナー機能が内蔵されています。
しかも、結構多機能です。
まず、チューナーモードにするには左のフットペダルを踏みます。
フットペダル右斜め上のランプが点灯するとチューナーモードに切り替わります。
チューナーモードでは音が出力されません。
MCしながらチューニングするのに最適ですね。
チューナーは音を鳴らすと近しい音階が点灯し、メーターにピッチの状態が表示されます。
メーターが真ん中になるように合わせましょう。
なお、AC-2は周波数調整できます。
左のフットペダルを押しながら、本体の電源をONにするとANTI F.Bボタンで周波数変更できます。
アンチフィードバックボタンを押すとメーターの点灯位置が変わるので、好み周波数に合わせます。
ちなみにメーター位置と周波数一覧はこちら。
※取扱説明書より引用
周波数を決めたら、もう一度左のフットペダルを踏むと確定されます。
なお、アンチフィードバックボタンは通常時はフィードバック対策のボタンです。
押すと自動でハウリングの原因になっている周波数を検出し、カットしてくれます。
もう一度押すとアンチフィードバック機能がOFFになります。
アコースティック・リモデリング
ZOOM AC-2の目玉機能がアコースティック・リモデリングです。
ギターのタイプに合わせて、シミュレートしたボディ鳴りを加えてピックアップでもアコギらしい音にする機能です。
ピエゾやマグネットだと、どうしても箱鳴り感なくなっちゃいますからね。
だから、最近だと内蔵マイクと組み合わせたデュアルピックアップが人気なわけですが、エフェクトで箱鳴り感足せるならいいですよね。
シミュレートされた音は16種類。
※取扱説明書より引用
実際に音がどんな感じに変わるかは<ZOOM AC-2をレビュー>で音源付きで解説していきます。
また、接続するピックアップがピエゾかマグネットかで動作が変わるようになっており、切り替えがついています。
中々に細かいところまで調整されるんですね。
確かに言われてみればピエゾかマグネットかで音が全然違いますしね。
電源は3種類
AC-2は3種類の電源を選択できます。
- 単三電池 ×2
- USBバスパワー
- ACアダプタ(付属品)
単三電池は本体裏面に入れる場所があります。
最大で約3時間まで連続駆動します。
3時間だと長いステージだとリハの時間も含めると、ちょっと不安ではありますね。
続いて、2つ目の選択肢はUSBバスパワー。本体側面に挿すところがあります。
PCに繋ぐ以外にモバイルバッテリーやUSBコンセントでも駆動します。
自宅の作業スペースで空きのコンセントがないときとか便利かも。
最後は付属のACアダプタです。
最近別売りが多いので、ありがたいですね。
接続場所は本体上部にあります。
ちなみにACアダプタの挿し口の横に電源スイッチがあります。
電池駆動が連続駆動時間が約3時間と微妙なところなので、ライブではACアダプタを推奨します。
ZOOM AC-2をレビュー
それでは、ZOOM AC-2をレビューしていきます。
レビュー内容を箇条書きでまとめると、以下の通り。
- ノイズは少なく出音は良い感じ
- アクティブの場合は内蔵プリの音量調整をするべし
- アコースティックリモデリングは良い感じに音変わる
- 飛び道具的なエフェクトも欲しい人はAC-3へ
最初、パラアコに比べてサーというノイズが目立っていたのですが、ZOOMの方にアドバイスいただき内蔵プリアンプの音量を上げて調整したらキレイな出音になりました。
詳しくはレビュー内で解説します。
その結果、ノイズも少なくアコースティックリモデリング機能も良い感じに動作してくれて良好です。
GibsonやMartinのエレアコなどインブリッジピエゾに対しては非常に有効なので、1台持っておくとよさげです。
レビューの目次
音質はキレイで良好
ZOOM AC-2の出音はノイズも少なく、キレイに出力されます。
