シンガーソングライターはやることが多いので自動化できることは自動化したほうがよい

「シンガーソングライターで活動する…といっても最近は覚えることが多い」

シンガーソングライターは色んな事を自前でこなす必要があります。

「ボーカル」「楽器演奏」「作曲」「作詞」などなど…。

多い人だと「絵」「小説」「芝居」など音楽以外のジャンルもやっていたりする。

最近ではマルチな能力やキャラクター性が求められるから表舞台に立つ人ってのは本当に大変だなぁ…と思います。

だからこそ、必要な部分でも自分がやるべきことかどうかはしっかり見極めたほうがよい。

下記の記事では自分で全てやるより、やってくれる人を探しましょう…という内容を書いています。

シンガーソングライターは音楽制作のサポートを見つけるのが大事

今回の記事はやってくれる人を探すのではなく自動化しちゃおうというお話。

巷で良く聞く自動化ツールをご紹介しつつ、シンガーソングライターに向いているのか?ってところも触れていきます。

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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自動化ツールについて

まず、自動化について。

一番わかりやすく、言うとAIに自動的にやってもらうってお話。

チャットBOTやアイスを自動で作ってくれる機械とか最近はニュースでも話題。

実は音楽のジャンルにおいても自動化って結構進んでいるのです。

特に音楽ではミックス・マスタリング…というジャンルは自動化の進化が目覚ましいです。

シンガーソングライターをやっていると「カバー動画」や「歌ってみた」系で質の良い動画を上げるのにミックス・マスタリングは欠かせません。

しかし、ミックス・マスタリングは奥が深く専門の技術者がいるレベルのジャンル。

僕らは作曲や演奏を専門的にやるのであって、できるなら質よく仕上げてくれる人に任せたい。

といっても、毎回頼んでいるとお金も足りない。

タダで引き受けてくれる人は質や納期がマチマチ。…と中々難しい問題です。

そこで自動化ツールの登場です。

ただし、シンガーソングライターに向いているものサービスばかりではない。

その点も触れながらメジャーどころのサービスを解説していきます。

LANDR

マスタリングを自動でかつ、格安にやってくれるサービス。

MEMO
マスタリングとは
各楽器の音質や音量バランスを整えた音源(ミックス完了後の音源)に対して、他の楽曲とのバランスを整える作業。

会員登録など使用前の登録をしてファイルをドラッグ&ドロップすると瞬時にマスタリングしてくれます。

マスタリングの時間は数分程度。

ちなみにシンガーソングライター同士で話していると「マスタリングって何?」ってなることが多いです。

というか、CD作ったりすればマスタリングって必ず通りますがYoutubeやニコニコ動画向けの音源作成だと単品制作だから「ミックス=マスタリング」ってなることが多い。

マスタリングはあくまでミックス後の作品を調整する作業です。

音圧は上がりますけど、各楽器のバランスを整えてくれたりはしないので注意しましょう。

また、各楽器のバランスがちゃんと整っていないと音圧も大して上がりませんので、その点も留意しましょう。

料金

基本の料金プラン。

ちなみにこちらは年払い契約の時の金額。

月額は下記の通り。

月額料金
  • ベーシック 600円
  • アドバンス 1,400円
  • プロ 3,900円

そこそこしますね。

しかも、WAV書き出し対応はプロだけ。

うーむ、絶妙に難しい。

YouTubeなどの動画サイト向け専用…と考えればベーシックで十分。

発売する音源に活用するつもりであれば、アドバンス以上が望ましい。

…けど、ベーシックで契約して販売する音源を作る時はちゃんと専門の人に予算かけて頼むのが無難な気はする。

所感

シンガーソングライターが使うには正直、微妙。

コンペに参加する職業作家さんみたいに、そこそこ仕上げたデモ曲を短期間に大量に作らないといけない人が向いています。

または「コバソロさん」みたいにコンスタントに高クオリティの動画を作ってあげる人は「ベーシックプラン」で契約するのはあり。

ただし、ミックス自体は自分でやれることが前提。

  • マスタリングを数分かつ低料金でやってくれる
  • アコースティックサウンドに向いた仕上がりだから相性は悪くない
  • youtubeなどに高音質な動画をコンスタントに上げる人はありかも

