ぎたすけ
たけしゃん
心にグッとくる演奏をするには何が違うのか?
その理由の1つは「曲のストーリーを表現できている演奏か?」です。
高い技術を用いた演奏は素晴らしいですが、そこにストーリーがないと人を感動させることはできません。
本記事では既存曲をカバーする際の曲のストーリー・演奏構成について解説をしていきます。
弾き語りが一通りできるようになったけど、感動させられる演奏ができないと悩んでいる人は本記事の内容で壁を超えられるかもしれません。
ポイントをしっかり抑えていきましょう。
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曲のストーリーを理解する
ぎたすけ
たけしゃん
曲のストーリーとは、その曲を通して感じられる世界観や物語のこと。
5分間の短い中で歌詞を通して作り手の主張であったり、とある情景の描写がされています。
そして、その世界観をメロディや伴奏が際立たせるように三位一体で展開を作っています。
コブクロの蕾ですが、定番の手法でストーリー作りされています。
- Aメロからサビに向けて徐々に盛り上がる
- 2番サビから間奏にかけて盛り上がりは加速
- 間奏後のサビで急速にダウン(落ちサビ)
- 落ちサビから急速に盛り上がり、最高潮に達する
定番の落ちサビを使った展開作りですね。
「消えそうに咲きそうな蕾が今年も僕を待ってる」という歌詞は1番と3番で一緒。
ですが、最後のサビに向けて丁寧に作られたストーリーから、1番と3番で違う歌詞のように感じてきます。
また、最後のサビではメロディも呼応するかのようにフェイクが入って、最高音に達することで盛り上がり感が更にアップしています。
ライブで聴くと最後のサビに突入した瞬間、鳥肌が立つ人も多いはず。
このように歌詞・メロディ・伴奏が三位一体で最後のサビが最高潮になるように上がり下がりを繰り返しながら、ストーリー作りをしています。
そして、曲のストーリー作りがされていると一気に感情を揺さぶる演奏になります。
弾き語りでストーリー作りを考える
弾き語りで曲のストーリーを作るのは難しいです。
バンドであれば各楽器のイン・アウトで盛り上がりを調整できますが、弾き語りだとそうはいきません。
色んな展開を作れるように引き出しを多く持つことが重要。
- アルペジオ⇒ストローク
- 白玉弾き
- ブリッジミュート
- 歌と楽器の連携
このあたりは絶対に使えたほうが良いので解説していきます。
アルペジオ⇒ストローク
定番中の定番。
アルペジオとストロークを用いて音量差を出して展開を作ります。
よくあるパターンだと…。
- ずっとアルペジオで最後のサビだけストローク
- 間奏後にアルペジオ(落ちサビ)を設けて、ストロークへ移行
こんなところ。
具体的な例を出すと…。
秦基博さんの「新しい歌」。
- 2番サビ~間奏で盛り上がる
- アルペジオによる落ちサビ
- 再度、急速に盛り上げて最後のサビに突入。
弾き語りverでも基本は一緒です。
弾き語りでは音数が少ないので上記の展開を意識して、より一層温度差をつける必要があります。
2番サビ~間奏は力強く盛り上げて、落ちサビでは一気に落とす。そして、そこから一気に最高潮まで上げる。
間奏⇒落ちサビの落差があればあるほど、落ちサビからの盛り上がりが活きてきます。
白玉弾き
何てことはない、じゃら~んと弾くだけです。
全音符が白なので、白玉と呼ばれています。他の音符は黒い「♪」。
使い道は色々ありますが、良く使われるポイントは下記の3点。
- 1番のAメロ
- 2番のAメロ
- 落ちサビ
盛り上がり前の布石で使うことが多い。
また、1番のサビ~間奏で盛り上がったところを一気に冷やす場合に2番Aメロで使われるパターンもよくある。
1番のAメロでの白玉弾きはバラードにおけるピアノ…という印象が強い。
ブリッジミュート
またまた、秦基博さんで「ダイアローグ・モノローグ」。
この曲のイントロ~Aメロ~Bメロで登場している「ドッドッドッド」って音がブリッジミュート。
良く使われるポイントは下記の3点。
- Aメロだけブリッジミュート
- A・Bメロをブリッジミュート
- 大サビでブリッジミュート
- 2番のAメロで急にブリッジミュート
よくあるのはサビで一気に開放感を出すためにA・Bメロはブリッジミュートで抑えるというパターンですね。
大サビをブリッジミュートにして最後のサビへの助走にするパターンもあります。
参考ギタースコア
歌と楽器の連携
最後は歌とギターの連携。
弾き語りは歌と楽器(ギターかピアノ)しかありません。
よって、盛り上げるところも落とすところも連携して作るのが基本。
