評価:4
ぎたすけ
たけしゃん
シミュレート前の原音
シミュレート機能を使った音
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VOICEPRINT DIの特徴
2021年2月に国内販売を開始したL.R.Baggsの新製品 VOICEPRINT DI。
iPhone用の専用アプリを介して、iPhoneの内蔵マイクで録ったアコギの音を基にプリセットトーンを作成してピックアップに反映させる製品です。
作ったプリセットはアプリを介して本体に保存されるので、演奏時はエフェクター本体だけで動作します。
本体左右にはギターシールドを繋ぐための接続口があります。
接続するピックアップはアクティブ、パッシブタイプのどちらでも大丈夫です。
L.R.BaggsらしくD.I機能も兼ね備えており、XLRアウトの端子もついています。
センド&リターンもついているので、他のエフェクターをセンド&リターンで接続することも可能です。
D.I機能もあって、アンチフィードバックなどもついているのでプリアンプとしても使えます。
普通に弾き語りライブで使うなら、アコギ用のプリアンプ&エフェクターはVOICEPRINT DI 1台で済みそうな感じですね。
色々試した感じはボイスプリントデータの作成とEQの設定以外は本体操作だけで対応できました。
本体の電源は付属のACアダプタで取ります。
接続口は本体右側にあります。
電源が入るとディスプレイに赤文字が表示されます。
電池では駆動しないので注意しましょう。
続いて、本体のツマミやペダルの機能、実際のボイスプリントデータ作成までの流れを解説していきます。
本体機能や使い方の話は飛ばして、実際の音質比較などを読みたい方は<VOICEPRINT DIのレビュー>を参照ください。
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VOICEPRINT DIの本体機能
VOICEPRINTはiPhoneとの連携が目玉機能ですが、本体だけでもかなり多機能です。
iPhoneの専用アプリでフルコントロール可能なので、基本は専用アプリで調整したほうが楽ですが本体操作も一通り理解しておくと本体だけの環境で苦労しませんね。
まずは本体上部にある各ツマミの機能です。
本体だけでも一通りの操作はできるようになっています。
アンチフィードバックは回すとアンチフィードバック機能が働き、長押しすると位相が反転します。
PADの切替はボタンを押すごとに0db、-3db、-6db、-9dbと変わっていきます。
ディスプレイ側に今の状態が表示されるので、設定しやすいですね。
続いてはペダル機能です。ペダルはいたってシンプルでミュートとプリセット切替の2つです。
プリセットの切替はペダルを1回押すごとに次のプリセットに移行する仕様です。
なお、チューナー機能はついていませんので、別途用意しましょう。
ボイスプリントデータの作成
さて、VOICEPRINTの目玉機能であるiPhoneと連携した音のシミュレーション機能についてです。
まず対応機種はiPhone6以降のiOS端末です。
まずはApple Storeから専用アプリをインストールしましょう。
LR Baggs AcousticLive
L.R. Baggs Corp.無料posted withアプリーチ
アプリをインストールしたら、VOICEPRINTの電源をONにします。
また、iPhoneとはBluetooth接続になるので、iPhone側のBluetoothをONにしてアプリを立ち上げましょう。
アプリを立ち上げると近くのVOICEPRINTをスキャンしはじめます。
見つかったら、そのまま「ADD PEDAL」をタップしてペアリングを開始します。
すると英語で本体の左から2番目のボタンを長押しして、4桁のパスコードを見るように画面指示が出ます。
4桁のパスコードが出たら、アプリ側に戻ってパスコードを入力するとペアリングが完了します。
ちなみに僕の環境だとBluetoothの検知がされにくいときがちょこちょこありました。
スキャンしなかったり、ペアリングしない場合はiOS側のBluetooth設定がちゃんとしているか確認しましょう。
それでも成功しない場合はiPhone、VOICEPRINTを再起動したり、時間を空けて再度チャレンジしてみましょう。
ペアリングが成功したら、下記の画面になります。
「CRATE NEW VOICEPRINT」から早速、ボイスプリントを作成していきましょう。
なお、ボイスプリント作成にはエレアコとVOICEPRINT本体を接続する必要があります。
エレアコに接続したギターシールドを本体右側のジャックに差し込みましょう。