LANDR公式HPcheck

Neutron

続いてはDTM用のプラグイン。iZtopeのNeutron(ニュートロン)です。

2021/3現在の現行モデルはNeutron3。

こちらはLANDRと異なり、ミックスを自動でやってくれるプラグイン。

MEMO
ミックスとは
各楽器を音質・音量バランスなどを調節して1つの音源にする作業。

DTM業界ではミックスを自動化してくれる画期的なツールと発売当初から話題になった製品です。

注意が必要なのはNeutronがやってくれるのは「音質」の調整です。

各楽器との音量調節などはやってくれません。

プラグインを挿した音源に大して適切にEQ・コンプレッサーなど各種エフェクトをかけて聞きやすい音質に調節してくれます。

リバーブなども自動で掛けてはくれないので、空間系エフェクトも自分で調節する必要があります。

それでも、EQやコンプレッサーって適切に設定するのが凄く難しいので自動でやってくれると非常に助かる。

価格

こちらはプラグインなので、月額制ではなく買い切りです。

ただ、月額9.99$での分割払い方式もあるようです。こちら

分割しない場合だと3種類。

Neutron
  • Element…1.4万円程度
  • Standerd…2.5万円程度
  • Advanced…5万円程度

通常価格がこんなとことです。

最近は色んなセールがありすぎて価格変動が追いきれません。

各バージョンの違いはStanderdを基準に簡単に書くとこんなもん。

各バージョンの違い

  • Element…一部エフェクトが使えない。マスキング機能が使えない
  • Advanced…各エフェクトを個別に使える。7.1チャンネル対応

つまり、Standerdで良い。

Elementでも良い気がしなくもないけど、マスキング機能は結構便利なのでStanderdを推したい。

逆に各エフェクトを個別で使う場面をあまり想定できないのでAdvancedは必要ない。

所感

シンガーソングライターにも、まあまあおすすめできます!

歌ってみたなどのミックスでは結構良い感じ。自分がやってダメなパターンも解決してくれることもあります。

一方で弾き語りはあんまり機能しません。極端な調整になりがちで結局一からやってます。

僕は弾き語り音源のミックスではほぼ頼りにしていないので、弾き語りで使おうと思ってる人は期待しないほうが良いです。

  • ミックスの音質調整部分を自動でやってくれる
  • バンド音源は良い。弾き語りはあんまり使えない
  • CPU負荷が高いのでPCが貧弱だと止まりそう

Ozone

続いてはOzone。Neutronと同じくiZotopeの製品です。

Neutronはミックスの自動化でしたが、Ozoneはマスタリングの自動化です。

なので、ザックリ言うとLANDRのプラグイン版といった感じ。

マスターアシスタントという機能でマスタリングを自動で行ってくれます。

自動調整の項目としては「ストリーミング」「CD」「リファレンス」の3種類から選べます。

リファレンスは見本となる音源を参照して、音源に近い状態のマスタリングをしてくれる機能です。

試してみたけど、結構ちゃんと反映されます。すげー。

価格

Neutronと同じく基本は買い切り。同じように分割払いの選択もある。

買い切り時の金額や種類はNeutronと全く一緒。

Ozone 
  • Element…1.4万円程度
  • Standerd…2.5万円程度
  • Advanced…5万円程度

それぞれの違いも概ね一緒。

Elementは使用できるエフェクトが一部に限定されている。

Advancedは「トーナルバランスコントロール」と呼ばれる、いわゆるNeutronとの連携機能が使えるようになる。

こちらもStanderdでいいかなと感じます。

トーナルバランスコントロールでNeutronと連携してそれぞれのEQとか調整してくれるのは良い機能だけど、金額倍でそれだけかぁ…という印象。

LANDRと比べて、まとまったお金が必要となるのが痛いところ。

YouTubeとかの動画サイト向けや簡単なデモ制作ならNeutronとWavesのL3とか、その辺りのマキシマイザーを買って自分で調整すれば十分な気がしなくもない。