ピックアップ内蔵プリアンプ、AC-2、パラアコの3機種で音を比較してみましょう。
ピックアップ内蔵プリアンプ
AC-2
パラアコ
AC-2はアコースティック・リモデリング機能も効いていて、良い感じの出音ですよね。
ただ、1点だけ注意があってアクティブピックアップを使ってる場合は下記の要領で調整する必要があります。
- アクティブピックアップ側の音量を極力上げる
- 不足分をAC-2や接続先のアンプ・オーディオインターフェイスで上げる
アクティブピックアップ側の音量が小さい状態でAC-2やその先の機器で音量をグッと上げると、サーっというノイズが載ります。
内蔵プリの音量小さめでAC-2で音量を上げた
内蔵プリの音量を上げてからAC-2で調整
この通りでピックアップ側で調整できる範囲は調整して、不足分をAC-2で上げればサーっというノイズが出ずにキレイに出力されています。
たけしゃん
勉強不足ですみません…
アクティブでゲインを低くすると出力音の残留ノイズの割合が高くなって、そのあとの機器で音量をグッと上げると残留ノイズまで増幅されてしまうからのようです。
特にL.R.Baggs AnthemやTaylorのピックアップは初期値のGAINが低いっぽいので、内蔵プリのVolを結構上げたほうが良さげです。
僕の環境だと内蔵プリの音量を8~9割くらいまで上げて、そのあとにAC-2で調整するとノイズも少なく良い感じでした。
エフェクトはまあまあ
EQとリバーブは効きはまあまあです。
EQについてはやっぱり、もう1バンド欲しいかなぁとは感じますね。
リバーブについてはかかり具合はこんな感じです。
リバーブをかけた音
汎用的に使える感じの音ですね。
リバーブの種類を使い分けたい人はAC-3まで頑張りましょう。
※AC-3は3種類のリバーブや空間系エフェクトがある
AC-2のエフェクトはよく使うものを絞って入れた感じで、AC-3は使い分けも踏まえて色んなエフェクトが入っています。
アコースティック・リモデリングは良い感じ
ピックアップで失われたボディ鳴りを追加してくれる、アコースティックリモデリング。
実際にピエゾピックアップのTaylor 814ceを使って、どんな感じの変化があるのか聞き比べてみましょう。
まずは普通にピエゾの音。
リモデリングなし
続いて、814ce(シングルカッタウェイ)のボディ鳴りをリモデリングで加えた音です。
シングルカッタウェイ
ボディ鳴りが加わって、ピエゾ臭さがやや解消されていますね。
ちなみにリモデリングをOFFにして、デュアルピックアップ(Anthem)で録った場合はこんな感じ。
デュアルピックアップ
本当にマイクで録ったデュアルの音と、リモデリングの音ではさすがに違いはありますね。
とはいえ、リモデリングで作った音はバンドも埋もれなそうだし、刺々しさはやや抜けて万能に使えそうな音ではあります。
一応、おまけで814ceをシングルカッタウェイ以外のボディ鳴りで録った音も載せておきます。
どれも微妙に鳴り方が変わってます。また、一部の特殊ギターは大きく鳴り方が変わります。
ドレッドノート
ラウンドショルダー
スクエアショルダー
ジャンボ
パーラー
リゾネーター
アップライトベース
モルド(OVATION)
ナイロンギター
12弦ギター
サイレントギター
YAMAHA LLシリーズ
00
000
AC-2とAC-3の違い
AC-2 | AC-3 | |
ソースギター種類 | 16 | 16 |
ターゲットギター種類 | – | 15 |
リバーブ種類 | 1 | 3 |
コンプレッサー | – | 〇 |
空間系エフェクト | – | 9 |
3バンドEQ | 〇 | 〇 |
ブースター | 〇 | 〇 |
XLR出力 | 1 | 2 |
フォーン出力 | 2 | 2 |
実売価格 | 1.7万円 | 2.7万円 |
ZOOM AC-2はアコギでよく使う機能に絞って、詰め込んでる機種です。
なので、音を作りこめるものの作りこむというよりは整えるという表現のほうが近い感じはします。