ボイスプリントはピックアップの音とiPhone内蔵マイクの音をブレンドして作られるので、エレアコと接続していないと適正なトーンが得られません。
たけしゃん
さて、エレアコを繋いでボイスプリント作成画面に進むと、まずはチュートリアル画面が流れます。
ぎたすけ
たけしゃん
最初の画面ではiPhoneの設置位置調整と音量調整を行います。
「input pad」のパラメーターでiPhone内蔵マイクの音量を下げることができます。
僕は特に下げる必要はなかったです。
調整が終わったら「CREATE VOICEPRINT」をタップして進みましょう。
ボイスプリントの作成モードがデフォルトとアドバンスの2つから選べます。
デフォルトは音の録り方が指定されていて、アドバンスは自由に弾いて音を選択できるモードっぽいです。
チュートリアルを見た感じだとエレアコ以外のアコギや他の弦楽器を録るのにつかわれてる感じでしたね。
エレアコで普通に録る分にはDEFAULTをタップしましょう。
続いては、実際のアコギの音を録っていきます。
これが、結構ちゃんとした段取りになっていて4工程に分かれています。
チュートリアル動画を参考にボディを叩く音を録ります。START STEP1をタップすると録音開始です。
録音はやり直しもできるので安心してください。
続いてはストローク音を録音します。色んなフレットで弾いた方がいいっぽいです。
その次はアルペジオを録ります。アルペジオも色んなフレット位置で演奏した方がいいみたいです。
最後は最低音から最高音まで好きなスケールを録ります。色んなスケールで試してみましたが、普通にドレミファソラシドで問題なかったです。
完成したボイスプリントをON・OFFして音の違いを確認できます。オーディオインターフェイスやギターアンプに繋いで音を出して確認しましょう。
VOICEPRINT本体ディスプレイに表示される4文字(アルファベットのみ)とアプリ内で表示されるプリセットの名前や説明文を入力して作成したプリセットを保存します。
以上でボイスプリントのプリセット作成は終了です。
作成したプリセットはアプリを介してEQ、原音とのミックス割合、アンチフィードバックなどの調整が可能です。
なお、EQの調整以外はVOICEPRINT本体のツマミでも調整可能です。
EQはアプリ経由のみのコントロールになりますが、代わりにかなり細かく調整できます。
プリセットが用意されており、ボタン1つでそれなりに調整できるのもいいですね。
プリセットでは微妙という人はCUSTOM EQで細かく調整できるようになってます。
EQのグラフィック画面のカラフルな◯をタップしてパラメーターをいじるだけなので感覚的に調整できます。
普段、DAWでEQ調整している人には分かりやすい作りです。
なお、プリセットは99個まで保存できるため保存数で困ることはありません。
またアプリ側にはプリセット名の他に説明文も入力できるようになっているので、プリセット整理もだいぶしやすくなってます。
多機能でアプリ内の操作説明や動画の説明は全て英語ではありますが、国内正規代理店のJES International, Incが日本語の取扱説明書を用意してくれています。
VOICEPRINT DIをレビュー
それでは、VOICEPRINT DIを細かくレビューしていきます。
はじめに箇条書きでざっくりとレビュー内容をまとめたものがこちら。
- シミュレートされた感じの音だが、かなり強力に音質が変わる
- LINE録りより、アンプやスピーカーで出力したときに良い感じ
- EQはかなり細かくて使いやすい
- Bluetoothが反応しないときもあった
さすがにマイク録りのような音にはならないですが、ピエゾ臭さはほぼなくなります。
特にアンプやスピーカーで出力した出音はナチュラルで抜けも良くて良いですね。
レビューでは実際に録った音を並べて比較できるようにしましたので、参考にしてください。
レビューの目次
シミュレートされた音にガッツリ変わる
L .R .Baggs Anthemを搭載したGibson J-45で色々と試してみました。
まずはAnthemだけの音、VOICEPRINT DIを通した音、コンデンサーマイクで録った音を比べてみましょう。
Anthemの音
VOICEPRINTを通した音
コンデンサーマイクで録った音
いかがでしょうか。
流石にコンデンサーマイクで録った音は生感もあって抜群ですが、Anthem単体に比べるとVOICEPRINTはピエゾっぽさがなくなって聴きやすい音になってますね。
一方でVOICEPRINTの音は明らかに補正・調整された感じの音なので、好き嫌いはありそうかな〜とも感じました。