所感

あったら便利だけど、ここまで必要ないかも。

あったら、あったで間違いなく便利。自分でやれる領域も広がる。

特にリファレンス機能を活用して、自分の目指したい音源を参照させればよいから非常に便利。

でも、簡単な音源作るのにここまで揃える必要があるのか?ってところで悩みはじめちゃう。

それを言い出すとNeutronもそうなんですけどね。

そこそこ、自分でやるつもりならLANDRよりはOzoneをオススメします。

  • マスタリング作業を自動でやってくれる
  • リファレンス機能は参考音源に近づけてくれて便利
  • 音圧の上げ方はソフトなのでニコ動向けだと少し不便かも

Vocal Rider

最後はWavesのVocal Rider。

ボーカルトラック向けで音量を自動調節してくれるプラグインです。

ボーカルはダイナミクスが強いので、コンプレッサーをかけただけだと潰れすぎたりします。

それを防ぐために事前に「手コンプ」なる作業をするのですが、それを自動でやってくれるプラグインです。

MEMO
手コンプとは
オートメーション機能を使って大きいところだけフェーダーを下げて小さいところは上げて…と手動で調節すること。

画面の「Target」というところで作動する音量を設定すると、設定音量より小さい時はフェーダーを上げて、大きい時は下げて…と自動でやってくれます。

価格

定価は32,400円(税込)

だけど、セールをたくさんやっているので実売価格はその時々で変わります。

僕は買った時期は忘れたけど、90%OFFとかで3,000~4,000円くらいで買った気がします。

5,000円以内で買えることを考えると、物凄く便利なプラグインです。

3万だったら買わないな(笑)

所感

僕は毎回ボーカルに挿してます。5000円以内なら買ったほうが良い。

「歌ってみた」の動画作ると、コンプ系が一番面倒。

その作業効率を一気に上げてくれるのがVocal Rider。

設定の仕方とかで勉強しなきゃいけないことがそこそこあるものの、コツが掴めれば簡単。

手コンプを手探りでひたすらやっていた時代が懐かしい。

  • ボーカルのボリュームコントロールを自動でやってくれる
  • Vocal Riderで調節した後にコンプを挿すとよい
  • セール時に90%OFFとかになることがある

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悩むポイント

色々とサービスを書いたけど、シンガーソングライターが悩みそうなポイントについて。

やっぱり、スピード感を持ちつつ質をどこまで保てるかってバランスに尽きます。

どこまで頑張るか

一番悩むのはどこまで頑張るか。

建前としては、突き詰めろって話なんですけど費用対効果が最悪です。

例えば、動画で言うと「Goose house」とかは音質や画質なんて大して拘っていないわけです。

壊れかけのRADIO/徳永英明(Cover)

ミックスやらマスタリングなんてしてないと思う。

たぶん、ビデオカメラ置いて一発録り。

それで、この出来。脱帽である。

といっても、やれることはやったほうが良い。

品質とスピードの妥協点を見つけて、これまでに紹介したツールもそういったもんばっか。

労力はかかるけど、最小限で一定品質出せる便利なやつばっかり。

できるだけ、プリセット的なもん作ってパッとやれるレベルまで落とし込んだほうがいい。

人に頼むとこは頼んだほうが良い

自動化できるところは自動化したほうが良いけど、全パターンは無理。

例えば音源出す時とか、勝負曲とかは専門家に頼んだ方が良い。

自動化ツール使うのはコストを抑えるためってところもあるけど、作業スピード上げて作品をたくさん作るためってのが一番。

自動化ツールで済ませるところなのか、専門家に依頼して仕上げるところなのかは自分で整理したほうがよいです。

また、色んな人と関わると音楽性が広がる。

そういった意味でも自動化ツールに頼りすぎないことも大事。

結局知識は必要

自動化ツール入れると、初心者でも簡単に高品質なものが作れる!

…と思って入れると痛い目を見ます。

さすがに基本設定や音の変化がわからないと使えないです。

自動化ツールは有識者の作業を代行してやるツールってイメージです。

だから、結局はミックスやマスタリングの基本的な勉強は必要。

基本的な事を勉強する時間を割愛して人に任せるのも有効です。

メジャーデビュー目指す人はやっぱり、お願いできる人を探すって選択肢が一番良いかもしれないなぁ。

終わりに

ほんと、多様化してきて時代についていくのに必死です。

僕は仕事でも自動化ツール系との関りはあるけど、音楽でも自動化の波を凄く感じます。

AIに仕事を奪われる人が増える中でAIを取り扱う側になれば仕事はなくならない。

むしろ、自分の価値が上がる。

だから、音楽でも自動化ツールは積極的に活用して作業時間を短縮していきたいところです。

早い段階で本記事でご紹介したツールを弾き語りに特化して使い込んだレビューを個別にしていこうと思います。