ありがちなのが落ちサビでギターは落ちているけど、歌は大してボリューム落ちていないってパターン。
落差が足りずにグッときません。
小さな違いのようですが、聴いている側からすると感情を揺さぶれるかどうか決まるくらい大きいポイントです。
歌と楽器は連動してボリュームの上げ下げを行うようにしましょう。
連動しないのはアカペラになる時や、楽器だけになる間奏部分くらいです。
具体的に考えてみよう
ぎたすけ
たけしゃん
それでは具体的に1曲、お題を出します。
ストーリーを意識した構成作りを一緒に考えてみましょう。
秦基博さんの「僕らをつなぐもの」です。
デビュー初期の名曲バラードです。
この楽曲のストーリーを曲構成・歌詞を追って考えてみましょう。
全体の流れ
僕らをつなぐものは下記の構成で展開されていきます。
- イントロ
- 1番(Aメロ①、Aメロ②、サビ)
- 間奏
- 2番(Aメロ、サビ)
- 大サビ
- サビ①
- サビ②
- アウトロ
J-POPでよくある流れですね。全体で5分半くらいです。
アルペジオの課題曲としてもスタンダードで勉強になる楽曲なのでオススメです。
…で、歌詞を読むと下記ようなイメージが見えてきます。
- 男女二人が月明かりの帰り道を歩いている
- 始まりから終わりまでが30分くらいの時間軸
- 今の幸せが、いつか終わるんじゃないか?という漠然とした不安
秦基博さんが自身の作詞を解説する「はたのもと」によると、この楽曲は「10分・15分ぐらいの情景を1曲で表現する」…というテーマだったそうです。
1番、2番は男女二人が月明かりの帰り道を歩いている情景を表現しています。
漠然として不安は間接的表現で登場するものの、直接的には触れられていません。
雰囲気が変わるのは2番の最後。「幼い僕らのこの恋を照らしてよ」からです。
ここから、この曲のもう一つのテーマである「今の幸せが、いつか終わるんじゃないか?という漠然とした不安」が直接的に強く現れます。
なので、僕の考えるストーリー構成は「2番サビまで抑え気味にして大サビから徐々に盛り上げる」です。
更に盛り上げ方としては下記の2パターンが考えられる。
- 大サビから最後のサビに向けて徐々に上げていく
- 大サビの最後で上げ切って、落ちサビ⇒サビという構成にする
この2パターンについて解説していきます。
大サビから最後のサビに向けて徐々に上げていく
参考動画のパターンです。
二番サビ終わりから大サビ⇒サビ①と助走をつけてサビ②で最大に達するように調節します。
秦さんは基本的にこのパターンを採用しています。
このパターンで難しいのは段階的に上げていくところです。
大サビの終わりのフェイクで結構上がった状態になるため、展開をちゃんと意識していないとサビ①でピークに達してしまいがちです。
調節が難しい際の解決方法としては、サビ②のギターをストロークにすることです。
大サビの最後で上げ切って、落ちサビ⇒サビという構成にする
続いて落ちサビパターン。
大サビのフェイクで一度、上げ切ってしまい落としてサビ①に突入。サビ②で再度上げるという構成です。
ただ、曲中の最高音がサビ①にあるので、落ちサビが落ち切らずに微妙なんですよね。
バンドだと他の楽器がIN・OUTすることで落とせるのですが、弾き語りだと不向きに感じます。
ちなみにご本人は神奈川県民ホールのGreen Mind Vol.1で「秦さん + ピアノ + ストリングス」という構成で、この落ちサビパターンを採用しています。
落ちサビで秦さんオンリーになってサビ②でピアノとストリングが一気に盛り上げるため、凄くグッときました。
僕の中での「僕らのつなぐもの」ベストワンです。
シングル「朝が来る前に」の初回特典DVDに入っていますが、2018年5月2日にDVDとして発売されます。
気になる方は下記からどうぞ。
まとめ
- 既存曲を聴いてストーリー構成を勉強しよう
- 弾き語りはボーカルとギターしかないので連携して展開作りをするべし
- 色々と試行錯誤してみることが大事
ぎたすけ
たけしゃん
まずはプロの楽曲をストーリーを意識して聞いてみましょう。
ライブ音源だと良いですね。生のライブだと更に良し。
生のライブだとプロの演奏により楽曲のストーリーが際立って鳥肌が立ったり、涙を流したりすることがあるはず。
その時に何で、そう感じたのか?を自分なりに分析すると自分の演奏に繋がってきます。
また、既存の楽曲でストーリーや構成を考えるとオリジナルを作曲・編曲する時も役立ちます。
無意識に演奏している方は少しずつ意識して演奏してみましょう。
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