続いて、ZOOMのエフェクターでシミュレート機能を使って録ったピックアップの音とも比較してみましょう。
ZOOM AC-2を借りてた時にTaylor 814ce(FISHMANのピエゾ)で録った音と、同ギターでVOICEPRINT DIを通した録った音の比較です。
ピックアップの音
ZOOM AC-2
VOICEPRINT DI
聴き比べてみると、VOICEPRINT DI側はピエゾ臭さが見事に無くなってますね。
というか、全然違う音になってます。
他社製品と比べても、かなり強力に音が変化しています。
あとはこのシミュレートされた音が好きかどうかってところですね。
僕はピエゾの原音よりは遥かに好きなので、すごく良いなと思いました。
アンプやスピーカーを通した方が良い感じ
※THR30ⅡA Wireless
前述の比較音源ではVOICEPRINT DIからLINEでオーディオインターフェイスに送ってますが、やっぱりマイク録りとの差はそれなりに大きく感じます。
一方でスタジオなどでアンプやスピーカーから大きい音を出す場合はVOICEPRINT DIの出音は抜けもいいし、ハウリングもしないのでかなり良い感じなんですよね。
なので、自宅からのライブ配信などで使うよりはスタジオやライブハウスなどで大きい音を出すときにこそ本領発揮する製品ですね。
自宅からの配信でピエゾの音をなんとかしたい…という要望にも対応はしますが、静かな環境ではマイク録りには勝てないので理想は環境によってマイクと使い分ける感じかなと思いました。
EQはかなり細かくて使いやすい
VOICEPRINT DIのEQは効き方も良好で、かなり細かく調整可能です。
普通はエフェクター内蔵のEQは3〜5バンドで本体ツマミで調整するタイプですが、VOICEPRINT DIはアプリのみでの対応にしたことで調整の自由度が大分広がってます。
小型エフェクター内蔵なのにハイパス、ローパスが使えたり、EQの効かせる帯域もピンポイントで絞れたりするのはソフトウェア動作に絞ったからこその強みな感じはしますね。
プリセットで呼び出しも可能なので、何種類か攻めた音を事前に作っておいて使い分けも可能です。
アプリのUIも使いやすいので、EQやアンチフィードバックなどボイスプリント機能を除いても純粋に優秀なDI・プリアンプですね。
ライブ時は本体操作をメインにしよう
3週間ほどお借りして使っていたのですが、Bluetoothが繋がらない時は繋がらないです。
基本的には一度ペアリングに成功すれば、瞬時に繋がるのですがダメなときはダメなんですよね。
本体再起動しても、アプリからプロファイル消してスキャンし直しても認識されなかったり。
ただ、時間を置くと普通に解決します。
ライブ本番でBluetoothを使ってスマホからコントロールする際は保険で、本体操作でも対応できるように操作方法は覚えておきましょう。
幸い、本体操作は簡単ですし、ディスプレイもついているので普通のコンパクトエフェクターよりは楽です。
まあ、ライブ本番で演者がEQ調整するのはあんまりないと思うので、本体操作だけで困ることはないはず。
当日、Bluetoothが繋がらなくて焦ることがないよう準備は余裕を持ってやりましょう。
細かくレビューしてきましたが、VOICEPRINT DIの強みはこの2つ!
- ボイスプリントによる音の変化が強力!ピエゾ臭さはほぼなくなる
- EQがアプリでしか操作できない分、非常に細かく多機能
弱いところはやっぱ、価格ですかね…(笑)。
実売価格で5.5万円程度します。流石にこれだけの機能となると、2〜3万円じゃ買えないですね。
とはいえ、マイクを使わずにこれだけナチュラルな音を出すのは困難ですから、エレアコでのライブが多い人は5万出す価値は十分ありますよ。
L.R.Baggs VOICEPRINT DI まとめ
- VOICEPRINT DIはiPhone内蔵マイクで録音した音を基にシミュレートした音を出せるエフェクター
- シミュレートされた音は強力でピックアップのピエゾ臭さをほぼ完全に無くしてくれる
- EQやアンチフィードバック機能も優秀でDI・プリアンプとしても良い
ぎたすけ
たけしゃん
VOICEPRINT DIのレビューでした。
スマホの高度な処理能力を活かすというおもしろアイデアが搭載されたL.R.Baggsの新製品です。
アコギの生音をシミュレートできるプリアンプはこれまでもありましたが、L.R.Baggsってあまり出してなかったと思うんですよね。
どっちかというと原音に忠実にブラッシュアップする感じの製品が中心というイメージ。
満を辞して投入してきた製品なのもあって、やっぱりすごかったですね!
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