弾き語りをやる分にはナチュラルな音作りのほうが合うことが多いので、AC-2の機能で必要十分です。
AC-3はエフェクト類が一気に増えているうえにリモデリングに有名ギターをシミュレートする機能が追加されています。
ソロギターをやる方はAC-3まで頑張ったほうが良い気はしますね。
弾き語りだとAC-3まで必要になる人はほとんどいないと思うので、このへんは上手いこと需要が分かれてます。
AC-3
デュアルよりはピエゾ・マグネット向き
やはり、AC-2はボディ鳴り足せるのが強みなのでピエゾやマグネットが合ってます。
マイクとのデュアルだとアコースティックリモデリング機能はいらないんですけど、リモデリングだけOFFにはできない仕様なんですよね。
INPUTも1つしかないので、パラ出しのデュアルも対応できないです。
ピエゾもしくはマグネットのシングルピックアップ向けと割り切ってしまったほうが良いです。
なので、AC-2はGibson、Martinなどピエゾピックアップのエレアコ使ってる人向けです。
AC-2のリモデリングでピエゾの刺々しさが和らぐので、弾き語りやアコギが目立つステージでは効果は高いです。
パラアコとAC-2の比較
同価格帯で悩むのがパラアコとAC-2の2台。
両方使ってみた感じだと、結構わかりやすく分かれてます。
シンプルに原音をノイズ少なく音量持ち上げて、整えるならパラアコ。
ピエゾやマグネットの尖った部分を和らげたいならAC-2です。
AC-2
パラアコ
あと操作系がAC-2はオートマでパラアコはマニュアル的な感じです。
AC-2のほうが適当にツマミ回していい感じになりますが、細かい独自調整はできません。
パラアコは細かい独自調整できますが、その分ちゃんと調整が必要です。
なので、そこから僕なりの結論をまとめると
- 原音そのまま音を持ち上げて整えたいならパラアコ
- ピックアップ原音自体を変えたいならAC-2
上記の内容を踏まえて、どちらか選択すれば外れることはないかなと感じます。
AC-2
パラアコ
ZOOM AC-2 まとめ
- アコギでよく使う機能・エフェクトをまとめたアコギ用プリアンプ
- ボディ鳴りを加えるアコースティック・リモデリング機能が良い感じ
- AC-2はオートマ、パラアコはマニュアルのプリアンプという感じ
ぎたすけ
たけしゃん
ZOOM AC-2のレビューでした。
操作方法が手軽でアコースティックリモデリング機能はなかなかいい感じでしたね。
弾き語りやりつつ、人の伴奏もこなすタイプの人が一番合いそうな機種ですね。
僕もそのタイプなので、弾き語りから伴奏までAC-2 1台でこなせて便利だなと感じました。
関連記事
おすすめのアコギ用プリアンプ ベスト10をランキング形式で解説【プロアーティスト使用プリアンプも紹介】
アコギ用プリアンプ おすすめランキング ベスト5。エレアコに適した選び方や機能を徹底解説!よく読まれている記事
初心者が覚えるべき ギターコード 10個を練習用の譜例付きで解説
男性の音域を平均・低め・高めの3種類で解説。音域チェックできる音源付き
コンデンサーマイク おすすめランキングベスト10【2024年版】 〜プロアーティスト使用マイクも紹介〜
初心者向けアコースティックギター おすすめ6選。購入するギターの選び方を107名のアンケート調査付きで解説
ギターのストロークパターンを練習しよう。弾き語りでよく使う譜例 10パターンで解説
ギターのカポタストでキー変更するための上げ方、下げ方を役立つ早見表と合わせて解説
ギター初心者も弾ける簡単な曲 おすすめ50選。練習時のポイント解説付き
SYNCROOM(シンクルーム)の使い方、設定、遅延対策を解説。無料で自宅セッションを楽しもう!
アコギ メーカー11社を解説。ブランドごとの特徴やおすすめのギターを紹介
女性の音域を平均・低め・高めの3種類で解説。参考アーティストも合わせて紹介